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アルフィオーレの農場日記
第9回 発酵のお話

People / Life InnovatorDec. 1, 2016

「酵母は生き物」との気付き。


少し前から、発酵が、料理界でも注目を浴びるようになりました。
発酵の歴史や文化は、日本でもヨーロッパでも、世界中いたるところに存在します。たとえば、味噌や醤油、ワインやパンなど、国や風土によって様々です。
現代においても、どれもなくてはならない重要な調味料であり、酒や保存食です。 










私個人の経験でしかお話しできないのですが、私が本格的に発酵に興味を持つきっかけとなったのはパンでした。
はじめは、天然酵母なんて、ろくに理解もできずに、本に書いてあるままに、レーズンで種を起こして種継ぎをして、パンを仕込んでいました。
びっくりするほど安定せずに、毎日悔しい思いをしながら、パンの練習をしたものです。かなりの負けず嫌いな私は、なぜにうまくいかないんだろうと、試行錯誤しながら、日々パンを焼いていました。
そうしているうちに、ある時、当たり前のことに気づきました。酵母は生き物なんだってことに。
笑われるくらい当たり前かもしれませんが、私にとっては大きな気付きでした。
それからというもの、料理人が食材と真剣に対話するように、農家さんが野菜と向き合うように、真摯に酵母と向き合うようになりました。
思えばそれまでの私は、パンが膨らむこと、そんな目に見える形に囚われていて、酵母の本質から大きくかけ離れていたのでした。それじゃあ、いつまでたっても、おいしいパンなんて焼けるわけがありませんよね?

酵母と真剣に向き合うようになってからは、少しずつその本質が垣間見えてきて、本当に楽しくて仕方がなくなりました。そして、見る見るうちに、パンをうまく焼けるようになっていったのでした。

ワイン造りは、生き物を育てること。


そんなことがきっかけでワイン造りにも興味を持てるようになったのではないかと思います。
現在は、一農家として、ブドウの樹という生き物を育てていきながら、ワイン造りの勉強をしています。ブドウを醸すということは、パンと同じ、生き物を育てることとまったく一緒です。

ワインの発酵の原理は、いたってシンプルです。
ブドウを潰して、その果汁に含まれる糖分を栄養に、果皮などに付着している酵母が活性化して、果汁をアルコールに変えていきます。ただそれだけです。

ワインは世界に星の数ほど存在しますが、まったくと言っていいほど同じものは一つとしてありませんよね?
色や香り、味わいや風味、どれをとっても違います。
ブドウ品種が一緒でも、育てられた地域や造る人によっても違うものになります。それはそれはとても不思議なことなのですが、だからこそワインという飲み物が、こんなにも魅力的で、世界各地で造られ、語り継がれて、継続しているのではないでしょうか?

同じ生き物同士。言葉は通じずとも気持ちは伝わる。


では、なぜ、そんなにもたくさんの違いが出るのでしょう?
まだまだ勉強中の身で、ワインを語れるほどの身分では到底ありませんが、少なくとも私は思います、「それは人が造るから」と。
「ワインは人が造るものではない」と言う方もいらっしゃいますが、「人が介在しないとワインはできない」のもまた真実です。人が介在しないとできないワインは、ブドウを育てた人の想い、仕込む人の想いが、すべてワインに反映される。だからこそ、星の数ほどの違いが生まれるのではないかと思うのです。

同じ素材で、同じ名前の料理を作っても、料理人が違えば、けっして同じ料理にはなりません。何人かの料理人が作れば、すべて違う料理になる。それと一緒だと思います。

ワインづくりには、すべての工程で人の手が介在します。工程がシンプルであればこそ、ブドウに対する想いや、毎日の作業の丁寧さが反映されます。
冒頭でも書きましたが、酵母は生き物なのです。同じ生き物として、言葉は通じなくても気持ちは伝わると思います。
日々、酵母の状態をよく観察して、ブドウが欲していることや、発信しているわずかなメッセージを逃さないように、耳を傾けなければなりません。その結果が、ワインに反映されてくるのだと思うのです。




意外とシンプルだったりする。

そのために、何を学ぶべきなのか、そのために、どんなアンテナを張っていなければいけないのか、という自問自答の繰り返しを積み重ねていってこその気づきだったり、経験だったりするものだと思います。

それは、どんなことにも同じように当てはまると思います。
何かを新しく始めようとする人、何かがうまくいかなくて悩んでいる人は、一度、いろんな固定観念を取り払って、残ったものの本質から、もう一度考え直してみるといいかもしれません。意外とシンプルなことだったりするかもしれませんね。

目黒浩敬(めぐろ・ひろたか)
1978年福島県生まれ。教師を目指して大学に入るが、アルバイトで料理に目覚め、飲食店などで調理の基本を身に付ける。2004年渡伊。05年、仙台市青葉区に「アルフィオーレ」を開店するも、いったん閉めて、2007年現在地に再オープン。自然志向を打ち出した創作イタリアンとして評価を得る。2014年から宮城県川崎町の耕作放棄地にぶどうを植樹。2015年、店を閉め、農場づくりに本格的に取り組み始める。 https://www.facebook.com/hirotaka.meguro







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