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ピッツァ職人のメソッドから探る

イタリア・ナポリ生まれの粉「カプート」の魅力 vol.2

Feature / MovementJul. 17, 2018

text by Izumi Shibata / photographs by Hide Urabe

豊島園「ピッツェリア ダ・アオキ タッポスト」
青木嘉則さん




イタリアはもちろん、世界のピッツァ職人たちからも信頼の厚いナポリの小麦粉メーカー「カプート」。日本で輸入を行う「モンテ物産」では、ピッツァ職人育成のサポートに力を入れています。今回はそんな活動の一つ、「ピッツァイオーロのためのナポリピッツァ講習会」の様子をレポート。講師を務めた「ピッツェリア ダ・アオキ タッポスト」の青木嘉則さんの技術、ナポリピッツァへの強い思い、そして生地の味を支えるカプートの魅力を追います。



今回は、10名の少人数制で開催された。青木さんの貴重なデモンストレーションとアドバイスを密に体験する講習会参加者たち。

青木さんが自店を開いたのは1999年。修業時代を含めて22年間もナポリピッツァを作り続けている、日本でも長い経験を持つピッツァ職人です。「修業先がカプートの『サッコロッソ・リンフォルツァート』を使っていたので、僕もずっとカプートを愛用しています」。修業先とは、ナポリ湾に浮かぶイスキア島にある名店「ダ ガエターノ」。昔ながらのナポリピッツァを作るこの店で、彼は伝統的な技術、考え方を身につけました。



職人技が求められる常温発酵




「ガエターノで学び、ずっと大切にしているのが『ピッツァ作りは、生地作り』ということ」。ピッツァの生地は、材料である小麦粉、水、イーストを専用ミキサーで混ぜ合わせ、しばし落ち着かせた上で切り分けて丸め、発酵させるという手順で作られます。
生地作りのポイントは、室温での発酵。時間は季節や天気により変わりますが、概ね6~7時間。毎朝その日に使う分の生地を作り、常温で発酵を終えてから冷蔵庫で保管して、夕方からの営業前に常温へ戻します。



室温で発酵を終えたピッツァ生地。むっちりと艶やかな断面を見て生地の状態を確認する。



「今は低温で24時間以上の長時間発酵が主流のようですが、僕は室温で置く昔ながらの方法が好き。もちろん気温や湿度は毎日違うので、発酵の具合も大きく変わってきます。それを、水分量やイーストの量で調整するのです」。冷蔵庫内で長時間発酵させる方が生地の安定性が望めますが、一貫して常温発酵に取り組む青木さん。「このほうが、生き生きとした味に仕上がるように感じます。気候の違いに応じて生地を調整してこそ職人だと思うのです」。



小麦粉に求めるのは、香り高さ、安定、均一性




使っている粉のベースは、カプート社の「サッコロッソ・リンフォルツァート」。気候に応じてそこに最大4割ほど「マニトバ」を加えます。マニトバは、サッコロッソと比べタンパク質量がやや多い粉。ブレンドすることでグルテン形成が安定して進み、弾力と伸びの良い生地に仕上がるそうです。

青木さんが大切にする発酵は、生地形成時の温度によっても大きく左右されます。「ミキシングを終えた状態での生地温度は、とても重要です。当店ではスパイラルミキサーを使っていますが、このタイプは摩擦熱で生地の温度が上昇しがち。対策として水は氷水を使い、氷ごとボウルに加え、混ぜています」。また、氷だと、水の量を微調整したい時に個数で足し引きできたりと、利便性にも優れています。

生地に加える水の総量は、氷と合わせて計測する。



材料は、粉9~9.5kgに対して水と氷3.5ℓ、塩175g。イーストは季節により倍以上変動するが、6月のこの日は10g加えた。



手順は、ミキサーに水と氷、塩を入れて溶かし、イーストを加え、粉を投入(調整分に多少残す)。混ぜながら状態を確認し、必要に応じて粉や水を足して硬さを調節します。20分ほど回し、生地がなめらかに耳たぶほどの硬さになったらミキシングの作業は終了。この後、20〜30分ほど休ませてから分割と発酵に進みます。



最初は高速で回し、生地がまとまってきたら低速に切り替える。ミキシングの先端は、フォーク型、スパイラル型、ダブルアーム型と3タイプあり、特徴と予算に応じて選択する。店ではスパイラル型を使用。



練り上げた生地はボウルから出して伸び、弾力を確認する。



粉の量に関しては、「季節によってかなり変わるので、正確な数字を出すのは難しい。気候に合わせた細やかな調整が、生地作りの要。変動する要素が多いからこそ、粉の品質が安定し、均一であることが大切です。カプートはその点が非常に厳密で、信頼できるのです」。



休ませた生地は、260gごとに丸く分割し、ばんじゅうに並べて発酵させる。



青木さんは毎年ナポリを訪れ、カプートの工場も6月に訪問したばかり。「通常、ブレンド小麦は、産地の異なる小麦ごとに挽いてからブレンドされますが、カプートの場合、粒の段階で混ぜ合わせてから一斉に挽く。圧倒的にロットごとのムラが少なくなるようです」。そのほか、時間をかけ、熱を極力生じさせない挽き方や、人工的な酵素や添加物を一切加えない製法も同社の特徴です。



信頼できる小麦粉で理想の味を追求

発酵させた生地は、薪窯を使用して焼き上げます。焼く時間は1分~1分半ほどと、ごく短時間。この時、縁の中まで、そして生地の裏まできちんと火入れすることを意識します。「ある程度張りがあり、かつフワッとした焼き上がりをめざしています。ペロリと食べられる軽い食感が僕の理想です」。



滑らかな手つきで生地を伸ばす。生地温度を上げないために作業はスピーディーに行う。



トマトソース、水牛のモッツァレッラ、バジルのシンプルな「ピッツァ マルゲリータ」。「ダ ガエターノ」仕込みの味と技を守り続ける。



窯入れから1分前後が勝負。終始朗らかだった青木さんの真剣な表情を前に、参加者の背筋も伸びる。



生地の位置、角度を微調整しながら、均一に火を入れていく。



また、「小麦の香りが食べる時に感じられる粉でなくては、作りたい味になりません」と話す。「カプートの粉で作ったピッツァは、小麦の香りがしっかりありながらも、至って自然。風味がわざとらしくない。そういうところが好きです」。出会って20数年、青木さんはカプート社の小麦粉に絶大な信頼を寄せています。

一見シンプルな工程ですが、微妙な調整の積み重ねで驚くほど着地点が変わる、ピッツァ作り。「そこがピッツァのおもしろい点で、職人仕事たる所以。その仕上がりはすべて、生地作りから始まるのです。ピッツァ職人を目指す若い人が増えるのを期待しています」。



香ばしく焼き上げられたピッツァ マルゲリータ。食べる瞬間に小麦の香りがふわりと香る。



コルニチョーネ(周辺の生地)の立ち上がりが美しい。歯触りはさくっと軽やか。



今回使用したカプート社の小麦粉「サッコロッソ・リンフォルツァート」。生地の強さや伸び、弾力などのバランスが良く、イタリアの職人からも厚い信頼を得ている。長時間発酵にも適した粉。



優れたたんぱく質を多く含む「マニトバ」は、弾力のある伸びの良い生地に仕上がる。ピッツァ生地の他、発酵を必要とするお菓子作りにも活躍する。



青木嘉則さん
ナポリのイスキア島にある名門ピッツェリア「ダ・ガエターノ」に弟子入りし、その技を継承する。1999年、豊島園に「ピッツェリア ダ・アオキ タッポスト」を開店。10年3月には、同駅前にバールと酒販店、惣菜店を兼ねた「タッポスト チャオラ」を開く。






◎ Pizzeria da AOKI‘tappost’
東京都練馬区早宮4-37-29
ラフィット豊島園1F
☎ 03-5999-3988
17:30~22:00LO(土曜、日曜、祝日17:00~)
火曜休
西武線、都営地下鉄豊島園駅より徒歩10分






「カプート」に関するお問い合わせ先
◎ モンテ物産株式会社

☎ 0120-348566
平日9:00~12:00/13:00~17:30(土・日・祝日を除く)









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