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『イル・ゴロザリオ』パオロ・マッソブリオさんと味わい、語る

「古代小麦のパスタ」「非加熱の生はちみつ」から見える“食の多様性と未来”

Meetup / ReportDec. 15, 2016

text by Reiko Kakimoto / photographs by Hide Urabe



イタリア全州の優れた食材やその作り手たちをまとめたガイドブック『イル・ゴロザリオ』の著者、パオロ・マッソブリオさんが初来日するにあたり、マッソブリオさんと“食の多様性”を味わい、語るMEETUPを、11月16日(水)東京・代官山TENOHAのキッチンスタジオで開催しました。

味わったのは、古代メソポタミアで栽培が始まった古代小麦を復活させて作られる「古代小麦のパスタ」と、イタリア各地を巡る移動養蜂で集めたハチミツを、昔ながらの非加熱製法で、旬の花の風味そのままに閉じ込めた「生はちみつ」。

日頃から健康や食材選びに意識的な食べ手や料理人の読者16人が集まり、活発なやりとりが繰り広げられた会の模様をリポートします。

パオロ・マッソブリオさん(以下、パオロ):
私はイタリアで30年に渡り農業経済、食分野のジャーナリストとして活動してきました。現在、イタリアの全国紙3紙に寄稿しているほか、自身が編集するガイドブック『イル・ゴロザリオ』で、伝統食材の生産者約1500軒と食料品店約4300軒、オリーブオイル生産者約700軒、そしてワイン生産者約2700軒を紹介しています。

今回、日本のみなさんにイタリアの生産物を紹介するにあたり、もっともふさわしいと思ったのが、私が最近出会った新しい生産者「ソル・レオーネビオ」の古代小麦のパスタと生はちみつでした。
私がこれまでガイドに載せてきた生産物の基準は「おいしいもの」でしたが、「ソル・レオーネビオ」に出会って「おいしい」だけでなく「体にいいもの」という基準でものづくりをしている姿勢に、ジャーナリストとして学ぶものがたくさんあると感じたのです。

日欧商事株式会社代表取締役社長/「ソル・レオーネビオ」代表、ティエリー・コーヘンさん(以下、ティエリー):
私達の会社は、35年前から「ソル・レオーネ」ブランドを通してイタリアのおいしい食材を日本に輸入しています。そして3年前、おいしいだけでなく栄養価が高いイタリア食材を自分たちで作り、紹介したいと思い、オーガニック部門の「ソル・レオーネビオ」を立ち上げました。2015年12月にピエモンテに工場を作り、古代小麦のパスタなどオーガニック製品を作っています。

「ソル・レオーネビオ」はオーガニックのブランドですが、オーガニックだから良いと考えているわけではありません。基準は大きく4つ。
第1の基準は、とにかくまず「おいしい」ということです。
たとえばジャムなら、朝一番に私ならば砂糖やペクチンが入らない、果物そのままのジャムが食べたい。そう考えると、一番良い素材を使わないと、おいしいものは作れません。
2番目は低温調理で作ること。ジャムも、パスタも、60℃以下の低温調理をすることで、ビタミンや風味を損なわずに作ります。
3番目は添加物などへの配慮。自分のおばあさんが聞いたことがない素材は絶対に入れない。そうすると、化学記号のついた原料は入る余地がありません。
そして4番目がオーガニックであること。地球に対しても自分に対しても優しいことだからです。

パオロ:これからも豊かな食卓が続いていくように、環境に寄り添い、自然に従う「守り人」のような人たちを私は紹介していきたいと思っています。今回、同じ志をもつ『料理通信』やティエリーさんと会を開けたことを、とても嬉しく思っています。

パスタは粉の味わいを楽しむ料理




――では早速、試食をしながら、食の多様性の世界を覗いてみましょう。古代小麦のパスタを料理いただくのは、鎌倉・長谷「オルトレヴィーノ」の古澤一記シェフです。古澤シェフは『イル・ゴロザリオ』に深い思い出があるそうです。

古澤一記シェフ(以下、古澤):
イタリアの本屋でたまたま見つけ、「これだ!」と思ったのが『イル・ゴロザリオ』でした。私は家内と10年間、イタリアで過ごしたのですが、休日のたびにこのガイドを抱えてイタリア中を旅しました。その土地で味わうべき食材、注目の生産者など、僕たちが知りたいことが全部この本に書いてありました。

――古代小麦のパスタを使った感想はいかがですか?

古澤:1品目の「ホラーサーン小麦」のスパゲッティは、粉の旨味がはっきりしているので、芯の強いアルデンテでなく、しっかりと茹でて優しいアルデンテにしました。上にのせたのは「ソル・レオーネビオ」のトマトソース。パスタのみの味、ソースが絡んだ味など、様々な味わいをお試しいただけるよう、ソースはパスタに和えず、上にのせています。



参加者:普通のアルデンテより弾力を感じ、粉の味わいを強く感じました。

パオロ:私も同じように思います。このようなパスタが手に入ったら、強いソースで合わせるのではなく、小麦のおいしさを楽しむために、ごくシンプルなソースにしたい。古澤シェフはよく考えて出してくれています。

――2品目は、「エンマー小麦」のフジッリです。

古澤:噛むほどに粉の甘やかさがある小麦なので、ごろっとしたサルシッチャを合わせることで、咀嚼の時間を合わせています。

パオロ(ゆっくりと時間をかけ、パスタを味わった後で):おいしいものって、すぐ喉に送り込んでしまう。しかし、「すごく」おいしいものは、口の中で噛むことで味わいを確かめたくなる。しっかり噛んで食べるようになるんです。これは体(消化)にとっても良いことですね。

ティエリー:パスタを食べると太ると思っている人は多いですが、消化しやすいパスタをおいしく楽しく食べてほしい。そのためにクオリティを高めることが私達の仕事です。





昔からその土地にあった小麦と食べ方を尊重する




参加者:今、グルテンアレルギーが増えていると聞きますが、古代小麦はグルテンアレルギーの人々も食べられるのでしょうか?

ティエリー:結論から言うと、グルテンアレルギーの方が古代小麦を食べられるというわけではありません。しかし私たちは、グルテンアレルギーは小麦の品種改良の歴史と、加工の近代化が一因なのではないかと思っています。つまり小麦が品種改良される過程で、自然でないものが入り込み、人間の体にアレルギー体質が生まれたのではないかという仮定です。だから今、イタリアでは古代小麦の発掘が盛んに行われています。

現在、約10種類の古代小麦が発見されており、私たちは7種類の古代小麦を持っています。シチリア原産のティミリア、トスカーナのスペルト小麦など、昔からその土地に合った小麦と食べ方があったのです。

パオロ:体にいいものを作るという目的を持ち、これだけの品種を研究し、商品開発をしているのはすばらしいですね。イタリアでは多くの人がオーガニックに取り組んでいて、それが環境、都市景観の変化にもつながっています。畑だけが変化していてはだめで、その食を楽しむための美しい環境も同時に作らないと。
『料理通信』も、すばらしい生産者や料理人、食材を紹介するなかで、美しい雑誌を作っている。そうした“美”が、現代社会を変化させる原動力のひとつだと思っています。

はちみつはワインと同じく地域に根ざした食材




――続いて、非加熱の生はちみつ8種類のテイスティングです。

パオロ:イタリア食材の中でも、はちみつはとても大事なもの。『イル・ゴロザリオ』でも創刊時から存在したアイテムのひとつです。私にはちみつの魅力を教えてくれたのは、料理評論家のジョルジオ・オネスティでした。イタリア各州にはちみつ文化があり、モリーゼ、マルケ、アブルッツォ州などで作られるはちみつのすばらしさを知りました。はちみつは、ワインと同じく地域に根ざした食材なのです。

ティエリー:はちみつを加工する上で最も大切なことは「加熱しない」ことです。
加熱すると酵素やビタミン類が壊れ、栄養価が低くなってしまいます。はちみつが結晶化して固まっていると品質が低いと思っている方が多いようですが、それは誤解です。高温で加熱処理すると、結晶化はしにくくなるのですが、それが高品質とは言えないのです。

たとえばヒマワリのはちみつは、マルケ州、モリーゼ州に7、8月の間だけ蜂を連れて行き、採蜜をします。もちろん周囲の環境はオーガニック。巣箱に蜜が溜まったら、表面の白い膜だけを剥がして遠心分離機にかけます。出てきた蜂蜜を網で漉し、寝かせたら出来上がり。もっとも自然でピュアなはちみつの完成です。

参加者:そのまま植物を味わっているような感覚になります。このテーブルではコリアンダーが人気でしたが、私はヒマワリが気に入りました。

ティエリー:イタリアではアカシアがもっともポピュラーで、2番目は栗のはちみつ。我が家では全種類を朝食の食卓に並べて、子供たちを相手に「マーケティング」をしています(笑)。日本では好みが分かれますね。



参加者:農薬が原因でミツバチが姿を消していると聞きますが、イタリアでのオーガニックへの関心の高さは? 日本との温度差は感じますか?

パオロ:いい問題提起ですね。農薬の使用はイタリアだけでなく、世界的に緊急の課題といえるでしょう。農薬の使用によって蜂がいなくなったら、ミツバチによる受粉が必須である農業のほとんどができなくなる。つまり、その作物を食べている人間も生きられないということになるからです。

現在、イタリアでは、農産物の8.6%がオーガニックへ移行していて、比率は毎年伸びています。フランスも同様ですね。アメリカのコストコ、ドイツのアルディも、2020年までにオーガニックのみにシフトするという経営目標を掲げています。
その点から見て、残念ながらオーガニックについては、日本は遅れていると言わざるを得ません。現在、農産物の約0.2%しかオーガニックではないという調査があります。

――「食べて知ること」。私たち一人ひとりの意識の変化が、農業の未来を、食の未来を変えるということを、パオロさんは教えてくれました。最後に、参加者が残してくれた感想を紹介します。

「州ごとに異なった食文化を持つイタリア。古き食文化を見直し、掘り起こしてゆくことは即ち、人間が自然と寄り添いながら、敬いながら生きていた時代を思い出し、人が人としてどう生きるのかを問うことでもある、と感じました。

熱くイタリアの食材や文化を語るお二人を見て、同じように私たち日本人も、地域の食材、料理、その背景にある歴史や文化を見直すときに来ているように思います。

イタリアのオーガニック食材のすばらしさに触れることで、私たちも地域に光をあてたいと強く感じました。貴重な体験をありがとうございました。」



SOLLEONE Bioに関する問い合わせ先
www.italiakara.jp

















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