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DEAN & DELUCA 料理長&バイヤーが行く

果物の町 長野・小布施町

Feature / MovementOct. 6, 2017

text by Rieko Seto / photographs by Yasufumi Manda

水はけのよい扇状地で、どんな果物もよく育つ気候風土に恵まれた長野県・小布施町。
他にはない個性をもつ果物を求めて、食のセレクトショップ「DEAN & DELUCA」チームが小布施を訪ねます。





料理すると化ける、酸っぱい果実たち


「酸っぱいけれど、意外とイケる!」「え、おいしい! 私は好き」「この酸味は他にはないね。砂糖を加えたら、きっといい」「肉と一緒に焼いたらどうだろう」長野県・小布施町を訪れた「DEAN & DELUCA」チームがまず、驚きの声をあげたのは、ブラムリー生産者会副会長・荒井茂生(しげき)さんのブラムリー畑だ。



地元の人は「酸っぱくて生では食べない」というブラムリーアップルを畑で試食。

「うわ、酸っぱい!」と驚く DEAN & DELUCA F&B商品部 開発の佐々木洋次さん。

左からF&B商品部 開発の酒井杏子さん、商品部の三上昌洋さんと商品部統括の田中大資さん。

「THE ARTISAN TABLE・DEAN & DELUCA」シェフ、秋山直宏さんは、自らもいだ果実を手に試作メニューを考案中。

ブラムリーとはイギリスで生まれ、200年以上愛され続けている料理用の青リンゴのこと。さわやかな強い酸味と、加熱すればすぐに煮とける特徴を持ち、砂糖はもちろん肉との相性も非常にいい。小布施には1991年、茂生さんの叔父・荒井豊さんの尽力で導入された。

「リンゴ農家の四男として小布施で生まれ育った叔父は、故郷のリンゴ農家の衰退に心を痛め、盛り返せないかと考えていました。そして、故郷とリンゴへの強い思いをブラムリーに託したのです」と、荒井さん。生のリンゴをそのまま食べるのが一般的だった日本では、ブラムリーのように料理して楽しむリンゴは知られていなかったが、新たなリンゴ文化として徐々に浸透し、生産者も35名に増えた。

「除草剤を使った畑で働くと具合が悪くなる」と極力薬は使わず、フェロモン剤で虫よけ。

「減農薬で育てています。完熟堆肥で土をつくり、除草剤もなるべく使いません。みんなに食べて元気になってもらいたいから」と、ブラムリー生産者会会長の平松興一さん。「ほら、私も80歳を越えてこんなに元気!」と、前へ傾けた体を片足で支え、笑顔でバランスを取ってみせた。

8月下旬~9月中旬の収穫を間近に控えた畑に立つ、ブラムリー生産者会会長の平松興一さん(左)と、副会長の荒井茂生さん(右)。



樹で完熟させる稀少な国産サワーチェリー「チェリーキッス」


もうひとつ小布施で新たに注目したい果物が、希少な国産のサワーチェリー、チェリーキッスだ。現チェリーキッス生産者の会会長の山﨑嘉司(よしじ)さんが、30年近く前、生食用サクランボの台木としてノーススター種の木を植えたのが、栽培の始まり。あまりの酸味にそのまま放置していたが、ある時、ジャムにしてみると色鮮やかで味わい深く、「チェリーキッス」として商標登録し、町を挙げて栽培することになったという。


チェリーキッスの畑で生産者から話を聞く。左から、この畑の持ち主でもある小林政吉(まさよし)さん、チェリーキッス生産者の会会長の山﨑嘉司さん、副会長の鈴木信吾さん、大沢巌さん。

現在は14軒の農家が手がけ、収穫は6月下旬。「DEAN & DELUCA」チームが畑を訪れたときには、残念ながら実りの季節を過ぎていたが、生産者から語られたのはチェリーキッスの魅力と故郷への愛。

「酸味も強いですが糖度もあります。小布施のブランドとして打ち出すべく、サイズはM以上に絞り、早採りせずに黒みを帯びるまで樹で完熟させています」と、山﨑さん。「栽培に手がかからず、樹がコンパクトで収穫もしやすいのも魅力。高齢化もあって労働力が減り、手が回らなくなった畑に植えれば、故郷の農地を荒廃させずに済むし、収入にもなります」と話すのは、生産者の小林政吉さん。「それとともにチェリーキッスを通じて、多くの人に小布施を知ってもらえたら」と語った。

小布施町振興公社が取り扱うブラムリーアップルとチェリーキッスの加工品をあれこれ試食するDEAN &DELUCAチーム。

樹熟させたチェリーキッスは、鮮度が命。収穫後すぐに小布施町振興公社へ届けられ、その日のうちに3Dフリーザーで冷凍される。冷凍品として販売されるほか、ジャムや焼き菓子にも。

ブラムリーアップルのピュレは銅鍋で煮ることで鮮やかな色合いに。


町によるバックアップ体制も整えられ、ブラムリーとチェリーキッスは基本的にすべて、収穫後すぐに小布施町振興公社へ。そこから青果、冷凍品、加工品などの形で全国へ販売される。冷凍されたチェリーキッスを試食した「DEAN & DELUCA」チームは、「結構酸っぱい!」「単に酸味があるだけでなく、火を入れるとスパイス感のある深みが出てくるというのもおもしろいね」「これはぜひ、料理に使いたい!」と、興味津々。個性際立つ果物の味わいと、生産者から語られる作物と故郷への思いに、可能性を感じたようだ。



小布施町振興公社常務理事の西澤篤さん(右)と「小布施屋」店長の松永裕太さん(左)




【小布施ブラムリーアップル、チェリーキッスの購入先】
◎ 一般財団法人小布施町振興公社 小布施屋

長野県上高井郡小布施町大字中松496-1
☎ 026-242-6600
www.obuse.or.jp





小布施の産物を磨いて文化を発信

小布施とそこで育つ作物に熱い思いを抱くのは、農家や行政ばかりではない。夫の農園で採れた果物を主にコンフィチュールをつくる、「小布施くだものキッチン」土屋悠子さんもその一人。抱いたのは、結婚前に勤めた栗菓子の老舗「小布施堂」が提唱する、「産地から王国へ」を形にしたいという思いだ。単に作物をつくるだけでなく、地元と手を携えて多様性を追求し、加工品の質にもこだわって豊かな生活文化を築く。そのために土屋さんは、地元産の質が高く、樹で完熟させた果物を選び、手仕事で少量ずつコンフィチュールをつくる姿勢を貫く。


夫が営む農園で収穫されたばかりの旬の果物を使い、少量ずつ手作業でコンフィチュールをつくる、「小布施くだものキッチン」土屋悠子さん。

チェリーキッスのコンフィチュールが放つ鮮やかな果実味とみずみずしさに、一同感嘆。

自宅に併設した小さなコンフィチュリー工房。この銅鍋で少量ずつコンフィチュールを仕込む。

「熟した新鮮な果物を使えば風味がいいし、加える砂糖も少なくて済みます。添加物も使いません」と、土屋さん。旬の果物を使って年間15~20種ほど製作し、売り切れ終い。「季節感も伝えたいし、果物にまつわるストーリーやコンフィチュールを作るうえでの思いも、小布施から発信したい。商品にはそれぞれ、私が書いた小さな物語を添えて販売しているんです」。



コンフィチュールの瓶には、それぞれの果物の由来やその年の出来、おすすめの食べ方などを記した土屋さんお手製のメモが添えられている。

その鮮やかな味わいには、国内外であらゆる美味を探求してきた「DEAN & DELUCA」チームも、「色もきれいだし、素材の味が際立っていますね」、「本当にフルーツを食べているという感じ!」と、感激しきり。土屋さんの明確な意思や真摯な姿勢にも、賞賛の声が上がった。







◎ 小布施くだものキッチン
長野県上高井郡小布施町小布施1221-3
☎ /FAX 026-247-5133
info@obuse-kudamono-kitchen.com



味噌を醸し、人を醸し、町を醸す

また、古くからの伝統を守りつつ、常に新しい文化を取り入れて歩み続けるのも、小布施の大きな魅力。天明4(1784)年創業の「穀平味噌」では、良質な国産の米や大豆を使って、伝統的な製法で仕込み、1~2年じっくり発酵させた天然醸造味噌を守り続けている。

小布施の老舗味噌蔵「穀平味噌」を見学。

味噌の好みも時代によって変化する。お客の要望に合わせて大豆と米麹の割合を変えて仕込んだ様々な味噌が並ぶ。

発酵や熟成に適した冷涼な気候に育まれた味噌は、コク深く風味豊か。店先には量り売りの味噌が大きな樽で並び、地元の人はタッパーを持って買いに来る。その一方で、敷地内には古い蔵を利用したジャズ喫茶や、ハンドメイドのアクセサリーショップも。若い力に活躍の場を提供して町を盛り上げたいという、9代目・小山洋史さんの考えあってのことだ。味噌を醸し、人を醸し、町を醸す。そんな老舗の心意気が、小布施の未来への支えにもなっている。



「穀平味噌」九代目、小山洋史さん(左)と長男の彰博さん



◎ 穀平味噌醸造場
長野県上高井郡小布施町734
☎ 026-247-2134
http://kokuhei.com



小布施のために自分は何が出来るか?

若い力で自らNPO法人「おぶせカンパニー」を立ち上げ、まちづくりに取り組むのは、小西和実さんだ。人と人を繋ぎ、文化を紡ぐことをコンセプトとし、暮らすように旅を楽しめるゲストハウスや、駅前のモダンなカフェを展開。小布施の農家に生まれ育った経歴を生かして、地元の質の高い果物で、ジャムやシードルといった加工品もつくり、その魅力や作り手の思いを広く伝える役割も担いたいと考えている。



NPO法人「おぶせカンパニー」代表の小西和実さん。「小布施の駅前に誰でも入れる憩いの場があればいい」とカフェを開いた。

おぶせカンパニーで開発するシードルやジャム製品もカフェで提供・販売する。



◎ TSUMUGI CAFE
長野県上高井郡小布施町大字小布施1499
☎ 026-214-3915
11:00~17:00(不定休)
http://www.tsumugi-cafe.jp/



小布施を心から愛し、「小布施のために自分ができること」を熱く語る人々と、そこで生み出される美味との出会い。「DEAN & DELUCA」チームもそれぞれの情熱を受け止め、「味と同時に作り手の思いはとても大切。今後のさらなる展開も楽しみですね」と、期待を口にした。





彼らが出会った食材が、今しかない旬の美味となる
DEAN & DELUCA SEASONAL FOOD GATHERING 長野
2018年10月19日(金)~21日(日)


今の時期に獲れた、今の自分の身体が求めている“旬”。それを探し求めていくと、必ず日本各地の豊かな食材や、食文化にめぐり逢います。DEAN & DELUCAでは暮らしの暦・二十四節気になぞらえ、その季節と土地が響きあう、今しかない旬の美味しさを、期間限定でお届けします。



上質に季節を味わう3日間、シーズナルフードギャザリング
http://www.deandeluca.co.jp/contents/sfg_1810.html
販売期間 : 2018年10月19日(金)~21日(日)
取扱店舗 : マーケット店舗 http://www.deandeluca.co.jp/shop/list.php
※店舗により取扱商品が異なります。詳細は店舗へお問合せください





バイヤーが探し当てた旬盛りの地域食材をシェフの技と感性で仕上げた限定メニュー


信州地養豚とブラムリーアップルのポークパイ 720円(税抜)/1個

イギリス発祥の酸味の強い青りんご「ブラムリーアップル」のジャムとスパイス香る信州地養豚のファルスをパイ生地に詰めて焼き上げた「ポークパイ」。ブラムリーらしい爽やかな酸味を残しつつ甘酸っぱく仕立てたジャムと地養豚の脂の甘みが好相性な料理です。


ブラムリーアップルクリームパン  350円(税抜)/1個

ふわふわの生地に、クルミを練りこみ食感とクルミの香ばしい香りをプラス。
酸味の強いブラムリーアップルのペーストとミルククリームのダブルクリームパンです。
あえてクリームを混ぜないように包みブラムリーアップルの特徴であるさわやかな酸味を感じていただけます。

詳細はこちら
http://www.deandeluca.co.jp/contents/sfg_1810.html



銀座NAGANO しあわせ信州シェアスペース


2018年10月19日(金)~21日(日)
銀座NAGANO https://www.ginza-nagano.jp/
にて DEAN&DELUCA SEASONAL FOOD GATHERING 長野の一部メニューが試食できます!小布施そして長野の魅力を感じられる「銀座NAGANO」にもお越しください!









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