HOME 〉

FEATURE / MOVEMENT

GRAND VINTAGE 2006 × LE&(ル・アンド)Vol.1 モエ・エ・シャンドンが切り拓く新しい味と体験| 料理通信

1970.01.01

 

|     英語(English) |



1743年創立、シャンパーニュ界きってのグラン・マルク「モエ・エ・シャンドン」が今年打ち出したのは、醸造最高責任者ブノワ・ゴエズとフランス料理界を代表するヤニック・アレノによる新しい食体験「L E&( ル・アンド)」。それは、新たにリリースされた「グラン ヴィンテージ 2006 」のお披露目の舞台でもありました。



「モエ・エ・シャンドン」は、数あるシャンパーニュ・メゾンの中で、最も広大で最も多様な自社畑を持つ。61の村にわたる1190ヘクタールという広さ。その50%がグラン・クリュ、25%がプルミエ・クリュという質の高さ。さらにブドウ生産者からも購入し、シャンパーニュ地方の全319クリュのうち234クリュから入手するなど、圧倒的な多様さを誇る。

これが何を意味するのかと言えば、すなわち「自由」と「創造」である。

畑ごとに醸造されたブドウをいかにアサンブラージュするかがシャンパーニュの奥義だ。土壌や気象条件が微妙に異なる畑ごとの特徴を丁寧に汲み取り、それぞれの魅力を巧みに融合するのがアサンブラージュ。とすれば、高品質で多様なブドウを手中に収めている「モエ・エ・シャンドン」ほど、思いのままにアサンブラージュの妙を追求できるメゾンはないと言えるのである。



シャンパーニュ地方随一の広さと多様さを誇るブドウ畑。年間を通じて250人の栽培担当者を抱える。



2001年からリュット・レゾネ(環境保存型農業)を採用。シャンパーニュ地方の土壌は75%が石灰質のため、心地良いミネラル感がブドウにも与えられる。





畑を見つめるのは、パリのレストラン「Passage53 」佐藤伸一さん、「Sola」吉武広樹さん。


とりわけ、醸造最高責任者ブノワ・ゴエズによる革新は目覚ましい。ブノワはヴィンテージの考え方を〝天候に恵まれて良いブドウが収穫できたから造る″から 〝年の特徴をより際立たせる個性的な表現″へと進化させた。

2000年のミレジメ以降、「ヴィンテージ」の名称を「グラン ヴィンテージ」に改め、より自由で、より創造的な造りに挑む。シャルドネの特徴を際立たせた00年。7年という当時としては通常より長い熟成期間を経てリリースされた02年。酷暑を制した伝説の03年……。



「第2の畑」とも呼ばれるカーヴ。畑が広大なら、カーヴも広大だ。年やキュヴェで分類されたボトルが静かに時を重ねる。




醸造最高責任者(シェフ・ド・カーヴ)しか鍵を開けることを許されない秘密の扉があり、1892年以降の歴代ヴィンテージが大切に保管されている。田崎真也氏も興味深く見入る。


そして、今年リリースされた2006年は、風味の豊かさとフレーバーの広がり、花々の香りが特徴だ。広大で多様な畑が与えてくれる自由を駆使してクリエイティビティを発揮するブノワのシャンパーニュ造りは、常に新しい驚きをもたらしている。



モエ・エ・シャンドンのグラン ヴィンテージは、単年の収穫から造られ、卓越した年の天候と畑の様相を映し出す。と同時に、醸造最高責任者が、その年のブドウの質を見極めて、自由な発想と芸術性により造るものである。1842年の第1作誕生以来、2006年が71作目。つまり、ヴィンテージ初リリースから172年の間に71作しか造られていない。シャンパーニュ造りが自然と対峙する厳しい仕事であることを物語る。



ブノワはシャンパーニュがもたらす官能を発展させるべく、今年、新たな取り組みに挑んだ。フランス料理界を代表するヤニック・アレノとのコラボレートで新たな食体験を提供する「LE&(ル・アンド)」である。

ワインと料理のマリアージュなら世界中にいくらでもある。しかし、「LE&」の趣旨は少し違う。「ヤニックの革新的かつシンプルな料理を通してシャンパーニュの魅力を多角的に楽しみ、ひとつの旅をするような感覚を味わってもらおうというものです」とブノワは語る。

モエ・エ・シャンドン本社の向かいに建つ、同社迎賓館「オランジュリー」。かつてはナポレオンをももてなした伝説の建物が「LE&」の舞台だ。VIPにのみ開かれてきた空間が特別に改装されて一般公開。6月23日に、田崎真也氏、米田肇氏、佐藤伸一氏ら、日本とパリから高名なソムリエや料理人が招かれて、「LE&」を体験した。



「LE&」の会場となった「オランジュリー」。館の前の池にはスプーンのオブジェが。夕暮れ時には幻想的な美しさを見せる。





   

GRAND VINTAGE 2006 × LE& ───────────────────────────────────


料理通信メールマガジン(無料)に登録しませんか?

食のプロや愛好家が求める国内外の食の世界の動き、プロの名作レシピ、スペシャルなイベント情報などをお届けします。