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「みをつくし料理帖」の教え、和食の教え。

Feature / MovementOct. 6, 2020

photographs by Masahiro Goda


江戸の庶民が通う料理屋を舞台に女料理人・澪の成長を描く「みをつくし料理帖」。髙田郁氏による原作全10巻を貫くのが、「食は、人の天なり」の言葉です。

食は人の道しるべ―。

和食が精度を高めつつ、人々の暮らしを豊かに彩った時代を描く物語の要所要所で白みりんが重要な役割を果たします。江戸料理の名店での修業経験のある女料理人、「七草」の前沢リカさんに、「みをつくし料理帖」に想を得た料理をご紹介いただきながら、和食の愉しみ、和食の教えを語っていただきます。

紋次郎さんのバトン 髙田 郁

遠い昔、武蔵国の番匠免(ばんしょうめん)村(現在の埼玉県三郷市)から下総国流山村(現在の千葉県流山市)へ移り住み、酒造りを始めた男がいました。名は堀切紋次郎、屋号は相模屋です。この初代紋次郎さんが安永年間(1772年〜1781年)にみりん醸造に乗り出します。

あとを継いだのが、二代目紋次郎さん。当時のみりんは、濃い褐色のいわば「赤みりん」。二代目紋次郎さんは「これまでにないみりんを」と試行錯誤を続け、濁りの無い、すっきりと澄んだ美しい色のみりんの開発に成功します。売り出したのは文化11年(1814年)、のちに「万上」と名付けられました。美しく澄んだ、淡い色のみりんは「白みりん」と呼ばれ、ひとびとを魅了、料理界に旋風を巻き起こします。そして、「万上」は時を越えて、今なおひとびとに愛され続けています。初代紋次郎さん、二代目紋次郎さんのあと、代々の紋次郎さんたちがバトンを受け取り、精進を重ね、次に託したことがわかります。実は、キッコーマン株式会社のCEO堀切功章氏は、八代目紋次郎さんなのです。

髙田 郁(たかだ・かおる)兵庫県宝塚市生まれ。中央大学法学部卒、93年、集英社レディスコミック誌『YOU』にて漫画原作者としてデビュー。08年、小説家としてデビューする。著書に『出世花』『銀二貫』『みをつくし料理帖』シリーズ、『あきない世傳 金と銀』シリーズなど。


和食に導かれて健やかに。

「『みをつくし料理帖』を読んでいると、自分の料理のルーツに思いを馳せます」。

江戸料理の名店「なべ家」(3年前に惜しまれながら閉店)での修業経験を持ち、主人公の澪と同じ女料理人として生きてきた東京・富ヶ谷の和食店「七草」の前沢リカさんはそう語る。「澪の料理は食材の取り合わせが五行五色になっているなど、日本の精神文化がさりげなく込められていて、読む度に気付きを得ます」。


「大根を干して焼いてしょうゆでジュッ、といったように江戸料理は着飾らず頓智の利いた調理法が多いですね」と前沢リカさん。

第7巻『夏天の虹』に干し柿と鬼ぐるみの白和えが登場するが、「江戸時代、柿やイチジクなどを和えものに使うことが多く、七草でも季節の果物の白和えをよくお出しするんですよ」とご紹介の一品目は「ぶどうの白和え」。もう一品は野菜の切りくずを切り揃えて煮炊きし、葛あんでとじて冷や飯にかけた「吹寄せあんかけ飯」。これは第10巻『天の梯』からの発想だ。「食材を無駄にせず、切り揃えるひと手間で美しく、あんでとじて冷ご飯が温められ、腹持ちも良くなる」。


どちらにも欠かせないのがみりんである。七草ではみりんを煮切って常備して様々に使いこなす。「しょうゆ、みりん、ザラメ糖を合わせたかえしも常備。麺や丼、肉じゃがなどの煮物に便利です」。店の片隅に小さな庭があり、そこに繁る葉蘭、南天、もみじなどを青掻敷(あおかいしき)として活かす。
「和食の真髄は自然との調和にあります。季節を映す料理によって心も体も整う。日本人は和食に導かれて健やかに暮らせているのだと思います」


磨き上げられた知恵の集積。

〝だし、みりん、しょうゆ〞は和食における三種の神器。野菜くずを立派なご馳走に変えてしまう。


冷めてなおご飯の味を守るおひつ、日常食に品格を与える塗りの器、味の画竜点睛役の薬味……和食の構成要素にはすべて意味がある。

クリームのような滑らかな衣でしっとりと
 「ぶどうの白和え」

材料(作りやすい分量)
マスカット……8〜10粒
菊の花……適量

〈和え衣〉出来上がり量250g
木綿豆腐・絹豆腐……各半丁
※豆腐は1㎏の重石(未開封の砂糖や塩を使用するとよい)で1時間水切りする。
ねりごま……小さじ1
煮切りみりん……大さじ2
※「米麹こだわり仕込み本みりん」を加熱してアルコール分を飛ばす。
白味噌……小さじ2
「いつでも新鮮しぼりたて生しょうゆ」……小さじ1/4


作り方
和え衣を作る。水切りした豆腐と調味料を合わせ、フードプロセッサーで滑らかなペースト状にする。
ブドウの皮をむき、1/2〜1/4に切る。
2を和え衣100gで和えて、器に盛り、菊の花を散らす。

◎衣は冷蔵庫で3日ほど保存可。
◎ブドウの代わりに桃、柿、イチジクでも可。


端物も切り揃えれば立派な一品に
「吹寄せあんかけ飯」

材料(2人分)
カブ……1個
カブの葉……1個分
レンコン……100g
シイタケ……2枚
ギンナン……10粒
エビ……3尾
だし……300㎖
「いつでも新鮮しぼりたて生しょうゆ」……大さじ1
「米麹こだわり仕込み本みりん」……大さじ1
葛粉(または片栗粉)……大さじ2
ご飯……茶碗2杯分
おろしワサビ……適量


作り方
カブ、レンコン、シイタケは1㎝角に切る。ギンナンは薄皮をむく(130℃の油で2〜3分揚げて、キッチンペーパーなどでつまむと、するりと皮がむける。茹でてむいてもよい)。エビは1㎝に切り、粗く包丁で叩く。カブの葉は下茹でして1㎝長さに切る。
だし、カブ、レンコン、シイタケを中火にかけ、煮立ったら火を弱めて2分ほど煮る。
ギンナン、エビ、カブの葉、しょうゆ、みりんを加える。
一煮立ちしたら、同量の水(あればだし)で溶いた葛粉を回し入れ、1分ほど煮込む。
ご飯を器に盛り、4をかける。ワサビを添える。




◎ 七草
東京都渋谷区富ヶ谷2-22-5
03-3460-7793
17:00~22:00(最終入店20時)
日曜、月曜休
京王線駒場東大前駅西口より徒歩13分
*不定期でランチ営業もあり。
詳しくはInstagram @nanakusatokyo



左:マンジョウ「米麹こだわり仕込み本みりん」450ml/620ml
米麹用の米を2倍使用し、濃厚な成分でコク豊かな味わいが特徴。上品でやわらかな甘味です。

右:キッコーマン「いつでも新鮮®しぼりたて生しょうゆ」450ml/200ml
火入れをしていない「生」ならではの鮮やかな色とさらりとしたうまみが素材の持ち味を引き立てます。











◎ キッコーマンお客様相談センター
フリーダイヤル 0120-120-358
(月~金 10:00~16:00 祝日を除く)
http://www.kikkoman.co.jp
















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