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FEATURE / MOVEMENT

第14 回クインビーガーデンメープルスイーツコンテスト 開催報告

メープルの魅力を引き出す新しい味

2020.01.06

メープルとバランスよく調和のとれた作品を目指す

カナダ・ケベック州の大自然が育むメープルシロップとメープルシュガー。その魅力と可能性を引き出すべく、第14回「メープルスイーツコンテスト」(クインビーガーデン主催)が開催され、表彰式が2019年11月、東京・港区のカナダ大使館にて行われた。応募総数は200作品を超え、志賀勝栄氏、森田良太氏、永井紀之氏、木村成克氏、藪光生氏、梶山浩司氏が審査した。

パン部門最優秀賞は「ハイアットリージェンシー 東京」の向慶一氏。志賀氏は「素材の組み合わせをどんなおいしさに着地させるかの想像力に優れていた」とコメント。
洋菓子部門は「ホテルグランヴィア大阪」市原健太郎氏が受賞。永井氏は「洋菓子は酸味を効かせられるが、その分バランスが難しい。市原氏は繊細な塩梅に仕上げていた」とコメント。
藪氏は和菓子部門「石村萬盛堂」長池博氏の作品を「伝統的な菓子や技法にうまくメープルを活かし、3層の調和が取れていた」と語った。



素材の個性や特長を理解し、メープルの風味をいかに引き出すかが重要な審査基準となる。


【パン部門】最優秀賞
Bostock ‘RE’rable

黒糖のようなコクを持つメープルに、沖縄県の食材を組み合わせたボストック。全てのパーツにメープルを使い、バナナの熟れた香りとパッションフルーツの酸味、ペカンナッツの香ばしさをプラス。メープルに似た香りを持つロングペッパーのアクセントで、余韻を長くした。



ハイアットリージェンシー 東京
向 慶一さん

フードロス問題も意識し、パンをおいしくリメイクできるボストックを作りました。パンは専門外なので、生地作りが一番難しかったです。ミネラルの豊富なメープルをたくさん使いつつも思う通りの発酵や焼成になるよう、試行錯誤しました。



“ここを食べてほしい”というイメージの着地点が明確だったと評された向さん。




【洋菓子部門】最優秀賞
楓のスペクタクル
~メープルが奏でる柑橘とのハーモニー~

メープルのパン・ド・ジェンヌ生地と、優しい酸味と苦味を持つ八朔のジュレをメープルのムースで包み、メープルシロップを20% 配合したバリッと力強いサブレにのせた。メープルをキャラメルに仕立ててから使用することで、ほろ苦さとコクを出し、甘味を抑えた。



ホテルグランヴィア大阪
市原健太郎さん

クインビーガーデンのメープルの特徴である、コクと香りの豊かさを最大限活かすことを意識しました。飾りをせず作業時間を短縮、形状を工夫して商品価値を高めるなど、実際に販売できる商品に仕上げました。



審査中の市原さん。作品は「日本人の繊細な感覚に合う菓子」と高く評価された。




【和菓子部門】最優秀賞
楓の恵み

優しい味わいのメープルミルク羊羹に、ベリーダークのメープルシロップとメープルシュガーで作る錦玉羹を散りばめて、メープルの木から溢れ出る樹液を表現。中心には、メープルシュガーで炊いた餡で仕込む柔らかな浮島を挟み、羊羹と共に儚く溶けるような食べ心地を目指した。



石村萬盛堂
長池 博さん

樹液をたたえたメープルの木の、生命力と神秘性を表現しています。浮島と羊羹の口溶けを合わせることが課題でしたが、粉を減らし卵白をふわっと泡立てることで、柔らかく軽い浮島生地を実現しました。



2度目の挑戦で見事受賞した長池さん。メープルの風味を活かす伝統の技法が光った。






◎ 株式会社クインビーガーデン 東京支社
☎ 03-6228-4183
www.qbg.co.jp

◆受賞作品のレシピはこちらから
http://www.qbg.co.jp/contest/copy_contest14.html



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