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日本 [神奈川] 日本の魅力 発見プロジェクト ~vol.11 小田原 ①~



歴史の余韻をなぞる町 小田原の歩き方
~小田原城から徒歩15分圏内~

Journal / JapanFeb. 14, 2019

text by Rei Saionji / photographs by Hide Urabe

新宿駅から小田急線快速急行へ乗れば約1時間半、東京駅から新幹線こだまに乗れば35分で小田原駅に到着する。戦国大名の北条早雲から5代、約100年の間、関東地方を治めていた北条氏は、街道を整備し宿場町を作り、江戸の基盤を作った。豊臣秀吉が小田原城を攻略し、その後、徳川家康が江戸へ国替えさせられる。時代が徳川の世へと移り変わり、江戸は将軍のお膝元となり、小田原は譜代大名を領主とする小田原藩の城下町、東海道五十三次の最大の宿場となった。



旅の始まりは小田原城から

小田原城天守閣から小田原のまちを望む


豊臣秀吉の小田原攻めから、元禄の大震災、富士山の噴火、近代に入ってからの関東大震災など、度重なる災害の度に小田原城は倒壊したが、時の城主や小田原の人々の力によって再建されてきた。難航不落の城と恐れられていた小田原城は、約100年続いた北条氏5代の権力を誇示するためのものではなく、小田原に暮らす人々の幸せの象徴だったのかもしれない。

現在の小田原城は、小田原市制の施行20周年記念事業として天守の復興が計画され、1960年(昭和35年)に江戸中期の宝永年間に再建された時の模型や設計図を基に天守閣が復興。さらに、2015年から2016年にかけて耐震化を含む大規模な改修工事が行われた。外側だけでなく内側も、5階建ての美術館のように美しく整備されている。時間に余裕を持って、小田原城を旅の最初に訪れてほしい。



1階は江戸時代の小田原、2階は戦国時代の小田原、3階と4階は企画展示。5階の展望台に上がると、小田原城の守り神である猪に乗る摩利支天の像が祀られている。廃城とともに城外へ持ち出され、再び天守閣に戻った摩利支天は、小田原城だけでなく小田原に住む人々や小田原を訪れる人々を見守る。

天守閣とともにリニューアルされた常盤木門(ときわぎもん)の2階にあるSAMURAI館では、美しい甲冑や刀剣が美しく展示されている。部屋の奥で上映されている「花伐つ鎧(はなうつよろい)」と題されたプロジェクションマッピングは、甲冑の中に詰まっている過去の記憶や思いを音楽と映像のみで表現したもの。ナレーションがないため、美しい音と映像の中に、思い思いの武士道の美学を投影し堪能することができる。

小田原城天守閣館長 諏訪間 順さん。



梅、桜、つつじ、あじさい、花菖蒲。大正天皇が皇太子の頃、「見事な花に心なきことよ」と、しばらく馬を止めて感嘆されたため、その名がついたと言われる「御感(ぎょかん)の藤」。夏の初めに一斉に花を咲かせる堀に群生する大賀ハス。小田原城は、花の名所だ。秋には紅葉も楽しめる。

小田原城
https://odawaracastle.com/
住所:小田原市城内6-1
☎ 0465-22-3818
営業時間:9:00~17:00 (入場は16:30まで)
小田原駅東口から徒歩10分



<見どころ>報徳二宮神社 ~400有余年のサンクチュアリ~

二宮尊徳像「経済なき道徳は戯言であり、道徳なき経済は犯罪である」という教えが刻まれている。

報徳二宮神社で祀られている二宮金次郎(尊徳)は小田原生まれ。勉学に励んだ幼少期を経て、「私利私欲に走るのではなく社会に貢献すれば、いずれ自らに還元される」という報徳思想を推奨し、報徳仕法と呼ばれる財政再建策を指導した偉人となった。天保の大飢饉の際には、小田原藩の米蔵を開いたために、餓死者を一人も出さなかった。その他にも、駿河、相模、伊豆の人々を救済するなど、数々の功績を残し、神として祀られるようになった。



二つ目の鳥居をくぐった先に、「Café小田原柑橘倶楽部」と「きんじろうカフェ」の二つのオープンカフェがある。樹齢100年以上の木々に集まる小鳥たちの囀り(さえずり)をBGMに、暖かいカフェラテを席で楽しんでいると、神社といったこれまで敷居の高かった空間との距離がぐっと近くなったように感じられる。

小田原市内に自生していた樹齢約300年の杉の木を使い、2017年に新たに建立された鳥居。

報徳二宮神社 Local Japan担当 Judith 佐々木(ジャディス ササキ)さん
小田原紹介英文サイト Local Japan
一神教の宗教を持つ諸外国の人たちに日本の文化を説明する上で、最も難しいものの一つが神道である。八百万の神がおわす日本。天照大神(アマテラスオオミカミ)や大国主命(オオクニヌシノミコト)を筆頭とする神々の他にも、山や岩や滝などの森羅万象の神々の他、九十九神(つくもがみ)と呼ばれる長い年月を経た道具などに精霊が宿ったものも日本では神とされる。この他、亡くなった人が神として祀られる人神も存在する稀有な国である。報徳二宮神社では、この神道の難しい説明をスイス出身ジュディス・レンヘルさんが流暢な日本語でしてくれる。



報徳二宮神社
http://www.ninomiya.or.jp/
神奈川県小田原市城内8-10(小田原城址公園内)
☎ 0465-22-2250
受付時間:9:00頃〜17:00(社務所) 閉門18:00・冬季17:00
小田原駅東口から徒歩15分



<見どころ>
清閑亭(せいかんてい) ~明治時代の優雅なグランピング~


小田原は、冬暖かく夏涼しい温暖な気候、雄大な相模湾を望む美しい景観、豊富な海の幸から、全国有数の保養地として注目されるようになった。現在、いくつかの邸宅が一般公開されているが、その中の一軒である清閑亭は報徳二宮神社から徒歩5分。箱根から延びる天神山尾根の先端部、小田原城三の丸外郭の土塁の上に建てられた黒田長成(ながしげ)侯爵の別邸である。黒田長成とは、あの「軍師官兵衛」として名高い黒田孝高(如水)の子孫にあたる政治家だ。



国の有形文化財に登録された邸宅は、茶室の要素を取り入れた数寄屋風書院造り。数奇屋造りとは、型を省略するなど、自由でシンプルな建築様式のこと。旧藩主たちは、明治政府からの命で東京に居を構えていたが、東京での型にはめられた「よそいき」の生活の疲れを、型にはまらない遊び心をもったこの穏やかな別邸で癒していたに違いない。

清閑亭の2階からの眺めはとても美しい。晴れた日には真鶴半島や大島を望む相模湾や箱根山を一望できる。自然光を取り入れる工夫が各所に施された別邸で、優雅にお茶を飲みながら、シンプルに作られた空間で安らぎの時間を過ごす。現代風に言えば、まさにグランピング。余分な装飾を省き、目に入ってくる物をより自然に近づけ、その静寂を楽しんではいかがだろうか。



一見質素に見えるが、約3万本という多くの木が建材として用意され、厳選された部材と精緻な技巧で作られた「粋」を感じさせるしつらえ。

小田原市からの委託を受け、邸園文化観光の拠点として清閑亭を運営するNPO法人小田原まちづくり応援団の渡辺剛治さん。スタッフによる館内ガイドツアーが随時行われており、清閑亭の奥深さを全て説明してもらえるのが嬉しい。清閑亭だけでなく、小田原に残された別邸を巡るまち歩きも、小田原の楽しみ方の一つである。



清閑亭
http://www.city.odawara.kanagawa.jp/public-i/facilities/seikanntei/top-2012.html
住所:神奈川県小田原市南町1-5-73
☎ 0465-22-2834
開館時間:午前11時00分~午後4時00分 火曜休館 駐車場なし
小田原駅から徒歩15分



<味わいどころ>
だるま料理店 ~小田原を舌と目で味わう~


小田原城址公園から学橋を渡り10分ほど歩いたところにある「だるま料理店」は創業1893年(明治26年)。創業当時の建物は関東大震災によって倒壊してしまったが、その後、2代目店主が贅を尽くして再建したのがこの建物である。国産のヒノキ、松、ケヤキの資材をふんだんに使い、一流の職人が手作業で造り上げた。床、棚、建具、欄間。そこここに繊細な技によるしつらえが施されている。




ここの名物は、天丼だ。天ぷらは、卵の入った衣で花を咲かせた、これぞ関東風のもの。黄金に近いきつね色の黒天麩羅(くろてんぷら)は、口にすれば、文字通り、天まで上がるような至福感とともに美味しさが口いっぱいに広がる。老舗のごま油屋に特別に発注して作った極上のごま油が使われているので、ことのほか胃にも優しい。

まちを歩いていると忘れてしまいそうになるが、小田原は海の町である。すぐそばに広がる相模湾の恵みによって建てられた贅沢な空間に身を置き、その海で水揚げされた新鮮な海の恵みを食す幸せを感じる店だ。



明治の開業から変わらぬ味を提供するだるま食堂のメニューの中で最も新しく開発されたのが「だるま巻」。えびの天ぷら、鮪の角煮、山牛蒡という日本的な食材と、ローストビーフ、チーズ、サニーレタスなどの西洋風の食材がバランスよく組み合わされている、大正ロマンのような寿司である。

だるま料理店
http://darumanet.com/
小田原市本町2-1-30
☎ 0465-22-4128
11:00−21:00 L.O.20:00 定休日 1/1~1/3
小田原駅から徒歩約10分 / 小田原城から学橋を渡って徒歩約10分



<見どころ>
小田原まち歩き ~近世から近代を感じながら~

「なりわい交流館」は1932(昭和7)年に建設された小田原の典型的な商屋の造りの旧網問屋を再整備し、市民や観光客の「お休み処」として2001(平成13)年に開館した。1階は畳敷きの無料休憩スペース。2階はイベントスペース。小田原提灯を作る体験コースも行われている。(要予約)

小田原城内を散策したり、かまぼこの店が多く集まるかまぼこ通りを歩くなど「まち歩き」が楽しい。かまぼこ、漬物、干物などの小田原名物の食を取り扱う店や、木工や漆器、鋳物などの小田原の地に伝えられている伝統工芸品の店が「街かど博物館」として開放されている。様々な店が点在する小田原は、まるで寄木細工のようだ。「まち歩き」に関する情報は、小田原駅の観光案内所(観光協会)や小田原宿なりわい交流館で手に入れることが可能で、ガイドツアーも充実している。

小田原宿観光回遊バス「うめまる号」の運行に関する情報はこちら

なりわい交流館
http://www.nariwai-kouryukan.org/
小田原市本町3-6-23
☎ 0465-20-0515
10時~19時(4-10月) / 10時~18時(11-3月) 休館日12/31
小田原駅東口より徒歩約14分



<見どころ>
外郎(ういろう)博物館 ~一つの薬と和菓子の長い歴史を紐解く~


「八方が八つ棟、表が三つ棟、玉堂造り。破風には菊に桐の薹の御紋を御赦免あって」と台詞に謳われるように、まるで城のような外観の店舗の中では、正面のカウンターでお菓子の「ういろう」や季節の和菓子が美しく並んでいる。一方、店の左側の奥は薬局となり、薬の「ういろう」が販売されている。更にその奥に進むと、併設した2階建ての明治18年築の蔵があり、現在、博物館になっているが、そこでは外郎家が歩んだ600年以上の歴史や文化などを肌で感じることができる。関東大震災では小田原にあるほとんどの家屋が倒壊したが、この蔵は残った。蔵に足を踏み入れると、昔ながらの懐かしい木の香りのためか、独特の雰囲気に包まれる。二階に上がると重厚なケヤキの梁と頑丈な松板の床に驚かされる。往時の職人が妥協せずに造った物は、自然の素材が徐々に馴染み、130年の時を経てその真価がわかると25代目当主、外郎藤右衛門氏は語る。この蔵では、100年以上物を大切に扱う日本人の原点を見つけることができる。



ういろう 25代 外郎藤右衛門さん
店の方に声をかければ、いつでもこの「ういろう博物館」に入ることができる。

外郎家の2代目が外交役を担った時、日本の気候や食事が合わず体調を崩す外国使節をもてなすために、自らが考案した、栄養剤として仕入れていた当時貴重な黒砂糖と米粉を混ぜた、棹型の蒸し菓子。家名から「ういろう」と呼ばれ、江戸時代以降各地に広まった。外郎家では先祖のおもてなしの想いを大切に、今でも小田原に来られた方に手渡しで販売することを基本としている。

外郎博物館
http://www.uirou.co.jp/museum.html
神奈川県小田原市本町1-13-17
☎ 0465-24-0560
営業時間:10:00~17:00  水曜、第3木曜休
小田原駅東口から約徒歩15分



<見どころ><味わいどころ>
かまぼこ通り ~江戸時代の賑わいの余韻を感じながら~


外郎博物館のほど近く「青物町」界隈に、「かまぼこ通り」と呼ばれる場所がある。ここには、13軒のかまぼこ店を始め、干物屋、鰹節屋、料亭、飲食店、和菓子屋など、小田原の食の原点とも言える品々を扱う店舗が集まっている。




かまぼこ通りの中ほど、「小田原宿なりわい交流館」の裏手にある「鱗吉(うろこき)」は、1781年(天明元年)創業の老舗かまぼこ店。「鱗吉」のかまぼこは、昔ながらの製法である石臼作り。原料は高級魚である白グチを使ったこだわりの逸品である。15ミリの厚さに切って食すのが最も美味しい食べ方だという。その弾力、口に広がる上品な白身魚の旨みと甘味。ぜひ試してほしい。



田代吉右衛門本店「鱗吉」8代目当主 田代守孝さんは、小田原かまぼこ通り活性化協議会の会長も務める。「鱗吉」の店舗の隣は、囲炉裏が置かれた『かまぼこ歴史館』。かまぼこ作りの様子、かつて盛んだったブリ漁の様子などの写真や、昔使われていた木型や包丁などが展示されている。

かまぼこ通りから路地に入り、西湘バイパスが上を通るトンネルを抜けると、そこは海。小田原の海岸には港に適した地形がなく、小田原漁港ができるまでは、浜から船を押し出し、帰って来ると浜に引き上げていた。大漁時に、色とりどりの大漁旗を立てた船が、沖合から龍宮神社のある千度小路を目指して集まってきたこの浜は、明治天皇と皇后が、漁師の地引網を引く姿をご覧になったことから、御幸の浜と呼ばれている。

かまぼこ通り
https://www.odawarakamabokodori.com/

田代吉右衛門本店「鱗吉(うろこき)」
http://www.urokoki-kamaboko.com/
小田原市本町3-7-17(かまぼこ通り)
☎ 0465-22-1315 小田原城から徒歩10分












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