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JOURNAL / JAPAN

日本 [高知]

手間をかけ、時間をかけて、磨き上げる

在来種を守ることと新品種への挑戦が未来をつくる

2016.06.25

“一果に百葉”。葉で実を覆い尽くします
「土佐文旦」

栽培は昭和4年、農事試験場の職員によって始められたと言われています。昭和16~18年頃、土佐市で栽培の基礎が築かれ、「土佐文旦」の名称で統一されたのが昭和34年のことでした。

昔から「土佐文旦は、一果に百葉」と言われるそうです。実が見えなくなるくらい、葉で覆い尽くすように繁らせる。なぜって、実を大きくしてくれるのは、肥料ではなく、光合成して養分を実に送る葉っぱだからなんですね。

12月中旬頃から収穫したら、すぐには出荷せず、追熟させます。高さ40cmほどの板で四角く囲い、地面にワラなどを敷いて文旦を入れ、ビニールをかぶせて、ワラで蓋をして1カ月ほど寝かせる。すると、酸味が少なくなって、味わいが凝縮され、甘味が向上するのです。


キラキラと透き通った実が美しい
「水晶文旦」

土佐文旦と並び称されるのが、「水晶文旦」。昭和27年頃、高知県室戸市の戸梶清さんが土佐文旦を片親に育成し、世界的に著名な柑橘博士の田中長三郎氏によって、昭和33年、「水晶文旦」と命名されました。果皮は涼やかな緑がかった色合い、果肉はキラキラと透き通って、なるほど水晶のような美しさです。

皮よりも実が先に熟すため、外観は未熟に見えても糖度は十分。滑らかな舌触りで、果汁も多く、クールな甘さが特徴と言えます。追熟させると芳醇な味わいになります。

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