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水俣・芦北(あしきた)の
自然とその恵みを皿の上へ

Feature / MovementApr. 18, 2016

photographs by Hide Urabe



この度の熊本地震で被害に遭われた皆様に、謹んでお見舞い申し上げます。
九州地域の皆様の安全を、心よりお祈りいたします。

本記事は、アクアパッツァ日高シェフとともに、2016年2月末に熊本県南部の水俣・芦北地域を訪れ、出会った多くの生産者の取材内容に基づき、2連載にわたり、紹介しているものになります。




「アクアパッツァ」を会場に行われる〈水俣・芦北フェア〉は2014年11月に続き2回目。
日高シェフが現地を訪問するのは、今回が初めてでした。

産地訪問を終えた日高シェフは、フェアの始まりに合わせ、
「生産者の方々と直接お話しすることが、何よりの刺激になりました。僕が自分で今回のメニューを考えたというより、生産者の方の一言一言を形にしていったら、皿が自然に完成したというのが実感です。」 と、集まった多くの参加者の前で話されました。




水俣・芦北と日高シェフをつないだ「delicious & delight café」を主宰する佐藤雅美さんは、前回に続きフェアのプロデュースを手掛け、食材調達にも大きく貢献されています。フェアには、熊本市にある「リストランテ・ミヤモト」の宮本けんしんオーナーシェフも参加。 2011年にその当時、九州初・最年少で農林水産省が認定する「料理マスターズ」を受賞された宮本シェフは、阿蘇が世界農業遺産の認定を受けた際の立役者でもあり、熊本の食の魅力を全国に発信し続けています。 水俣・芦北地域の生産者と手を携える宮本シェフの、想いのこもった言葉に熱心に耳を傾ける参加者の姿が見られました。

今回、日高シェフが訪ねた水俣・芦北からは、食中の日本酒や食後の紅茶まで含むと、およそ30品目近くの食材が使われることになりました。食糧自給率の低い日本において、ひとつのエリアで海、山、里の食材がバランスよく揃い、しかも自然に負荷をかけないものづくりを手掛ける生産者の食材がこれだけ集まることはめずらしいケースと言えるでしょう。
日高シェフは、2月末に訪れた水俣・芦北で出会ったすべての生産者の食材を今回のフェアで使用。旅での発見、感動をひとつひとつ披露してくださったことで、味わいがより一層深まりました。




いよいよ食事のスタートです。
~水俣・芦北の食材を彩りゆたかなイタリアンで楽しむ~と題された今回のフェア。
コースは前菜3皿にプリモピアット、セコンドピアット、デザート、小菓子へと続きます。




アンティパスト1
アシアカ海老のサラダ サラダたまねぎのピクルス、甘夏と共に
凝縮したアシアカ海老のスープ添え
〈アシアカ海老、サラダたまねぎ、甘夏〉

車海老よりも旨味の濃いアシアカ海老は、生で身の自然な甘味を、スープで濃厚な旨味を堪能できる一品に。「アシアカ海老のだしは最高に旨い」、「漬け物にするとサラタマちゃんのサクサク感が生きる」という生産者の方の言葉を、日高シェフは繊細な手法で皿の上に表現しました。ピクルスに柑橘2種を組み合わせてアシアカ海老の天然のドレッシングに。黄色とオレンジ色にアシアカ海老の赤が重なる温かな色合いは、山の高台から眺めた春の陽光に浮かぶ、不知火海の風景を思い出す一皿でした。
ドリンクでは、自然醸造蔵としては日本最南端の亀萬酒造の純米酒に炭酸水を組み合わせたカクテルに始まり、微発泡のにごりを。甘夏の果汁を絞ると、より一層爽やかに。日高シェフのお料理とも絶妙に合う味わいでした。








アンティパスト2
モンヴェールポークのコッパ仕立て 2種のアクセントで
〈モンヴェールポーク(肩ロース、豚足、レバーなど)、柚子胡椒、切り干し大根、棚田みそ〉

ひのきの森の澄んだ空気の中、森の地下水を飲んで育つモンヴェールポークは、冷製仕立てにするとクリアな味わいがより引き立ちます。透明感のある肉や内臓の旨味に日高シェフがアクセントとして添えたのが、オリーブオイルで伸ばした棚田みそと、ニンニク入り柚子胡椒。共に地元産です。付け合わせは自家製肥料で野菜を栽培する丸田有機農園の切り干し大根。噛むほどに太陽の力強い甘味が感じられ、潜んでいたフェンネルシードが畑に吹く爽やかな風のように鼻を抜けていきます。




アンティパスト3
サラダたまねぎのスープ 太刀魚のカダイフ包み焼き
ちりめんのテーゴレ
〈サラダたまねぎ、太刀魚、ちりめん〉

秋に植えて春から収穫が始まるサラダたまねぎは日照時間が11時間を超えると肥大し始めるそうです。中心は特に甘味が強く、茶色くなるまで炒めなくてもスープにはふくよかな甘味がたっぷり。柔らかな口当たりのスープを太刀魚のカダイフ包みと一緒に味わうと、海と陸のやさしい甘味が一つになって、心もほっこりと温まります。パリパリっとさせたちりめんの塩気を時々間に挟むと、二つの甘味はさらに引き立ち、一つになりました。




プリモピアット
牡蠣のリゾット、不知火湾の恵み
〈真牡蠣、リゾット米、アオサ海苔、ちりめん、サフラン〉

牡蠣小屋で食べた牡蠣ご飯の感動を、日高シェフは棚田で作られるリゾット米を使って再現しました。
リゾット米栽培は宮本シェフの発案でスタート、地域の生産者とともに知恵と工夫を重ね、開発が進められ地域が発信する新たな食材でもあります。
牡蠣小屋の味噌汁にたっぷり入っていたアオサと天日干しのちりめんも一緒に。サフランは、なんと水俣市の山間部で栽培されている地元産です。牡蠣の穏やかでピュアな旨味は、リゾットに仕立てても濃厚にならず、軽やかさを保ち続けていました。リゾット米は日本米とは明らかに違う食感なのに、牡蠣小屋で食べた牡蠣ご飯に通じる、やさしい味わいが印象的でした。




セコンドピアット
モンヴェールポークバラ肉の農民風
下仁田葱のロースト添え 葉ワサビのソース
〈モンヴェールポークのバラ肉、下仁田葱、トラ豆、赤キジ豆、葉ワサビ〉

柔らかくなるまで長時間煮込んだバラ肉の表面を、仕上げにカリカリに焼き上げた一皿。香ばしい焼きの旨味と、煮込みの穏やかな旨味が混然一体となり、満足度は頂点へ。上質な脂は、料理全体を重くすることがなく、リゾットを食べた後のメインとは思えないほど、皆、あっという間に胃袋に。下仁田葱は丸田夫妻、葉ワサビは標高600mでお茶栽培をする天の製茶園の近くを流れる川に自生していたもの。鮮烈な香りが水俣の自然をストレートに伝えます。




ドルチェ
柑橘類のデザート 天の紅茶のサルサイングレーゼ
〈甘夏、パール柑、柑橘ジュース(デコポン、温州ミカン、スウィートスプリング)〉

天の製茶園で丁寧に抽出された気品のある紅茶の味わいと、「はんのうれん」の大澤さんの畑で味わった搾りたての甘夏ジュースの爽やかさを再現したデザート。紅茶風味に仕立てたカスタードソースに、甘夏とパール柑、柑橘ジュースで作ったゼリーが島のように浮かびます。果肉がごろりと入ったゼリーをほおばれば、フレッシュな果汁が弾けてカスタードソースと溶け合い、紅茶×柑橘のハーモニーの余韻にしばしうっとり。




小菓子
お茶菓子の盛り合わせ
〈切り干し大根、黒砂糖、甘夏の皮、パール柑の皮〉

ばらん家(ち)の黒砂糖パウダーをまぶした切り干し大根は、シロップで煮ても太陽の香りがしっかり生きています。黒砂糖は、そのままでも提供。甘味のキレが抜群です。甘夏とパール柑は無農薬なので、皮まで安心して最後まで無駄なくおいしく加工できます。ふくふくとした食感と心地よい苦味は、いつまでもお茶の時間を楽しんでいたくなる飽きのこない味でした。

日高シェフは今回訪れた生産者の食材を、皿の隅々にまで生かし、水俣・芦北の豊かさを見事なコースで再現してくださいました。

「自然をあるがままに生かす生産者のものづくりが、美しい山や海を作ります。是非皆さんも水俣・芦北・津奈木を訪れてみてください。本当に美しいところです。僕もまた必ずお邪魔しようと思っています」

会場では、食事が進むほどに、参加者の皆さんの食材への関心、水俣・芦北への興味が高まっていく空気が感じられました。生産者の思いを深く受け止めた日高シェフの生み出す一皿一皿に、説得力があったからに他なりません。

水俣・芦北フェアに先だって、日高シェフと現地の生産者を訪ねる旅に出ました!
「あるがままの自然を生かす 水俣・芦北(あしきた)のものづくり」編は コチラ










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