HOME 〉

FEATURE

〉

FEATURE / MOVEMENT





“作る”と“食べる”を結ぶフードイベント

イベントの成功はキッチンで決まる!?

レストランにおけるオープンキッチンはもはや当たり前になりました。
今、進んでいるのは、イベントやパーティにおけるオープンキッチン化です。
作り手と食べ手が空間を共有し、調理と食事がひとつの場所で進行するダイナミズムに、人々は魅了されています。

オープンキッチンのバンケットルーム

「グランド ハイアット 東京」は一昨年秋、バンケットルームのリニューアルをはたしました。手前に個人邸宅のリビングルームのようなスペースを設け、その奥がオープンキッチンのバンケットルームという造り。ホテルのバンケットとしては画期的なスタイルです。

昨秋、リニューアルされたブライダルブティックと新しく開業したフレグランスメゾンのお披露目を兼ねた「LivingGrand(リビンググランド)」と題したパーティがこのバンケットルームで行なわれましたが、装飾、演出、料理のすべてがトータルに創出された世界観で出席者を圧倒。キッチンやシェフを巻き込みつつ進行していく展開は、料理に熱気と勢いを与え、会場のテンションを一気に引き上げました。

パントマイマーの衣装をつけた演者が中へと招き入れる。

会場の一角を占めるオープンキッチン。目の前で盛り付けられ、作りたてが運ばれていく。

演奏と調理がシンクロしながらパーティが進行。

シェフも演奏に加わってライブ感満載。

もちろん本業の料理は手抜かりなく。

コックコートで演奏するバンドマン。

切り株をお皿にして自然の趣きたっぷりに。

キッチンは“生活のアトリエ”

イベントが増えています。ネット化の進行と共にそう感じるようになりました。
直に顔を合わせて、言葉を交わす――リアルな“感触”を人は求めているに違いありません。

一緒にいれば、無言でも伝わることがある。
一緒にいることで、理屈じゃなく、理解し合える。
生身の人間同士が集い、語らうイベントの効果はきっと高いのでしょう。

しかも、イベントの真ん中にキッチンが置かれるようになってきました。
もちろんイメージの話であり、物理的に真ん中というわけではありません。
“キッチン”を核としてイベントを組み立てるケースが昨今、多いのです。

「eatrip」野村友里さんをはじめとする「ノマディックキッチン」はそのシンボリックな事例と言えるでしょう。
ノマディックキッチンのメンバーが、瀬戸内&高知、小布施、奈良など様々な土地へ赴くことによって、生産者や食材を掘り起こし、料理を通して世に発信していく……。

つまり、人、食材、知恵、技が集結して、それらが火(煮炊き)によって新たな創作物へと変換されていくキッチンは、“生活のアトリエ”にほかなりません。
今、そのアトリエとしての機能が着目されているのです。

「食のつながり、団欒の喜び。」と題して小布施ワイナリーのぶどう畑で行なわれたイベント。

畑の中の簡易のキッチン。人間も自然の一部だから、環境に順応して腕をふるう。

ノマディックキッチンの中心メンバー、野村友里さんの生き方に憧れる人は多い。

料理人が束になれば、アウトドアもカセットコンロもなんのその。

小布施ワイナリーの曽我彰彦さんは「ワインに旅をさせない」が信条。畑での食事会は本望。

チーズやフルーツにぶどうの葉をあしらって。

ハイアットの新戦略・GRAND HYATT = MICE

「グランド ハイアット 東京」がバンケットルームをオープンキッチンにした背景には、ハイアットグループの戦略もあります。
それは「MICE」。MEETING(会議)、INCENTIVE(報奨、研修)、CONVENTION(国際会議)、EXIHIBITION(展示会)の頭文字で、多種多様なイベントを総称するホテル・旅行業界用語です。

日本ハイアット株式会社 代表取締役 阿部博秀さんはMICEについて次のように語ります。
「MICEの開催が、6年前と比べて、アジア地区全体で約130%以上もアップしているという実態があります。世界的に見れば、2014年の開催件数のトップ10は、アメリカの831件を筆頭に、ドイツ、スペインと続き、日本は7位で337件。アジアでトップを誇ります」

MICEがもらたす経済効果は大きく、各国が誘致に凌ぎを削ると言われる中で、ハイアットグループは、日本におけるMICEの拠点を「グランド ハイアット」と位置付けました。「館内の設備とサービスが充実しており、元々が得意とする分野であること、そして、ロケーション的にも恵まれている点も考慮しての判断です」と阿部さん。将来的には、「アンダース 東京」や「パーク ハイアット 東京」もMICEに対応させていくことを視野に入れています。



キッチンをどう機能させるか

ハイアットグループはMICEを推進していくにあたり、3つの戦略を立てました。

1.卓越した料理を提供すること
2.記憶に残るイベントスペースと体験
3.地域の特色を生かしたサービス

たとえば、1としては、いわゆるバンケット料理ではなく、レストランクオリティの料理の提供です。「グランド ハイアット 東京」の場合、「オーク ドア」のバーガー、「六緑」のすし、「チャイナルーム」の麺料理など、誰もが食べたいと願うシグニチャーデッシュを用意します。また、菜食、低カロリー、グルテンフリー、オーガニックなど現代人が求めるヘルシーさや、シンプル、小皿、ペアリング、ローカルフードといった時代の志向を反映させることも重要な要件と捉えています。

また、2に関して言えば、ハイアットグループでは3つの空間デザインを推進中です。1つめが「ザ・レジデンス」。邸宅のリビングキッチンをイメージした造りで、コーヒーバーなども設置して、シェフとゲストが交流できるスタイル。2つめは学校をイメージした「ザ・キャンパス」。3つめは「サロン・ド・テアトロ」、30人ほどの料理人が一斉に調理できるキッチンステージをメインに据えた劇場型のスペースです。ちなみに「グランド ハイアット 東京」は「ザ・レジデンス」スタイルを採用しています。

いずれにせよ、キッチンが空間における鍵であり、イベント進行上のポイントとなる造りであることは間違いありません。

「グランド ハイアット 東京」で。「ザ・レジデンス」と名付けられたスタイルは、個人の邸宅のリビングのよう。

本があるだけで、漂う空気に情感が生まれてくる。

小道のような演出も生きてくる。

棚の存在によって、空間が表情豊かになり、しっとりした落ち着きも醸し出される。

箱からの脱却

かつて、宴会やイベント、ウェディングと言えばホテルでした。
どんなイベントにも対応し得るよう、バンケットルームはシンプルな箱であることが求められました。人は、その箱のサイズや立地で会場を決めたものです。

今、イベントは会場や場所自体に意味があるようになりました。いかに独自性のある場所でイベントを行うか、誰もやったことのない場所の発掘に、人はエネルギーを注ぎます。

「DINING OUT」のように、場所自体が目的というケースも最近は少なくありません。また、昨年、松嶋啓介シェフが料理を担当したオメガの羽田空港格納庫でのパーティなどは、場所が醸し出す心理的効果も無視できないと言えるでしょう。
といった状況に対抗して、ホテルのバンケットがシンプルな箱からの脱却を図ろうとしていることは想像に難くないのです。

DINING OUT ARITA より

DINING OUT TAKETA より Photographs by Hide Urabe

キッチンが外へ飛び出していく

軽井沢のホテルブレストンコートは、2013年から「軽井沢ガストロノミーサロン」を開催しています。これは、テロワールに紐付く食のクリエイションを体感するイベントで、昨年のテーマは「野草」。山野草に精通するオーソリティのガイドのもと、ホテル周辺の森をフィールドワークしながら、森の中でのランチに興じました。いわく「森のダイニング」。

森を渡る清流で育った岩魚、山肉と呼ばれるイノシシ、周囲に生えている野草を使った料理が、周囲の景色に負けないプレゼンテーションで供される体験は、他では得られない喜びで溢れていました。

アミューズの数々。森の緑が映えて美しい。

岩魚を朴葉でくるんで蒸し焼きに。

ブレストンコート総料理長浜田統之シェフ(当時)が自ら調理。

自然の装いを生かした盛り付けに。

森の中のダイニングキッチン。

肉も野趣味を帯びて見える。

アウトドアでもスタイリングはお洒落に。

“作る”と“食べる”がワンセット

オープンキッチンには、作り手と食べ手がキッチンを共有するという意味合いがあります。
昔も今もカウンターの店が人気を誇る理由は、ずばりオープンキッチンだから。作る現場を目の当たりにできる臨場感、今この時しか体験できないドキュメント感は、何ものにも変えがたい“ドキドキ、ワクワク”です。

ネット化と共にイベントが増えた背景には、顔を合わせる生身のリアリティと共に、一回性(その場限りの出来事)に価値を置く心理も大きく働いていると言えるでしょう。その一回性、同時性をより強化し、高揚感をアップさせるのがキッチンなのです。

食における人々の意識は今、“食べる”だけでもなく、“作る”だけでもなく、その2つの結び付きに向けられています。“作る”と“食べる”をワンセットで捉えることで、人の心が動き、モノやコトが動いていく……だから、オープンキッチンなのです。






FEATURE / MOVEMENT





JOURNAL / EUROPE





JOURNAL / AMERICA





PEOPLE / PIONEER





PEOPLE / CHEF





FEATURE / WORLD GASTRONOMY





PEOPLE / CREATOR





PEOPLE / LIFE INNOVATOR





JOURNAL / JAPAN





JOURNAL / AUSTRALIA





JOURNAL / ASIA





MEETUP / REPORT





ログイン

まだ会員になっていない方

現在登録しているメールアドレス

パスワード

パスワードを忘れた

パスワードを忘れた方へ

パスワードを忘れた方は以下のフォームに登録時のメールアドレスを入力し、送信して下さい。
ご登録されているメールアドレスに仮パスワードをお送りします。

まだ会員になっていない方はこちらから新規会員登録

パスワードを忘れた方へ

パスワードを忘れた方は以下のフォームに登録時のメールアドレスを入力し、送信して下さい。
ご登録されているメールアドレスに仮パスワードをお送りします。

ご注意:送信ボタンは一度だけ押してください。

まだ会員になっていない方はこちらから新規会員登録

パスワードを忘れた方へ

ご登録されているメールアドレスに
仮パスワードをお送りいたしました。

まだ会員になっていない方はこちらから新規会員登録