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沖縄の魅力を伝える味づくり
新たなおみやげ需要に向き合う食の担い手たち

Feature / MovementNov. 18, 2016

text by Kiwamu Ogawa,Gen Aoki/photographs by Shigehisa Uesugi,Hide Urabe



リゾートアイランド、沖縄。近年その人気はかつてない程に高まり、国内外、特に東アジアからの観光客数が急増。また全体に高いリピート率も特徴です。美ら海(ちゅらうみ)、自然、文化など、その魅力は多々ありますが、独自かつバラエティ豊かな「食」もその一つ。沖縄そばに始まり、ソーキやテビチなど各種豚肉料理。フーチバーやナーベラーと言った島野菜に島豆腐。グルクンやモズクなど数々の海の幸…。南国ならではの食材や料理は枚挙にいとまがなく、旅人を魅了します。
一方、食品系の「沖縄のお土産」と言うと、安価で個包装、配りやすいお土産菓子がほとんど。リピーターに刺さるクオリティの高い洗練アイテム、価格帯数千円以上の上質な商品は決して多くはなく、もはや「飽き」が蔓延……。実際、2015年度の観光客数は対前年比110.7%増に比して、土産・買物費は101.9%の伸びに留まるなど、県のアンケート調査でも如実に表れています。
そんな中、県内では、新時代の需要に応えるべく、かつてない商品開発を目指す兆しが見られます。生産者は元よりサポート体制も構築され始めるなど、静かな潮流に期待が高まります。新しい「沖縄のお土産」を模索する食の最前線より、ホットな現場2つを訪ねました。
那覇から車で1時間半、国頭郡今帰仁村の運天港から伊平屋島へはフェリーで1時間20分。美しい空と海を眺めて過ごせばあっという間に到着。






離島の食材を活かした“酒のつまみ”

那覇を出発してから既に3時間を超えた旅。
車とフェリーを乗り継ぎ、ようやく辿り着いた伊平屋村(いへやそん)は、伊平屋島と野甫島(のほじま)からなる沖縄本島最北端の離島です。


島のそこかしこにバナナやパパイヤが自生している。




モズクとアーサ(和名:ヒトエグサ)の名産地である伊平屋村は、かつては「獲る漁業」で栄え、現在は「育む漁業」にも力を入れ海上と陸上の養殖にも積極的に取り組んでいます。




「モズクは年によって収穫に差があって、その原因も様々なんです。日照期間の不足もあれば、水温の問題もある。カンタンなようで結構、難しいですよ」
そう答えてくれたのは、島では若き海人(うみんちゅ:漁師)である伊禮幹弘(いれいみきひろ)さん。
モズク漁を専業とする伊禮さんは、島に生まれ育った生粋の伊平屋っ子。親子二代に渡る海人のキャリアから、腕利きのモズク生産者として活躍しています。
モズクの養殖に使う網。シーズン後は丁寧に洗い天日で乾かす。




モズクの養殖はモズクの種の培養から網への種付けを行った後に本張りと呼ばれる最終的な養殖地点を決めるまでは、モズクの成長に最適な場所を追い求めるそう。
網の移動は一番気をつかう作業です。この作業の良し悪しがその年のモズクの品質に影響を与えることから、養殖の場となる島周辺の海域を熟知した伊禮さんの経験が活きるのです。そんな海人が生産するモズクやアーサを買い上げ流通に乗せたり、島の特産品として加工・販売を行うのが伊平屋村漁業協同組合の皆さん。
細かな混入物はピンセットで取り除く。およそ3回は検査を繰り返して徹底チェック。




収穫したモズクは大きさ太さによって何度も選別を行い、砂などの細かい混入物を一つひとつ丁寧に取り除いていく。ここは機械化できない。人の手と目で繰り返し選り分け、細かくデータを取って管理。単純作業だが熟練を要するため、就労人口が少ないうえに祭りなど行事の多い離島では、人材の確保が大きな課題となっています。
ほんの小さな混入物でも見逃さず、詳細にデータを取って改善に役立てている。




海洋学を研究してきたという伊平屋村漁協で商品開発を担う齊藤伸哉さん(左)と、海人の伊禮幹弘さん(右)。モズクの養殖に適した海域を見つけるのは難しく、海人の経験がものを言う。






モズクの卸売を行う一方、組合独自の商品化にも取り組んでいます。なかでも最近、特別な商品として満を持してプロデュースしたのは、伊平屋村の特産品であるモズクとアーサ、それに沖縄の美しい海から選りすぐった魚をふんだんに使用した「Azurute 島クラッカーとディップソース」。
伊平屋島と本島を結ぶフェリーが発着する前泊港の売店にて。「Azurute 島クラッカーとディップソース」2600円。ほかにも組合で商品開発した食品や泡盛などを販売している。






「加工品をつくり続けてきた土台があったからこそ、できた商品なんです」
齊藤さんはこれまでにも数々の商品開発を手掛け、「モズク麺」や「マグロのカレー」、「ミーバイ(ヤイトハタ)のジャーキー」といった商品を世に送り出してきました。
同組合で開発した「太もずくとあーさの佃煮」「ミーバイとマグロのしぐれ煮」。




「上質なお土産にすること。それが最も苦労しました」
沖縄のお土産によくみられる「手ごろで配りやすい」ものでなく「大切な方への贈り物」「友人達とのパーティーシーン」「自分へのご褒美」といった、今までになかった需要を見込んで本品は生まれました。
当初はクッキーの開発を目論んでいたものの市場調査の結果、薄いクラッカーに方向を転換し、さらにディップソースを加えたそうです。
「どうしてもクラッカーだけでは、既にある"ちんすこう"のような沖縄ならではのお菓子と比べられてしまいますし、付加価値が高いものは難しいと判断しました」
モズクとカレー粉を練りこんだクラッカーの生地。




取材当日は紅芋のクラッカーを試作中。




クラッカーには島の特産品のモズクとアーサを使用。ディップソースにはカレーベースのマグロ入りのディップソースと、ブラックオリーブにアジ(方言名でガチュン)を合わせた2種類のソースを完成させました。




左の「カレーフィッシュソース」には手前の「太もずくと沖縄ハーブ入りカレークラッカー」を、右の「ガーリックオリーブフィッシュソース」にはその手前の「アーサとパルメザンチーズのクラッカー」の組み合わせ。泡盛はもちろん、ビールやワインのおつまみにぴったり。伊平屋の自然の恵みが、旅行者や若い人のライフスタイルに寄り添う商品に。






「専門家の助言を受けたとは言え、今までとはまったく違った概念での商品開発は 当初はいき当たりばったりで苦労の連続でした。でも最後は "とても離島の漁協から生まれたとは思えない!" と評されるほどになりました」
控えめに説明する齊藤さんが、微笑みながらそう伝えてくれました。

「離島苦(しまちゃび)」と言われる言葉が沖縄にはあります。離島の生活は生活必需品でさえ、流通コストがかかり、台風で海が荒れれば流通が止まり手に入り難くなります。人材や製造設備も限られている離島にとってはどんなに良いアイディアでも、それをカタチにするのは容易ではない現実。
もともとの「離島苦」に加え、時代への変化にも如何に対応するか。そのような環境下において、いきついた答え。それは「伊平屋村で島の人間が協力して創り上げた」という離島のお土産品に求められる、とてもシンプルな答えでした。






インバウンドを視野に”沖縄発日本のいいもの“を目指す









那覇市を中心に飲食店を幅広く経営する(株)トランク代表、野間謙策(けんさく)さん。2012年に県内初の専門店「プーゾ チーズケーキセラー」をオープン。人気商品を多数生み出してきました。




ベストお取り寄せ大賞2015の洋菓子・スイーツ部門に選ばれた「マンハッタンの恋」1380円。




昨年、インバウンド向けの上質な高級洋菓子「黄金のガトーショコラ(抹茶/紅芋)」をリリースしました。




「黄金のガトーショコラ(紅芋)」




「黄金のガトーショコラ(抹茶)」




常温ものから冷凍ものへの路線変更など、試行錯誤を重ねること丸一年。チーズケーキベースの極上土産品が完成。「日本全国選りすぐりの素材と、沖縄ならではの素材をバランス良く組み合わせました」。とにかくその内容が豪勢!「キメ細かな高級クリームチーズと上質な純生脂肪の生クリームはもちろん北海道産。高級路線を打ち出すべく、伝統400年の金沢金箔を抜擢。最も重要な沖縄素材は、日本最南端『波照間島』より黒糖100%の黒糖みつをチョイスしました。
『春夏』ラインは、京都宇治の丸久小山園有機抹茶が主役。『秋冬』は、チーズとの相性も良い宮古島産の紅芋『ちゅら恋紅』をメインに、国産100%のムキ甘栗を贅沢に挿入しました」。




紅芋のペーストに北海道産クリームチーズ、黒糖をふんだんに使用。




柑橘の果汁を入れると色鮮やかに。




一つひとつ手作り。素材を厳選し、あくまでシンプルなお菓子に仕上げたと語る、レシピ開発を担ったパティシエの野村梨恵(のむらりえ)さん。




いずれも濃厚な味わいと上品な風合い、見た目も美しい「和☓流」の逸品に仕上がりました。「圧倒的な付加価値にこそ意味がある」と、価格は1本6800円。現在、「外国の方はもちろん地元の女性客からも支持をいただいております」。グローバルを標榜しつつローカルにも浸透する圧倒的存在感…。沖縄を代表するお土産の新定番、注目です。




PUZO」は現在、県内で3店舗展開。ネット通販でのお取り寄せ可能な商品も多数。






旬の沖縄の風情を届けるブランド「今風」

これらの新たに誕生したお土産品は沖縄で製造された上質なものばかり。「旬の沖縄の風情を届ける」をコンセプトに「今風(なまかじ)」というブランドで束ねられています。沖縄観光の国内客のリピーターや、急増する外国人観光客に向けて、沖縄県が3年前から取り組む事業によって誕生しました。
事業の当初から商品開発やブランド構築に取り組んできた、コンサルティング会社のノイズ・バリュー社は、地元のメーカーを取りまとめ、沖縄の思いと各社の強みを引き出し「今風」ブランドとして送り出してきました。
季節ごとに味が変わり沖縄のみの限定販売の本シリーズ。希少価値もあり注目を集め、今後もブランドが育まれていくことが期待されています。




沖縄を訪れる人々のニーズを分析し、求められる商品はどんなものか、生産者やメーカーと手を携えて企画から商品化までを伴奏する、ノイズ・バリュー社のコンサルタント、青木 元(あおき げん)さん(左)。

◎今風(NAMAKAJI)
http://namakaji.okinawa/














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