ふくしまの輪はもっと広がる。ふくしま県産品の魅力、安全性をより多くの人々に知ってもらいたい―。
今回は、県産食材を使った料理フェアの開催でふくしまを応援するシェフの活動を紹介します。
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text by Mieko Sueyoshi / photographs by Futoshi Osako |
福島県産食材を使った料理フェアの開催は、「ふくしま応援シェフ」活動の一つ。菊地賢一さんの店「パティスリー レザネフォール」(東京都渋谷区恵比寿西1-21-3 ☎ 03-6455-0141)と野澤孝彦さんのカフェレストラン「ノイエス」(同・港区赤坂7-5-56 OAGHAUS 1F ☎ 03-3560-9861)を訪ね、昨秋から取り組んでいるフェアについて伺った。

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「パティスリー レザネフォール」菊地賢一シェフ |
「ノイエス」野澤孝彦シェフ |
「産地見聞会に参加して、福島県産食材は安全性に問題がないにもかかわらず、販売面では苦労している現実を知った。心を込めて育てた果物が食べてもらえない、生産者の悔しさを思いました」と菊地さん。見聞会参加後は福島県から取り寄せた「黄金桃」でタルト、「紅玉」「ふじあおこ」で作ったクルスタード・オ・ポムとアップルパイを販売している。
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福島県産の「ふじあおこ」 |
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クルスタード・オ・ポムはキャラメリゼしたリンゴにカルヴァドスが香る |
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クレームダマンドにリンゴを重ねて焼いたアップルパイ |
プライスカードの県産表示への問い合わせを受けた時は、生産者から届く放射線量測定結果を見せ、説明するとのこと。「これまで、生産者と知り合い、その食材で作る機会はあまりなかった。食材を無駄にしてはいけないといっそう気持ちがこもります」と、福島県産食材への想いを話す。
「ノイエス」の野澤さんは、見聞会の後、福島県産の桃を使ったスープやウィーン菓子を店で販売した。11月のホイリゲ(新酒)解禁に合わせたフェアでは、福島県産馬肉を使った料理を提供。フェア終了後もタルタル、ローストなど数種類の馬肉料理を日替わりでメニューに載せている。

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柔らかく馬肉らしい味が楽しめるロースト |

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真空パックされた馬肉は「会津畜産」から |
食材は、衛生管理や安全性を確認した(株)会津畜産から仕入れる。「馬肉は他の肉と扱い方が違い、最初は少し戸惑った。(株)会津畜産からアドバイスをもらい、仕入れている」と野澤さん。「福島の現状に同情して食材を使うのでなく、良い品質だから使うのが私のスタンス。今回の企画を通じて良い食材に出会え、オーストリアの馬肉料理をおいしく紹介できた。良いつながりができ、嬉しい」。福島を中心にした人の輪は、これからももっと広がっていく。
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