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ごみを出さない、“未来のマーケット”

NAKED-waste less market-開催

Feature / SdgsAug. 22, 2019

photographs by Misaki Matsui

今年10周年を迎える青山ファーマーズマーケット(正式名称Farmer’s Market@UNU)は、都市で暮らす人々と生産者を繋ぐ東京・国連大学前のマーケットです。食と農に向き合う一方、マーケットで出るごみや、形が不揃いで売れ残る野菜のデリバリーなど、フードロスを削減する「Re-think Food Project」など、様々な活動を行ってきました。

7月に青山ファーマーズマーケット内にて行われたNAKED-waste less market-は、「極力ごみを出さず、農家さんの負担も少ないマーケット運営を目指したい」という想いから実現した、量り売りマーケットです。
野菜や果物に加え、パンやワイン、オリーブ油、乾物、コーヒー豆まで、食材を包装せずに“ありのまま”(=naked)で販売し、必要な分を必要な分だけ、量り売りで購入できる買い物システム。お客さんはマイバッグや空き瓶、容器などを自宅から持ちより、購入後、自宅に帰った後は、無駄なごみが一切出ない設計です。



ナス1本、ピーマン一個から購入できる量り売りのシステムは、単身世帯が増えている時代の需要とも一致する。


現在、国内で排出される使い捨てのプラスチックごみは、年間約400万トンといいます。環境省では、スーパーやコンビニのレジ袋の有料化の義務化することでプラスチックバッグを減らす方向を示しているものの、未だコンビニの袋は無料、一部スーパーの店では有料ですが、殆どが5円程度で気にせず買う人が多いのが現状です。

NAKEDの出店者はオリーブ油などを扱う「斗々屋」、平飼い卵の「セオリファーム」、野菜類は「農園ヘブン」「momoGファーム」「グリーンバスケットジャパン」「ハーブ農園エンジョイ」「Ome Farm」、コーヒー豆の「Stochkholm Roast」や小豆島で作る生ハムを提供する三好昭浩さんなど食材類のほか、廃棄傘布を使ったプロダクトを展開する「bee」、繰り返し使えるシリコン製の容器を扱う「stasher」、日本初のプラスチックフリーの店「エコストアパパラギ」、さらに、繰り返し使えるミツロウラップ「Aco Wrap」やバッグや竹のストローなどを扱うミャンマーの雑貨店「パダウ」など、ごみを出さず、環境に配慮した暮らしをサポートする、繰り返し使える日用品類も、多く並びました。

2019年5月にオープンした神奈川県藤沢の日本初のプラスチックフリー商品の店舗「エコストア・パパラギ」では、海や地球の汚染を肌で感じているダイバーたちが立ちあげたプロジェクト・ストア。竹の繊維から造られたエコカップやセルロース(植物ファイバー)100%のスポンジ生活用品を揃える他、レジ袋、ラッピング、プラスチック製品はなく、オーガニックのハーブティーから生分解する洗剤まで量り売りを徹底している。




さらに入口付近には来場者から自宅に眠っているバッグや紙バッグを集め、マイバッグを忘れた人でも自由に使える“Boomerang Bags”のレンタルスペースを設置。使った人は次にマーケットに来る時に戻します。



“Boomerang Bags”のレンタルスペース。今後、青山ファーマーズマーケット全体でも、石油由来のプラスチックバッグの廃止を検討している。


オーガニックコットンの袋を150~300 円、ろうがぬってある紙袋を50円の価格で販売。有料化の言外にはもちろん、“使い捨てないで”のメッセージが込められる。出展者「斗々屋」にて。


布袋、タッパーやジップロックなど、持参した容器を持ちながら、量り売りでの買い物を楽しむお客さん達。


オーガニックのオリーブ油は200mlで400円とお値ごろ。コツをつかむとスムーズに注げる。


自宅から持ち寄った様々な形の空き瓶にビオワインやドライトマトを詰めて。量り売りでの買い物を心待ちにしていたというご夫婦。



造り手の労働負担

“NAKED”の出店者、主にオーガニック食材を取り扱う梅田温子さんは2017年、量り売りから拡がる未来の暮らしをコンセプトに「斗々屋」を設立しました。ゼロウェイストの店づくりにコンセプト提案を行いながら、ファーマーズマーケット等で量り売りを実践しています。設立のきっかけは自身が取引をする生産者とのやりとりからでした。

「生産物の販売にあたり、選別、小分け、袋詰め、ラベル貼り……、造り手に、“造る”以外の作業が多すぎるように感じました。ただでさえ農家の数は減っているのに、現場の労働に無理を強いている」と。なぜ小包装が必要か、なぜ袋詰めが必要か、仕事で繋がりのある造り手、売り手と直接の話合いを重ねて、梅田さんが出した結論は、やはり包装は不要、というものでした。


“北風”作戦か、“太陽“作戦か。

社会を動かそうとする時、しばしば突き当たる課題。「北風作戦でいくか、太陽作戦でいくか」。例えば規律で半ば強制的に動かすか、環境を整え、自発的な動きを誘うか。
フランスでは2016年7月から「エネルギーの移動に関する法律」の枠組みで、「生分解性プラスチック製でない使い捨てのレジ袋」が全国的に禁止されています。バイオマス原料の生分解性プラスチック袋でも厚さ50ミクロン以上でないと使用禁止です。さらに大手スーパー、「カルフール」でもプラスチックバックは完全廃止。梅田さんは居を構えるフランスの例に倣い、企業や行政から、トップダウンで半ば強引に引っ張っていく“北風”作戦が一番早く、確実だと判断します。

声をかけたのはオーガニック食材を扱う、日本の大手企業の社長たち。これまでの関係性もあり、必ず賛同してくれるはずと意気揚々に掛け合いましたが、けんもほろろに返されます。曰く「無駄が経済を生む。」
「失望しました。オーガニック食材を扱う企業でも、その考えなんだって。そもそも“オーガニック”の認識にも違いを感じました」。


“オーガニック”の認識のズレ

ここでオーガニックの定義について考えます。オーガニックとは、広辞苑では「農産物の栽培に当たって農薬や化学肥料など化学的なものを一切使わないこと。無農薬有機栽培」とあります。そこから派生して、各国では言葉から抱くイメージが異なるようです。

梅田さん曰く「日本では、オーガニックは自分の健康促進のための生産物を指すイメージですが、ヨーロッパでは環境に配慮するものの考え方すべてを指します。つまり前者の主体は“自己”、後者は“他者”。農作物ことだけでなく、土壌や海のこと、環境に作用し、循環する食の在り方を指すのです」。
梅田さんは日本でしばしばこの認識のズレを感じています。「そもそも農薬、化学肥料を使わず、人にも環境にも優しい農作物を売りたい、買いたいという人ならば、これだけのプラスチックバッグが飛び交う現状や、ごみの算出に無関心でいられないはずなのに」と。

日本企業の賛同を得ることが難航し、梅田さんは作戦を変えます。北風ならぬ、太陽作戦。人が自ら進んで動いてくれる方法は何か。「日本で量り売りをし、ごみを出さない店舗経営を私が実際に見せる。できるだけ多く。そして買いに来るお客さんの声を聞き、リアルな反応を見てもらう」。例えば難しいと思っていることも、身近な誰かが簡単にやっているのを見ると「私もできるかも」と思うことがある。身近な成功例は、自分の成功も現実的にイメージできるからだ。
「それに楽しそうに量り売りをする人々を見ると、じゃぁ私も、という人もでてくるのでは」と考えました。


造り手が思う、野菜の美しさ

マーケット運営スタッフや梅田さんとともにNAKED企画段階から関わってきた出店者の小川拓真さんは、炭火焼き鶏とワインの店「Gallo四谷」のシェフであり、千葉・勝田台の「農園ヘヴン」で無農薬野菜を栽培する農家でもあります。かねてより感じていたのは、野菜の販売方法への感覚的な違和感でした。「スーパーでは何故、野菜をぐるぐる巻きにするんだろうって。だって野菜ってこんなに美しいのに」。

小川拓真さん(写真・右)は、2017年から千葉・勝田台の自社農園で野菜を栽培。“昭和初期の野菜の栄養価”を目指して、無農薬、少量生産を行う。


「農園ヘヴン」の野菜は、朝、収穫したはしから裸のままコンテナに入れて売り場へかつぎこまれます。まびかないから、成長度、大きさもまちまちですが、量り売りで公平に売れる。高値になりがちなオーガニック食材も、価格が抑えられています。
さらに造り手、買い手の仕事についても、互いに“作業”にするのは勿体ない、と言います。「買い物の前にはバッグを選ぶ、あ、あれを買うからこのビンをもっていこう、小さな袋はいるかな、これじゃ大きいかな、など考えることは、日々の買い物を作業でなく、クリエイティブにします。造り手だってそう。包装を義務のようにこなすのでなく、思い切って不揃いの作物を裸のまま並べて、個性や色ツヤを思いっきり語ればいい」。造り手である小川さんの言葉には実感がこもります。




お客さんが持ち寄るバッグは、心なしか着こなすファッションともどこか一致している。プラスチックバッグよりも、持ち歩く姿も様になる。




都心で積み重ねる、小さなモデルケース

“買う”作業が加速度的に手軽になる時代、セロファン、パッケージ、小分けの包み、配送時の衝撃吸収材、プラスチックバッグ……、思い付くだけでも巷には膨大な包材が溢れます。これらは確かに、いずれ“ごみ”。ただ、この包装は消費者への販売にあたり、販売者が“より鮮度よく”“より衛生的に”“より見栄えをよく”など様々な想いから施すもの。当たり前ですが、日本人らしい、他者を気遣う配慮のもと、行っていることです。そのために現場では時間をかけて袋詰めなどの労力を注いでます。

裸食材の量り売りを実践していくと、例えば、袋詰めされていない野菜の安全性に抵抗を示す人、鮮度を疑う人、またエコバッグなど、買い物に荷物が増えてしまうことを嫌がる声も出るかもしれません。
ただ、それら1つ1つを解決の方向に導くもの、それが実践と対話、梅田さんたちのいう “小さな”モデルケースの積み重ねです。

ゼロウェイストのマーケットは、通常の販売よりお客との対話、コミュニケーションを多く必要とします。都心の一等地で、地方へ赴く機会の少ない都市生活者が、造り手の顔を見て直接コミュニケーションがとれる青山ファーマーズマーケットは、その意味で、新たな可能性に満ちています。
“NAKED”は今後も、月に一度のペースで、取り組みを続ける予定です。



会場には米・カリフォルニア州のアリス・ウォータースのオーガニックレストラン「シェ・パニーズ」で長年シェフを務め、2017年から東京・神田「ザ・ブランド・ドンキー」で腕を奮うジェローム・ワーグ氏(右)も来店。店では余った食材の生ごみはコンポストにして肥料にして取引先の農家に戻し、食材の仕入れ時に出るプラバックやセロファンは洗って戻している。「斗々屋」の梅田さん(左)。


会場内で開催されたトークセッション「NORAH TALK」。青山ファーマーズマーケットの運営スタッフ酒井かえでさんと、小川拓真さん、「斗々屋」の活動にも関わり、地方と食とサステナブルをテーマに活躍する菊池博文さんや、出店農家さんを交え、未来のマーケットについて意見を交わした。



◎ Farmer’s Market @UNU
http://farmersmarkets.jp/

2019年8月31日(土)~9月1日(日)の週末、青山ファーマーズマーケット10年間の食の体験が詰まったイベント 『APPETITE』が開催されます!スペシャルコンテンツのひとつとして“NAKED-waste less market-”も再び登場です(9/1(日)のみ)!



ゴールとのつながり


7

エネルギー   農家から直接購入する。


12

つくる責任つかう責任    量り売りをする。必要な量を買う。エコバッグを持参する。


14

海の豊かさを守ろう    プラスチックごみがどこへ行き、どんなルートで
             処理されているかを理解する。




  

<OUR CONTRIBUTION TO SDGs>
地球規模でおきている様々な課顆と向き合うため、国連は持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals) を採択し、解決に向けて動き出 しています 。料理通信社は、食の領域と深く関わるSDGs達成に繋がる事業を目指し、メディア活動を続けて参ります。









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