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『料理通信』TRIPPA通信

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2018.1.6

​・食の文化遺産巡り<播磨>特別編

「豊穣の国・はりま」ポスター制作の舞台裏

『料理通信』には「食の文化遺産巡り」というシリーズがあります。
地域とのご縁で作成する、土地に深く入り込み、土地の営みを描き出す企画です。
2017年11月上旬、その取材で兵庫県西部の播磨地域を訪れました。

今回はシリーズ初の取り組みがありました。
ポスター制作です。

姫路市をはじめとする8市8町の播磨地域ブランド「豊穣の国・はりま」の
ポスター制作をお任せいただいたのです。

【播磨の牡蠣】編、【日本酒】編、【醤油蔵】編の3パターン。

【播磨の牡蠣】編は、網干の海鮮料理店「なぎさ亭」で。
【日本酒】編は、銘酒「龍力」の本田商店の蔵で。
【醤油蔵】編は、大正10年創業、「サクライズミ」の銘柄で知られる高橋醤油の蔵で。
それぞれ撮影させていただきました。

ポスターの撮影は、雑誌の撮影とはちょっと違います。
「食の文化遺産巡り」のような地域もので旅取材の場合、
雑誌の撮影はルポルタージュ的に、そこにある姿をそのまま切り取っていきます。

でも、ポスターの撮影は、デザイン優先で状況設定を決め込み、
そこにあるものを生かしつつも、
欲しい絵になるように入念に構図を作りながら撮ります。

だから、使うのはたった1カットでも撮るのに時間がかかる……。
撮影場所をご提供くださった皆様には、
根気よくお付き合いいただいたことに、この場を借りて、心からの御礼を申し上げます。



本田商店の蔵でポスター撮影が行なわれている間、
雑誌取材班は本田眞一郎社長による山田錦についてのレクチャーを受けておりました。

兵庫県は、山田錦の故郷かつ産地として有名ですが、とりわけ播磨地域は
特上(酒造好適米は、特上、特等、1等、2等、3等の5段階評価)を最も多く産する、
いわば酒米の聖地です。

「灘をはじめとする全国の蔵元へ、
その優れた山田錦を供給してきたのがここ播磨地域というわけです」
でも、本田社長たちは、酒米ばかりでなく、
酒そのもので評価されるようになろうと考えました。

自分たちのウリは何だろう? 山田錦そのものじゃないか。
どこよりもいい山田錦で酒を仕込んだら、
どこにも負けない日本酒が造れるのではないか。

そこは、栽培地の強み、精米所に集まってくる山田錦の中でも、
どの地区のどの生産者のどの田んぼの山田錦が一番優れているか、
毎年毎年データをとって探り当てたそうです。


本田商店の主力商品「大吟醸 龍力 米のささやき」の原料米の栽培田の地図。
「山間部の川筋がいい」といわれる。


「特A地区産の中でも、特に加東市秋津の生産者、都倉さんの山田錦が優れていたんです。土壌も良いのでしょうが、栽培がまたすばらしい。稲刈りが終わるとすぐに田んぼに藁を梳き込んだり、糠を入れたり、土づくりが怠りない。そして、根が張ってからしか肥料は与えず、出穂が近づけばまた肥料はやらない“への字型栽培法”で育てている。収穫後は稲木掛け乾燥という、実に手を尽くした栽培なんです」

このとびきりの米で仕込むのが「純米大吟醸 秋津」です。
「秋津」はよく“日本酒のロマネコンティ”と称されますが、使われている米をたどれば納得です。


1800ml 30,000円、720ml 15,000円とお値段も“日本酒のロマネコンティ”にふさわしい。



仕込みを見せていただきました。麹用の米が蒸し上がったところ。
この後、冷まして、麹室へと運ばれます。



一方、【醤油蔵】編を撮影した高橋醤油もまた、ハンパないこだわりの蔵でした。

「昔ながらの製法で造っている」と薦められて、ポスターの撮影場所に決めたのですが、
現場に着いて、スタッフ一同、息を飲みました。「これは凄い……」。

樽が並び、大きな石を吊り下げた天秤棒が頭上を横切る空間に、
外光がひそやかに差し込んで、神々しいばかりの空気が漂っていたのです。


樽が並んだ様は壮観。小さな木樽で小分けして仕込みを行っています。

3代目の高橋利彰さんが、醤油の原点を形として残すことが自らの使命と思い立ったのは、
平成20年頃のことでした。

「引退された醤油屋さんや東京の醤油技術センターを訪ねて、江戸時代末期の製法を研究しました。
廃業された醤油屋さんに古い道具を譲ってもらったり、
大工さんと一緒に資料館に足を運んで、道具の研究をしたり」

そうして、復活させた昔ながらの手作業のみで醸造した醤油を「古式しょうゆ」と名付けました。
大豆を炊く竈(かまど)も、木製天秤搾り機も、地元の大工さんたちと手掛けたものだそうです。



天秤棒の端には石が吊り下げられています。木と石でゆっくり時間をかけて搾ります。

醤油造りも徹底していて、原材料はすべて地元産。
加西市近隣で収穫された大豆・小麦、赤穂の塩を使っています。

仕込みは春と秋の年に2回。
温度管理は一切せず、長いもので3~4年かけて熟成・発酵させます。
そうして、木製天秤搾り機で、つまり、石と木の重みだけでゆっくり搾るのです。




並んでいる樽のひとつを開けて見せていただきました。大豆と小麦が醤油へと変貌中。

播磨農業高校の生徒たちが栽培した小麦や大豆を生徒たちと一緒に仕込むという取り組みもしています。
瓶詰めまで行なって、ラベル(「播磨の朝陽」という名称です)を貼って、
学園祭「播農祭」で販売するのだそうです。


平成28年10月に加西市の大豆と農校(播磨農業高校)の小麦で仕込んだ樽です。

「最近は、外国の方が訪ねてみえるんですよ」と4代目の高橋伸弥さん。
この光景を見たら、感動間違いなしですよね。

(kimijima)

▼掲載号のご紹介

「食の文化遺産めぐり<播磨>」は『料理通信』2018年2月号をどうぞ。
前6ページ+特別編2ページ、計8ページで播磨の食をお伝えしています。
  • 2018年1月6日
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  • カテゴリ・雑誌制作の舞台裏
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