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PEOPLE / 料理人・パン職人・菓子職人

1980年以降生まれ 注目の若手シェフ

東京・北参道「コンヴィーヴィオ」辻大輔 Daisuke Tsuji

2018.06.25

『料理通信』2018年7月号取材時点


近年、急速にボーダレス化する食の世界。国を超えて働く先を選ぶことはもちろん、ジャンル、食材、また店間の垣根を越えて、互いの哲学や素材へのアプローチに刺激を受ける1980年代以降生まれのシェフたちが増えています。資源の枯渇や高齢化社会、深刻な人材不足など、食を取り巻く課題が溢れる中、アイデアとテクニックを武器に生き抜く、新世代の料理人たちの発想はどのように生まれるのでしょうか。これからの食の世界のキーパーソンに、未来を切り拓く仕事術を一問一答で伺いました。



トラディショナルと新しさは共存できる

Q1 : 食べ手の心を動かすアイデアとテクニックを、どう身につけてきたか?
A1 : イタリアで料理人になりました。5年の滞在で学んだのは食材の捉え方。調理技術より、何をどの食材と合わせるかが料理の核だということ。

Q2 : 世界で働く際に、必要な資質。日本人(自分)の強みはどこにある?
A2 : きちんとお金をもらって仕事をするという姿勢も大切。そのためには語学力(イタリアならイタリア語と英語)。厨房は多国籍。話せる人中心に仕事は回っていきます。

Q3 : 今、世界とどう繋がっている? 気になる世界の料理トレンドや料理人
A3 : 東京の若手料理人を取り上げた米国の料理本『TOKYO newwave』が縁で、北参道界隈の掲載店のシェフ同士、交流が盛んです。

Q4 : 尊敬する人とその理由(食の世界に限らず)
A4 : 父の古い友人であるローマ在住50 年の日本人東洋医。ものの捉え方が変わりました。トラディショナルと新しさは共存できる

Q5 : 個性を打ち出すために店づくりで工夫したポイント
A5 : 料理なら素材選び、その組み合わせ、その盛り付け方。トラディショナルな“かたち”に必要以上に囚われ過ぎず、おいしいと思える味わいを大切に。味噌や米麹など和素材も必要に応じて使うし、和の作家の器も積極的に取り入れます。

Q6 : スペシャリテについて。料理でもっとも大切にしていることは?
A6 : コースに必ずラザーニャを出します。肉の主菜の後に〆として、また月替わりで具やソースを変えて。今回は竹炭を練り込んだ黒いベシャメルにカポナータの赤いソース。トラディショナルなラザーニャも、アプローチ次第で新しいおいしさや旬を表現できることが伝えられたら。

Q7 : 料理人として、これからどう生きていきたいか?
A7 : レストランを営みながら社会貢献してゆける仕組みが作れればいいなと。なにが自分にできるのか模索中。その先に、日本における料理人の地位向上も見据えたい。

photographs by Tsunenori Yamashita





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