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青森・山形・長野・山梨、4つの産地を徹底探求!

同一品種テロワール比較・ヴィンテージ比較から探る日本ワインの個性

Meetup / ReportOct. 11, 2016

text by Reiko Kakimoto



同一品種の日本ワインを、異なる産地と異なるヴィンテージからアプローチすることで、日本ワインの魅力に迫ろうというテイスティングセッションが、9月26日、東京・六本木「てんぷら山の上 Roppongi」において行われました。
サントリー日本ワインの青森・津軽、山形・かみのやま、山梨・登美の丘、長野・高山村という4産地のシャルドネのテロワール比較、そして、津軽ソーヴィニヨン・ブランのヴィンテージ比較という試みです。
ナビゲートは、シニアワインソムリエの資格を持つ「てんぷら山の上 Roppongi」の寺岡正憲副料理長。寺岡副料理長は「和酒のひとつとしての面白さが日本ワインにはある」と語ります。
一歩深く入って見つめることで浮かび上がる日本ワインの個性をお伝えしましょう。


国際品種を産地違いとヴィンテージ違いで。




「当店では、てんぷらに合わせる日本ワインとして長らく甲州を使ってきました。日本の固有品種である甲州には香りや味わいに日本らしさがあって、てんぷらに無理なく寄り添います。今回はあえて国際品種、それも産地やヴィンテージによる違いを感じ取りながらてんぷらと合わせていくことで、日本ワインのバラエティの豊かさを見出したいと思います」と寺岡副料理長。

寺岡さんはてんぷらを「すべての食材に主役・脇役を作らず、個々の個性をシンプルに味わう料理」と表現します。つまり、お酒との相性も“食材×ワイン”という、個と個のマッチングになってくると言えるでしょう。シンプルでわかりやすく、かつ興味深い展開が予想されて、参加者のみなさんもわくわくした表情です。

マクロビオティックの専門家、肉料理をメインとするイタリアンのサービスマン、フードライター、日本ワイン愛好家、アートコーディネーターと様々な職種の人々が参加。

まずは、4産地のシャルドネからスタート。サントリー日本ワイン ジャパンプレミアムの「津軽 シャルドネ 2014」(青森)、「かみのやま シャルドネ 2014」(山形)、「高山村 シャルドネ 2014」(長野)、そして「登美の丘 シャルドネ 2014」(山梨)の4本です。
すべて2014年ヴィンテージ、醸造は登美の丘ワイナリー・渡辺直樹ワイナリー長の監修によります。つまり、同じ品種、同じ年度、同じ造り手による4地域のワインというわけです。このような比較ができるのは、複数の栽培適地のぶどう生産者との強い連携を持つサントリー日本ワインならでは。
ちなみに、津軽とかみのやまはステンレスタンクで醸造・熟成。高山村と登美の丘は樽で熟成しています。



奥から、「津軽 シャルドネ 2014」(青森)、「かみのやま シャルドネ 2014」(山形)、「高山村 シャルドネ 2014」(長野)、そして「登美の丘 シャルドネ 2014」(山梨)。

寺岡さんによるテイスティングコメントをご紹介しましょう。
「津軽 シャルドネ 2014」……「クリアでストレートな清涼感を感じる香り、特に青リンゴやライム系のグリーンな柑橘香が好印象です。伸びやかな酸が最後まで続き、ほのかな苦味や渋味が心地良いですね」
「かみのやま シャルドネ 2014」……「ラ・フランスなどのやや丸みのある果実の香りが、シャープさの中に見つけられます。マスカットの素直な香り、柑橘ではレモンのような黄色のタイプのニュアンスがあります」
「高山村 シャルドネ 2014」……「樽のニュアンスがはっきりと感じられ、メロンやマスカット、アンズのような果実感を楽しめます。膨らみがありつつも、酸がきれいなので、幅広い相性を期待できます」
「登美の丘 シャルドネ 2014」……「どっしりとした安定感のある樽香と果実感を最初に感じます。冷たい状態ではやや閉じ気味の香りも温度の上昇と共に明るい印象に。トロピカルとも違う旨味とコクは“日本のシャルドネ”と掲げるにふさわしい」

見事にキャラクターの違いが浮かび上がっていますね。「津軽」が青リンゴのニュアンスを湛えるあたりは、土地の風景を映し出すかのようで、テロワールがワインに与える影響に驚くばかりです。

子持ち鮎、銀杏、栗……てんぷらと合わせてみると。




これら4種のシャルドネに合わせて寺岡さんが用意したてんぷらは、車海老、子持ち鮎、銀杏、むかご、栗、ごぼう。
「今回はあえて、厳格なマリアージュではなく、幅を持たせたペアリングで考えました。いろいろ合わせて、お好みの組み合わせを見つけていただけたら」

寺岡副料理長が、ワインの解説をしながら、目の前でてんぷらを揚げていきます。素材の持ち味が最も引き出されるピンポイントな揚げ加減で提供。味わいの際立ちが実感できます。

白眉は旬の子持ち鮎と言えましょう。初夏の鮎が持っていた鮮烈な苦味から徐々に変化していった子持ち鮎の柔らかな苦味と、水草を思わせるグリーンの香りが印象的です。「この時期の鮎と日本のシャルドネは、実に相性がいいですね」と寺岡さん。
元々が淡白な中に複雑な味わいを持つ鮎が成熟して練れた味わいになっているところに、芳醇なシャルドネを合わせることで、和食特有の清々しさとふくよかさとを併せ持つ世界が立ち上がります。寺岡さんはより微細に捕えて、「特に、鮎を食べ終わった後の余韻には、樽香のついていない瑞々しいシャルドネが合いますね」と指摘。

子持ちなのに小ぶりなのは、「琵琶湖産の鮎ならではですね」と寺岡さん。淡白さと複雑味を併せ持つ味わいを、日本のシャルドネがいっそう膨らみを持たせます。

「銀杏は衣を薄く、表面をこんがり焦がすイメージで。むかごは衣を厚く、蒸らしてホクホクさせるイメージで」といったてんぷらの細やかな極意が参加者の感動を誘いつつ、会は進行していきます。
栗は渋皮付きで、ごぼうは自家製の醤油パウダーをかけて。「ほっこりした味わいには樽熟成のシャルドネを」と寺岡さん。樽による膨らみのある香りが、栗やごぼうの持つ甘味をいっそう引き立てます。

衣を薄付けにして表面をこんがり揚げた銀杏、衣を厚めにまとわせて蒸すように揚げたむかご。味の引き出し方の違いが、より的確なマリアージュへ導きます。

終始揚げたてを提供するため、口中の温度が高くなることを考慮して、ワインの温度は通常より低めでサーブ。徐々にワインの温度が上がるにつれてアロマや味わいが変わっていく様も楽しみます。

『津軽』は伸びやかな酸が最後まで続いて、ほのかな苦味や渋味が、てんぷらの胡麻油によるボリュームを爽やかなものに変えてくれます。『かみのやま』の場合、このワインを底支えしている昆布だしのような旨味系の底味が食材とのマリアージュを生んでくれます。『高山村』にはオレンジピール系の苦味も潜んでいて、それが次のてんぷらへと促す役割を果たしてくれる。そして、『登美の丘 シャルドネ』は、栗やカボチャといった根菜やホタテなど秋の味覚を包み込むように寄り添ってくれて、絶妙のパートナーになりますね」と寺岡さん。てんぷらとの関係性も4種4様ですね。

津軽ソーヴィニヨン・ブランのヴィンテージの差に驚きの声。




続けて、サントリー日本ワイン ジャパンプレミアム「津軽 ソーヴィニヨン・ブラン」の2014年、2015年のテイスティングへ。

寺岡さんにとって、このワインとの出会いは大きな発見だったそうです。
「初めて知った時は、津軽でソーヴィニヨン・ブランが育つのかと驚きました。味わって、とても可能性を感じたんですね。海外のソーヴィニヨン・ブランにありがちな青々しさよりも、和食に寄り添える柔らかさがあり、生のぶどうの良さが生きたピュアさがある。ヴィンテージによる味の変化にも興味を惹かれました」

ワインセラーで出番を待つ「津軽ソーヴィニヨン・ブラン」の2014と2015。ラベルに描かれているのは、津軽のシンボル岩木山。ぶどう生産者である「津軽太田園」からの景色です。

ヴィンテージによる差を、寺岡さんは次のように語ります。
「私自身の印象としては、2014年はニュージーランドに近い爽やかな香り。2015年はグレープフルーツのような柑橘系の香りの中に、パッションフルーツのような華やかな香りがあります。渡辺直樹ワイナリー長によれば、つくりは変えていないようですが、2015年は収量制限の成果が出てきた年でもあるそうです」

生き生きとした酸とグリーンの香りがある2014年、そして南国のフルーツを思わせる華やかな香りの2015年。同じ畑のソーヴィニヨン・ブランからつくられたワインにも関わらず、その2本は少年と少女のような印象の違いを与えるのです。

てんぷらも後半戦へ。味わいや食感に濃密さを持つ素材が登場してきます。「津軽ソーヴィニヨン・ブラン」がすだち的な役割を果たして、互いにいい関係が築かれることを実感させる展開に。

合わせたてんぷらは、黒舞茸、鱧、ホタテ、南瓜、そして「てんぷら山の上」の名物である丸十(さつまいも)。
「ソーヴィニヨン・ブランにはすだち的な要素があって、そういう意味でもてんぷらとよく合います。現在、お店では2015年の津軽ソーヴィニヨン・ブランを置いていますが、包容力のある味わいですね」

レアに揚げたホタテには、トリュフに似た妖艶な香り持つ香茸の風味を移した塩を添えて。さつまいもは、180℃の油と150℃の油、2段階で40~50分かけて揚げるという技を駆使した精緻な一品。出来上がりはオーブンで焼いたかのようにホクホクです。

たっぷりとした厚みを持つホタテは、芯をレアに仕上げて、ねっとり感を残します。香茸の香りを移した塩がアクセント。「津軽ソーヴィニヨン・ブラン」との組み合わせは、“やさしくも濃密な旨味×生き生きとした酸とピュアな果実味”が互いに引き合う関係に。

油の温度が異なる2つの鍋を使いながら40~50分かけて揚げるさつまいもは、「てんぷら山の上」名物。オーブンで焼いたかのようなテクスチャーに魅了されます。お好みでブランデーをかけて。

「さつまいもの甘味には、2015年の甘やかな味わいがぴったり」と参加者から声が上がりました。

日本ワインを和酒として捉えてみましょう。




日本酒や焼酎といった和酒を数多く揃える「てんぷら山の上 Roppongi」。日本酒とワイン両方を楽しまれるお客様も多いそうです。
「日本酒の魅力が素材の旨味や甘味に同調する包容力なのに対して、日本ワインの場合はもう少し複雑ですね。だからこそ面白いし、可能性が広がっている。常々、私は、日本ワインもてんぷらも“潔い”と受け止めています。というのは、どちらも素材の持ち味がストレートに表現されるものだからですね。てんぷらなら野菜や魚の味わいが、ワインならぶどうの素の性格が出ます。日本酒よりワインのほうが素材感は強い。その分、ワインと食材、各々の性格を見極めて、丁寧に合わせてあげることが大切です。今日の子持ち鮎とシャルドネのように、ぴたりと合うと、すばらしいマリアージュになる。日本ワインと合わせることで、お客様にはいろんな発見をしていただけるのではないかと思います」

また、てんぷらの油をワインの酸が切ってくれるという点でも、てんぷらにワインは理に適っていると言えるかもしれません。“和食には和酒”が定番と言える日本料理と酒の組み合わせの中に、日本ワインを和酒のひとつとして組み込む見方、期待できそうです。

てんぷらという調理法を通して見えている日本ワインの魅力がたくさんある――寺岡さんの言葉はそう教えてくれます。

デザートは、今回テイスティングしたワインを全てブレンドして作られたワインのジュレ。ジュレの下は熟度違いの2種のイチジクです。合わせたワインは「サントリー登美の丘ワイナリー醸造 にごりロゼ 2015」。これは、登美の丘ワイナリーでのみ販売されている限定品で、寺岡さんが登美の丘ワイナリーを訪問した際に出会ったそうです。

イチジクの上には、この日登場したワインをすべてブレンドして作られたジュレ。「にごりロゼ」の美しい色彩が会の最後に華を添えました。

土地の違い、ヴィンテージの違いに目を向けることで見えてきた、日本ワインのさらなる奥行きと広がり。日本ワインの楽しみはいくつもあることを、サントリー日本ワインの4種のシャルドネと2つのソーヴィニヨン・ブランが教えてくれたように思います。



◎てんぷら山の上 Roppongi
東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン
ガレリア内ガーデンテラス3F
☎ 03-5413-3577
平日11:00~14:00LO 17:00~22:00LO
土 11:00~22:00LO
日祝11:00~21:00LO 無休









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