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MEETUP

グランド ハイアット 東京「フレンチ キッチン」 × サントリー日本ワイン コラボディナー

2015.10.06


photographs by Tsunenori Yamashita



2014年に引き続き展開している日本のトップホテルとサントリー日本ワインのコラボレーション。
今回の舞台は、グランド ハイアッ ト東京 「フレンチ キッチン」です。
副総料理長ダヴィッド・ブランさんとホテルソムリエのマニュエル・ロドリゲスさんが、山梨県にある登美の丘ワイナリーを訪れたのは2015年6月末。
その時のインスピレーションをもとに組み上げられたディナーイベントが、9月18日、「フレンチ キッチン」の特別個室「シェフズテーブル」で開催されました。
この会のために登美の丘から赴いた渡辺直樹ワイナリー長と共に、2人が描き出した登美の丘のワインの魅力、そして、マリアージュをお伝えしましょう。




ワインの本場出身のシェフ&ソムリエは、日本ワインをどう受け止めたか?

フランス人シェフ、ダヴィッド・ブランさんは、「ベージュ アラン・デュカス 東京」の初代シェフを務めるなど在日歴15年を数える日本通。日本の食材にも、日本人の嗜好にも精通しています。
でも、日本のワイナリーを訪ねたのは初めて。
「登美の丘の様々な地形――斜面があったり、谷があったり、南向きがあったり、西向きがあったり――を生かして、様々な品種が植えられ、畑の条件や品種に合わせて細やかな手入れがされていることに感動しました」。
なかでも、日本の在来種・甲州の伝統的な栽培法である棚栽培を見て、「枝が長くて、手入れが大変でしょう?」「甲州という品種は日本全国で栽培されているのですか?」といった質問を投げ掛けるなど、日本の独自性には興味津々。
一方のマニュエルさんは来日してまだ1年。ブルゴーニュ地方のワイン生産者の家庭に育った、ワインの申し子です。ドバイなどフランス以外での経験も豊富な国際派ソムリエでもあります。
「登美の丘ワイナリーのまるでフランスと変わらないクオリティに驚きました。フランスの影響を受けながらも、日本の気候風土や土壌に合わせたオリジナルな栽培やつくりがなされている。感動しましたね」。



登美の丘の情景を描き出しながら

とりわけ2人が口を揃えて褒め称えたのが、渡辺直樹ワイナリー長のワインづくりへのひたむきさでした。「パッションがすばらしい!」「そのプロフェッショナルぶりに心打たれました」
ディナーは、そんな渡辺ワイナリー長の乾杯でスタート。続いて、登美の丘の四季の景色をディスプレイに映し出しながら、ワイナリー長自ら解説します。
登美の丘は標高約600mの小高い丘であること、ワインづくりを手掛けて100年以上の歴史があること、約50haある敷地の中でも条件的に恵まれた約25haで栽培していること、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドなど赤が8品種、白はシャルドネ、甲州など4品種を、日照や土壌など畑のキャラクターに合わせて植え分けていること……。

一同が登美の丘の情景を感じ取ったところで、さぁ、いよいよ、料理です。

AMUSE-BOUCHE
Smoked salmon, crab, crepe
スモークサーモン 蟹 クレープ

マリアージュ: 登美の丘 甲州 スパークリング 2012

APPETIZER
Scallop tartar, lemon jelly, yuzu dressing
ホタテのタルタル レモンのゼリー 柚子ドレッシング

マリアージュ: 登美の丘 甲州 2013

「甲州は、バラ、白桃、ライチ、白い花を思わせるデリケートなアロマで、エレガントですね。淡い味わいですが、シャルドネなどとはまた違ったエレガントさを感じます」とブランシェフ。「どこか、日本酒のワインバージョンといった趣きもあります」とはマニュエルさん。そこで、ブランシェフが、「魚介が合いますね。スパーリングにはサーモンを、登美の丘 甲州にはホタテを。ことに日本のホタテの甘くてクリーミーなテクスチャーと良い相性を見せてくれます。焼くとクリーミーさやねっとり感が失われるため、タルタルに仕立てました。甲州が持つ柑橘の香りと同調するように、柚子とレモンを効かせています」。

FISH
Pan-fried John-dory, girolles mushroom,
Spinach and radish, hazelnuts
サンピエールのポワレ ジロール茸とほうれん草のソテー
ラディッシュとヘーゼルナッツとともに

マリアージュ: 登美 白 2012

「凝縮していて、ふくよかですね。どこかエキゾチックなニュアンスもある。トースト、バター、オークのアロマがあり、クリーミーです」というマニュエルさんのテイスティングコメントを受けて、ブランシェフ、「登美 白 2012が持つふくよかさ、凝縮感と対抗させるには、しっかりした旨味を持ち、テクスチャーのある魚がいい。そして、森を感じさせる樽香に合わせてキノコを使います。魚はサンピエール(マトウダイ)。皮目からパリッと焼き上げました。キノコはジロール茸。バターソテーにして、ヘーゼルナッツや鶏のだしを加えたマッシュルームのピュレを添えています。ワインが持つクリーミーさとバターのニュアンスとも合うはずです。そこへ、ホウレン草のバターソテー、赤ワインビネガー風味のラディッシュをあしらっています」。

MEAT
Pan-fried Gunma loin pork, roasted pumpkin and chestnuts
grape comfit
群馬県産ポークソテー ローストしたカボチャと栗
葡萄のコンフィ

マリアージュ: 登美の丘 赤 2012

マニュエルさんのテイスティングコメントは、「ボルドータイプですが、ロワールのシノンにも似て、グリーンペッパーやミントのようなニュアンスがありますね。食事の途中でリフレッシングしてくれる働きもある」。
「しっかりした旨味を持つ豚のソテーを合わせます。甘味があってホクホクのカボチャと栗を添えて、軽やかに食べ進めさせます」とブランシェフ。
ご覧の通り、フォトジェニックなひと皿に仕立てられました。

Japanese beef cannelloni, sautéed salsify, sucrine
autumn truffle
国産牛のカネロニ仕立て 西洋ゴボウのソテー
オータムトリュフ

マリアージュ: 登美 赤2009

マニュエルさんが簡潔に「複雑で、成熟していて、風格がありますね」。
このワインに多くの言葉は要らないと言った面持ちです。
ブランさんが「“ケーキの上のサクランボ”、つまり、“トップ・オブ・ザ・トップ”です。フルボディで、高貴な味わいがある。テイスティングして直感的に和牛と良いバランスを見せると思いました。ドライなテイストもあって、和牛の脂肪とのバランスがいい。料理は、牛肉をカネロニ仕立てにして、トリュフを添えています。ワインに潜む土の香りと共鳴するゴボウも一緒にどうぞ」。

CHEESE
Fourme d’Ambert, banana brulee, gingerbread
フルムダンベール バナナブリュレ ジンジャーブレッド

マリアージュ: 登美 ノーブルドール 2003

この日のコースの中でも、とりわけブランシェフ自信のひと皿です。
「濃く深いフルーツの甘味、熟成感、キャラメルのような香ばしさ、スパイス感、クリーミーさなど、ノーブルドールが持つ味の要素をひと皿の中に盛り込んでいます。最高のマリアージュを見せると思いますよ」。



日本ワインのアンバサダーとして

今、日本では、海外からの観光客の増加と共に、ホテルの存在感がいっそう大きくなっています。
世界中が日本の食文化に興味を持ち始め、訪れた人々はホテルを窓口として、日本を深く知るようになる……。
それらの人々へこの国の食の豊かさを伝えることも、ブランさん、マニュエルさんたちのミッションと言えるのかもしれません。つまり、彼らは日本の食のアンバサダー。ブランさん、マニュエルさんたちが果たしていく役割はますます重大です。
「登美の丘のワインが独自のクオリティによって日本の風土を表現していること、伝統を踏まえた料理ともモダンな料理とも合わせられる懐の深さがあることなど、そのすばらしさをきちんと伝えていきたいですね」、2人からの力強い言葉でディナーは締め括られたのでした。




◎グランド ハイアット 東京
「フレンチ キッチン」
東京都港区六本木6-10-3
☎ 03-4333-8781
tokyo.grand.hyatt.com
東京メトロ 日比谷線「六本木駅」1C番出口より 徒歩3分
都営地下鉄 大江戸線「六本木駅」 3番出口より 徒歩6分





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「日本発ガストロノミー×サントリー日本ワイン」イベントレポート ───────────────────

シェフ&ソムリエが訪ねる登美の丘ワイナリー ────────────────────────────







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