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春の古都で、シンプル・フードを考える

アリス・ウォータースの意志を継ぐ料理人たち

Jun. 23, 2014



(左から)「eatrip」野村友里氏、「シェ・パニース」ジェローム・ワーグ氏、「レフェルヴェソンス」生江史伸氏。

地産地消やサスティナブル(持続可能)な農業と流通、そして食育を40年も前から提唱し続けている料理家、アリス・ウォータース。彼女が開いたレストラン「シェ・パニース」はオーガニック食材による“シンプル・フード”のメッカとなり、世界中の料理人に影響を与えてきた。
この春、その「シェ・パニース」の総料理長であるジェローム・ワーグ氏が来日するにあたり、「eatrip」主宰の野村友里氏と「レフェルヴェソンス」の生江史伸シェフが春の古都、鎌倉に集結。「シェ・パニース」で経験を積み、アリスの意志を継承する3人のシェフによる特別なコラボレーションが実現した。





鎌倉、湘南の食材から紡ぐストーリー




地元の食材を主役に、繰り広げられる料理の数々。
鎌倉の自然の恵みをそのまま体に取り入れるような一品や、3人それぞれの得意分野を活かした料理もあったが、料理人としてのアイディアと技術が掛け合わされ、その知見と魅力が存分に発揮されていた2つの皿が特に印象的であった。



ひとつは「フレッシュオイスターとグリルソーセージ」に、ボーペイサージュの赤ワイン。
山梨・須玉町津金の地で「ワインありきではなく、ブドウありき。仕込みはできるだけシンプルに」というこだわりから生まれるワインは滋味深く、オーガニック食材との相性も推して知るべし、さらに、ソーセージは生江シェフの手作りであり、キャベツは寺の畑で穫れたもの・・・と、ここまではそのペアリングの良さが想像できたのだが、驚いたのは、オイスター。牡蠣は地元では穫れないので三重県の白石湖産のものを取り寄せたとのことだったが、彼らがここで試みたのは、「歴史をふまえたマリアージュ」であった。

牡蠣と赤ワインをそのまま合わせると、えぐみが立ってしまい、やはり相性は良くない。しかし、赤ワインの銘醸地であるボルドーは、海洋性気候で牡蠣食の文化もあり、中世の時代に、ソーセージを一緒に食べることで、牡蠣と赤ワインを合わせていたとのこと。ジェローム氏の知見がここに生かされた。
中世ボルドーの手法を、日本の古都、鎌倉で再現したらどうなるか。同時代に豊かな文化を築いた2つの都市。その歴史的背景を共通項にし、洋の東西と時代を超えながら、食材のコンビネーションを丁寧に考察しなおし、生み出したペアリングは、まさにマリアージュの域に達していた。

「鎌倉、湘南」という枠組みを基軸にしながらも、味わいの挑戦のために、思い切って範囲を「日本」というところにまで広げながら、このメンバーならではのコラボレーションを柔軟に表現した料理。この自由度も、もしかしたら「シェ・パニース」らしいアプローチなのかもしれない。


もうひとつは「鎌倉スープ・ド・ポワソンとおにぎり、野生の茴香」。
日本人にはおなじみの“〆のご飯”を彼ららしくということで供された一品で、フランス・マルセイユ育ちのジェローム氏は、故郷のブイヤベースをもとに、相模湾の魚介類をメインにしたスープ・ド・ポワソンを作り、さらに、アイユのソースの代わりに、レッドチリとあん肝を使ったマヨネーズベースのソースを添えた。

ご飯や魚介の身をスープに入れ、このソースを加えながら、味を変化させて楽しむ“〆のご飯”。スープに溶け出した魚介の豊かなうま味に、あん肝の濃厚な油脂のコク、チリの辛味が次々と重ねられていく様は、まるで楽しい音楽会のよう。添えられた茴香(フェンネル)もアクセントとしてはしっかりとした存在感を発揮。初めはジェローム氏がカリフォルニアから持ってきた乾燥フェンネルを使う予定だったが、当日、地元の農家からフレッシュな茴香が届き、急遽変更したとのこと。生産者とのつながりがここでも楽しく、おいしい変化を生んでいた。

食材を、その土地で、そのテロワールとともに味わえるような料理に仕立て、客に供する。
アリス・ウォータースが提唱する“シンプル・フード”の意思を継承する彼らにとって、それは当然の基本軸であるが、そこだけに留まらない。自分たちの持てるノウハウをさらに投入し、料理をさらに発展させていく。
アリスの意思を継ぐ料理人たちは、彼女が蒔いた種、アリスの食に対する考え方を根っことして自分の幹を育むのであり、決して枝葉を同じにするということではない。一流の名シェフに弟子入りし、その技術やレシピをしっかりと体得し、綿密に再現するということとは、明らかに違うのだ。






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