HOME 〉

FEATURE / MOVEMENT

シェフのオフタイムオールドパーのある暮らし

Vol.3「幸菜 福耳」近藤賢太郎シェフ

2018.03.06

text by Noriko Horikoshiphotographs by Kiyu Kobayashi

看板もなく、隠れ家と呼ぶのがぴったりの店構えながら、開店から早々にミシュランのビブグルマンにオンリスト。
今、“新世代中華”の旗手として熱い注目を集めるのが、大阪・北新地「幸菜 福耳」のシェフ、近藤賢太郎さん。
プライベートでは、素材重視の“近藤流シノワ”にぴたりと添い、おいしさを引き立てる、オールドパーのシルバーハイボールがお気に入りとか。
たとえば、お得意の海鮮中華の一品との合わせ技は?
文字通りにスパイスを効かせつつ、おいしく飲むための工夫とアレンジを教えてもらいました。





穏やかなスモーク香とフルーティな香りの調和が
中華=“香りの料理”にピタッとはまる。




――中国料理に、ウイスキーのハイボール。あまり経験のない組み合わせに、ちょっとドキドキしています。

近藤 中華には紹興酒や老酒のような中国酒、もしくはビールというイメージが一般的ですよね。最近はワインを選ばれる方も増えていますが、ウイスキーは確かに変化球的なポジションかも(笑)。でも、中華は基本的に油を多く使う料理。家飲みでゆっくり楽しむなら、個人的には、すっきりとキレるお酒を合わせたい。紹興酒だと、どんなに辛口でも残糖感があるし、ビールは苦味が後を引く。そこへいくと、ウイスキーのハイボールの軽やかさは理想的。うちの店でも意外とファンが多くて、最初から最後までハイボールで通すお客様もいらっしゃるくらいです。

――爽やかな刺激と、飲み疲れしないクセのなさが好感をもたれるのでしょうか。

近藤 それだけじゃなく、ウイスキーのもつ香りの要素も大きいと思います。中華料理は、複層的にスパイスを駆使する“香りの料理”。人によってはクセを感じることもある香味に、なぜかピタッとはまるのが、ウイスキーのスモーキーフレーバーなんです。でも、この香りが突出しているタイプのウイスキーだと、料理の邪魔をしてしまう。その点、オールドパー シルバーは、穏やかなスモーク香とフルーティな香りの調和が取れていて、どんな料理にもスッと添ってくれる。特にハイボールでは、そのしなやかさが生かされるように思いますね。

――中国料理定番のミックススパイス、五香粉をシルバーハイボールに加える発想は、目からウロコの驚きです。

近藤 ちょっと遊んでみました(笑)。というのも、合わせる料理(「アサリと下仁田ネギの豆豉炒め」)の味付けは、豆豉醤とオイスターソースをほんの少々。ほかに中華の調味料やスパイスは一切使っていません。スープも昆布だしと鰹の旨味がベース。どちらかというと、和風テイストな一皿です。そこに、桂皮や八角、丁子、花椒など、“ザ・中華”なスパイスがぎゅっと詰まった五香粉入りのハイボールを合わせると……。

――旨味にメリハリが加わって、輪郭がくっきり立ってくるような。

近藤 ですよね? 魚介の料理は素材自体の風味を生かしたいので、スパイスはなるべく使いたくない。料理に足せない香りを飲み物で補いつつ、膨らませるイメージです。そもそも、オールドパー シルバーと五香粉の相性が抜群にいいんですよ。シルバーには爽やかな柑橘系のフレーバーがあるし、五香粉にもミカンの果皮を乾燥させた“陳皮”が入っている。両方を合わせてステアすると、オレンジの香りがいっそう鮮烈に立ってきます。シナモン(桂皮)の香ばしさや、アニスとよく似た甘い香りの八角も、もともとウイスキーとはなじみのいいスパイスですし。

――粉末を混ぜることで出る、うっすらとした濁りも、ハイボールをおいしそうに見せてくれますね。

近藤 ほんの思いつきで作ってみましたが、大成功でした(笑)。

今回ハイボールに使用した炭酸水はソーダストリームで作りました。
https://www.sodastream.jp/


Recipe
アサリと下仁田ネギの豆豉炒め


[材料(1皿分)]
アサリ(砂抜きしたもの)……12個
下仁田ネギ(青い部分、白い部分)……各1/3本
しめじ……1/4パック
マッシュルーム……2~3個
紹興酒・日本酒……各大さじ1
昆布だし……90ml
豆豉醤……小さじ1/4
オイスターソース……小さじ1/2
かつおの粉末……小さじ1/4
サラダ油……適量

[作り方]
1 下仁田ネギの白い部分は1㎝幅の小口切りに、青い部分は斜め細切りに切る。しめじは石づきを取り、ほぐす。マッシュルームは4等分に切る。
2 中華鍋にサラダ油、アサリを入れて火にかけ、炒める。油がなじんだら1のネギ、しめじ、マシュルームを加えてかるく炒め、紹興酒、日本酒を入れ、あおりながらアルコールを飛ばす。
3 2に昆布だしを加え、強火で煮込む。アサリの口が開き、ネギがしんなりしてきたら、豆豉醤、オイスターソース、かつおの粉末を加えてひと混ぜし、器に盛る。
Point1 ネギはくったりするまで十分に煮込み、甘味を引き出します。
Point2 味が足りない場合はオイスターソース少々をプラス。塩気が多い場合は昆布だしでゆるめて調整を。



◎ 幸菜 福耳(こうさい ふくみみ)
大阪府大阪市曽根崎新地1-1-8
アストリアビル2号館2F
☎ 06-6348-0044
18:00~翌2:00
日曜休
JR北新地駅より徒歩5分
※2018年3月6日から約2カ月間、「幸菜 福耳」にてオールドパー シルバーをお楽しみいただけます。詳しくはお問い合わせください。







料理通信メールマガジン(無料)に登録しませんか?

食のプロや愛好家が求める国内外の食の世界の動き、プロの名作レシピ、スペシャルなイベント情報などをお届けします。