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飲食の現場から:酒文化を支える人たちの記録

vol.1 対話が未来を拓くー「飲食店等期限付酒類小売免許」が下りるまで

Feature / MovementMay. 13, 2020

photograph by Tanasuke -洋食と日本酒-


酒蔵、酒販店、飲食店。ニッポンの酒文化を支え、醸成してきた彼らが、
コロナ禍の中でどんな未来を見据え、どう戦っていったか。
彼らの挑戦の記録を3回に分けてご紹介する。

今回のコロナ禍で大きな影響を受けている飲食業界に向けて、国税庁が特例で付与を認める「飲食店等期限付酒類小売業免許」。4月7日に緊急事態宣言が出された直後の4月9日に発表され、多くの人の関心を集めた。
そもそも「お酒ってテイクアウトできなかったの?」と驚いた人もいるかもしれない。本来は飲食店での酒類提供はイートインに限り、持ち帰りや配送販売は法律の関係でNG。この免許が下りることで、飲食店でも期間限定で酒類のテイクアウト販売ができるようになる。4月24日現在、東京都で免許を取得した店の数は2600件、全国で7700件以上に上る。このいち早い政府決定や現場の迅速な動きが実現した背景には何があったか。

「声を上げたら、伝わった」

【レストランの素晴らしい料理とお酒をテイクアウト!!】
こんな見出しで始まったのは、岩手「南部美人」蔵元5代目、久慈浩介さんの4月9日のFBの投稿だ。
「国税庁から先ほど正式発表になりましたが、レストランでお酒のテイクアウトが出来るようになりました!!テイクアウト用限定の酒類販売免許が出来ます。申請も早速出来るようです。飲食店の皆さん、たくさんの蔵元や関係者が国税庁と話をして実現したこの機会を是非お使いください。そして驚くほどの速さでこの限定免許を許可していただいた国税庁の動きの速さに感激しました。今、私達に出来る事は少ないですが、諦めてはだめです。一緒に必死で生き残りましょう!」

岩手『南部美人』蔵元5代目、久慈浩介さん。

久慈さんは言う。「福島県の『奈良萬』蔵元・東海林伸夫さんが4月3日のFBでこんなことを書かれていた。『アルコールで厳しいアメリカでは、昨今レストランからお酒の持ち帰るを認めた州があると聞きます。喜多方酒造組合は持ち帰るを認める規制緩和を正式に所轄税務署に嘆願しました。』これが大きなきっかけになりました」。

東海林さんや久慈さんを始めとする東北各県の蔵元だけでなく、全国各地の蔵から声が上がっていた。

「飲食店は今、とても厳しい。やむなくテイクアウト販売をとる店も増えているが、料理販売だけでは正直難しい。現状お酒は販売NGだが、一緒に売りたいという声もたくさん聞く。酒も食品で賞味期限があり、在庫は飲食店の負債ともなる。せめて余剰在庫として店で止まっている分だけでも販売の許可ができないか」。蔵の有志や酒造組合単位で要望書をまとめる動きが急速に具体化していった。

「日本酒は特に、飲食店に来て飲むという消費の形が多くを占める。飲食店あっての酒文化。彼らの危機は自分たち蔵の、酒業界全体の危機です」。

ワイン蔵、日本酒蔵、焼酎蔵、ビール醸造所など酒造会社は、管轄である国税庁とは日頃から少なからず接点がある。今回の認可は、直接国税庁に掛け合ったり、人を繋いだりと彼らに拠るところも大きいだろう。また国税庁サイドも、現場の意見を積極的に聞いてくれたという声もよく聞いた。カクテルデリバリー認可を求める活動で国税庁の実務担当者と話をしたミクソロジストの南雲主于三さんは「実際に話してみると、彼らも出来る限り改善や解決をしたいと真摯に努めてくれているのがよくわかった」という(カクテル提供を巡る動きは第2回で)。

「申請は簡単に、決定は迅速に」

アクションは飲食店、酒販店などからも同時多発的におこった。コロナ禍における飲食業界救済活動の署名運動で「HAJIME」米田肇シェフと連携を取るOffice musubiの鈴木裕子さんもその1人。「これまでも、イベントや試飲会時に限り限定的に試飲販売を許可する『期限付酒類販売許可証』というのがあった。酒造業者の声を拾っていたこともあり、この仕組みに則って応用していけばコンパクトに実現できるんじゃないか?という話もしました」と鈴木さん。

Office musubi 鈴木裕子さん。食回りのビジネスサポートや新規事業を立ち上げるフォローアップのプロフェッショナル。
photograph by Jun Kozai

そう、酒類小売免許は本来、申請から交付まで通常2カ月程度必要だ。

税の滞納がないか、販売場所が適切か、経営状況は問題ないか、酒類の販売経験の有無(なければ研修の受講)などの調査や確認に時間を要するためだが、上記免許であれば販売開始日の10日前までに申請すれば間に合う。「申請は簡単に、決定は迅速に。現場にはこれがすごく大事です」と久慈さんも言う。

今回は各現場の窓口まで共有が行き渡る前に発表が先行し、問い合わせが殺到。電話が繋がらない、対応が間に合わないなどのトラブルは少しあったが、必要な書類を絞り、一部は後日提出でもよしとすることで、提出のフローを簡略化。現在申請から平均2~3日で取得できるようになっている。

酒販店がつなぐからこそ

飲食店で販売する酒類は、取引のある酒販店から仕入れることになる。「テイクアウトを想定した時、ビール、ワイン、日本酒それぞれに相応しい売り方があります。ノウハウなどソフト面から、持ち帰りに必要な容器などハード面まで、酒販店がフォローできることも大きいと思うのでぜひ取引先に問い合わせてみるとよいと思います」とは川崎・坂戸屋店主の武笠陽一さん。

神奈川・溝の口にある「坂戸屋」店主、武笠陽一さん(左)。「昇龍蓬莱」蔵元・大矢俊介さん(右)は今回の特別小瓶の納品に来訪してくれた。2人は長きにわたって切磋琢磨する間柄。


「通常一升瓶にしか詰めない銘柄を今回特別に180mlや300mlの小瓶に詰めてくれる酒蔵や、持ち帰りできる蓋つきグラスを出す硝子店など、周囲もそれぞれができる形で支援をしてくれています」。実際、値付けの考え方や酒の販売形態などは悩ましいところ。店で仕立てるハイボールやサワー、カクテルはデリバリー出来ないなど注意点もある。次回では、提供のノウハウを武笠さんにヒアリング。飲食店の実施例も交えながら紹介していく。


やれることをやる

「南部美人」では先月より、医療機関での供給不足解消のために消毒用アルコールの出荷を始めた。酒造りに使用するために在庫していた高濃度アルコールを製造用に充てた。「地方は都市部よりさらに流通が滞っていることから、地元近郊での流通を優先させているという。「災害も続いたこの10年。学んだのは、それぞれがふさわしい行動に努めることが一番、ということ。コロナ後の未来、皆で乾杯できる日を楽しみに頑張りましょう」

具体的な取得方法はコチラ
申請の概略をまとめました。ご活用ください。














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