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兼子大輔シェフの料理で体感する
「豊穣の国・はりま」の魅力

Meetup / ReportMar. 12, 2018

photographs by Hide Urabe

阪神(摂津)、丹波、但馬、淡路と並ぶ兵庫県の1エリアで、かつては播州(“播州そうめん”の名称に名残りが…)とも呼ばれた播磨(はりま)地域。その魅力を体感するMEETUPが、2月17日、フレンチ若手実力派・兼子大輔シェフのレストラン、東京・青山「ラス」で開催されました。昨年11月には現地を訪れて生産者たちと交流した兼子シェフによって、播磨地域の食材が香り高いフランス料理へと仕立て上げられた様子をお届けしましょう。

伝統の純米本みりんで作る“みりんモヒート”でスタート。

播磨地域は、奈良時代に編纂された『播磨国風土記』にもその実り豊かさが記されているほど、古えからの豊穣の地。播磨灘の豊富な海の幸、酒米の王・山田錦の故郷で醸される銘酒の数々、醤油、みりんなどの発酵調味料と、和食を代表する味覚が高いレベルで勢揃いしています。
「どの生産者も、風土に寄り添い、伝統の上に立ちながら、新境地を開拓しようという気概に溢れているのが印象的でした」と、兼子シェフは訪れた時の感想を語ります。

昨年11月、兼子シェフ自ら播磨の生産現場を視察。サバ、カラスミ、みりん、日本酒、牡蠣、レンコン……精力的に見て回りました。

◎ 「L’AS(ラス)」
☎ 080-3310-4058
http://www.las-minamiaoyama.com


この日、最初にサーブされたのは、創業155年「川石本家」の「手柄山延寿 純米本みりん」で作る“みりんモヒート”。本みりんをレモン、ミント、炭酸で割った食前酒です。4代目になる川石酒志さんが、江戸時代に創建された蔵で、自ら栽培した米を使って、昔ながらの製法で仕込む本みりんの味わいに、兼子シェフが惚れ込み、ソムリエの常盤努さんがカクテルにアレンジしました。米のでんぷんが糖化熟成してキャラメリゼの味わいを持つみりんは、なるほど、モヒートにふさわしい……。
姫路市 森谷典夫 商工労働部長の挨拶と共に、みりんモヒートで乾杯して、さぁ、会のスタートです。

“みりんモヒート”と1品目のアミューズ「フォアグラのクリスピーサンド“みりん・キャラメル味”」。この日サーブされたお酒はどれをとってもソムリエ・常盤努さんのセンスが光りました。

姫路市 森谷典夫 商工労働部長の発声で乾杯。播磨ならではの食前酒によるスタートで料理への期待が膨らみます。

「手柄山延寿 純米本みりん」は1品目の料理「フォアグラのクリスピーサンド」にも使われています。「ラス」オープン以来の兼子シェフのスペシャリテ。今回は特別にフォワグラを覆うキャラメリゼの部分でみりんが活躍しています。こんな使い方ができるのも、米を糖化熟成させる昔ながらの技法で造られるからこそ。
「昔ながらの造り方をすると、酒粕のようにみりん粕もできるんですね。このみりん粕には“こぼれ梅”という風情ある呼び名が付いています。最近ではめっきり見なくなりましたが、川石本家では今もこぼれ梅が人気商品になっているんですよ」と語るのは、姫路市 産業振興課 中小企業・地域ブランド担当 木村規彦さん。

姫路市 産業振興課 中小企業・地域ブランド担当 木村規彦さん。みりん、レンコン、日本酒について解説してくださいました。

2品目のアミューズ「播磨産レンコンのチップ エピス風味」。播磨のレンコンは大きく形が整って美しい。その良さを生かして、かつらむきにして揚げています。

「ラス」はキッチンと客席が一体空間。播磨の食材が調理されていく躍動感が感じられて、お客様の気分も盛り上がります。

播磨灘の海の幸がフレンチの技で新しいおいしさに。

この日のメイン食材は、「ぼうぜ鯖」「ぼうぜがに」「白鷺鱧」という播磨灘の前どれブランドです。
姫路市 水産漁港課の小林誠喜さんから、これらの食材について説明がありました。
「ぼうぜ」とは、播磨灘に浮かぶ家島諸島のひとつ坊勢島から取った名で、坊勢島は1漁港あたりの漁船の所有数日本一であること。「ぼうぜ鯖」は、播磨灘を回遊する小サバを海上の生簀で囲って、瀬戸内の天然イワシなどで育てていること。また、「ぼうぜがに」は甲羅のサイズが18cm以上のものしか名乗れないこと。そして、「白鷺鱧」の“白鷺”は姫路城の別名にちなんでいること……。
現地では、「ぼうぜ鯖」なら刺し身、しゃぶしゃぶ、鯖ずしに、「ぼうぜがに」は蒸して、「白鷺鱧」は湯引きや炙りと、素材そのものをストレートに味わうところ、兼子シェフがどうフレンチに仕立てるかが、この日の見所と言えます。

姫路市 水産漁港課の小林誠喜さんが播磨灘の前どれブランドについて詳しいレクチャーをしてくださいました。

「ぼうぜ鯖」を現地で食べた兼子シェフいわく、「いい意味でサバらしくないんです。ブリのような旨味と脂ののりがある」と身質の特徴を表現。その身質をどう生かすか? 兼子シェフは何度も何度も試行錯誤を繰り返したそうです。
最終的に採った手段が、塩で締め、軽く火入れして、燻製をかけて、テリーヌ仕立てにするというもの。
「刺し身としゃぶしゃぶの間くらい」という絶妙の火入れ加減が「ぼうぜ鯖」の身の締まりを良くし、滑らかで艶やかな身質にしています。ジュレとの相性も抜群。断面を生かしたビジュアルが、「ぼうぜ鯖」のたっぷりとした身の厚みを美しく印象的に見せて、視覚的にも味覚的にも効果絶大です。

「ぼうぜ鯖とマコモダケのテリーヌ めかぶとタップナードソース」。タップナードソース(オリーブ、ニンニク、ケイパーなどで作る南仏の伝統的なソース)がぼうぜ鯖に驚くほど合います。「龍力 大吟醸 ドラゴンシリーズ エピソード1」と共に。

この時期、内子が詰まった「ぼうぜがに」は、“メリメロ”に。メリメロとはフランス語でméli-mélo、「いろんなものが混ざり合った」という意味です。兼子シェフは、「ぼうぜがに」のほぐし身の下にポテトのピュレを敷き、かにみそのソースを添え、パルミジャーノをふりかけ、卵黄と混ぜ合わせて食べるスタイルを提案。かにのほぐし身以外のパーツはすべてクリーミーで、それを食べ手自ら混ぜ合わせるため、個々の素材の旨味を感じつつ口中で一体化していく快感に、会場全体が陶然となりました。

兼子シェフの指揮のもと、次々と料理が仕上げられていく。

「ぼうぜがにのメリメロ 姫路産卵「夢美人」の濃厚な卵黄添え カニミソのソースとパルメザンチーズ」。旨味のしっかりした食材同士のハーモニー。

そして、「白鷺鱧」。京都の祇園祭りや大阪の天神祭りでも引っ張りだこになるという評判のハモです。それをオリーブオイルでポワレに。丁寧にオリーブオイルをかけながら、表面はカリッと、中はふんわり焼き上げます。現地では湯引きや炙りなど、あっさり仕立てることが多い「白鷺鱧」に、フレンチ王道の調理法ポワレをぶつけて、ハモの新しいおいしさを引き出しました。
しかも、兼子シェフ、贅沢なことに「白鷺鱧」に播磨灘(網干)産の牡蠣を合わせたのです。コンフィとソース、ダブルで添えています。播磨灘に流れ込む清流の栄養が詰まった牡蠣は、2月、まさにこの時期が一番の食べ頃。鱧といい勝負の濃密さで皿を彩りました。

「白鷺鱧のポワレ 濃厚な牡蠣のソース 児島農園野菜を添えて」。野菜と牡蠣のコンフィの上に、白鷺鱧のポワレをのせて、2種のソース(牡蠣と赤ワインのソース、ホウレン草のソース)をあしらっています。

ここで、会場が一気に沸き立ちます。サーブされた大きなワイングラスが温かい……。なんと、「龍力 特別純米 生酛仕込み」をぬる燗にしてワイングラスで提供するという粋な計らいに、みな頬がゆるみました。
「僕もぬる燗をワイングラスでお出しするのは初めてです(笑)」と常盤さん。「酒質を生かし、料理とも馴染む温度帯でと考えました。山田錦の味わいが立ちながら、ハモと引き立て合うと思います」。

「龍力 特別純米 生酛仕込み」をぬる燗にして大きなワイングラスで提供。「料理とお酒が同じ温度帯なので、柔らかく馴染みます」と常盤さん。「龍力 特別純米 生酛仕込み」は日本経済新聞の土曜版「NIKKEIプラス1」の燗酒ランキングで1位を獲得した銘柄。

「播磨は日本一の山田錦の産地。地の利を生かして、最高級の山田錦で酒を仕込むのが、龍力の銘柄で知られる本田商店です」とは木村さんからの解説です。
本田商店の本田眞一郎社長は毎年、どの田んぼの山田錦が最も優れているかを探り続け、特A地区の中でもとびきりの山田錦で仕込むようになった信念の造り手。

ちなみに、本田商店では料理通信の記事取材のみならず、ポスターの撮影も行われました。

会場には3種のポスターが飾られて。その前に立っているのがソムリエの常盤さん。テーブルを回って、丁寧に料理やお酒の解説をしてくださいました。

ロケ現場でのポスター撮影は、そこに撮るべきものがなければ始まりません。ポスターにした時に、見る人の目を釘付けにし、心を打つビジュアルになり得るか。その点、本田商店の蔵に流れる空気と蔵人たちの仕事ぶりは、圧倒的な力を持っていたと言えるでしょう。
「蒸し上がったばかりの米を麹室へと運ぶ、現場が一体となった仕込みにも感動しましたが、会う人会う人誰もが礼儀正しく気持ちよく挨拶してくださるのがまた印象的でした」と兼子シェフ。

デザートは「あんぽ柿を使った大人の雪見だいふく」。クリームチーズとあんぽ柿を合わせてアイスクリーム状にし、あんぽ柿のソースとぎゅうひを添えて。

デザートと共に供されたのはストレートの「手柄山延寿 純米本みりん」。「そのままでおいしく飲めることを実感してほしくて」という兼子シェフの思いから。

風土記の編纂された奈良時代から豊穣の地である播磨は、気候風土に恵まれた豊かな土地柄。その気候風土が人々の精神風土をも豊かにしている――兼子シェフが人々と触れ合う中で感じ取ったのは、そんな播磨の比類ない精神風土なのに違いありません。

この日サーブされた本田商店の「龍力 大吟醸 ドラゴンシリーズ エピソード1」と「龍力 特別純米 生酛仕込み」、料理にドリンクに大活躍の「手柄山延寿 純米本みりん」。


◎ 問い合わせ先
姫路市 産業振興課

http://hojonokuniharima.lantan.blue/
Facebookで情報発信中。











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