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JOURNAL / AMERICA

America[New York]
パンを通して真の平等社会を学ぶ

Mar. 25, 2021

  • text by Akiko Katayama

  • タイラー・リー・スタインブレナー氏は、社会のあり方を再考させるパン職人だ。

    2020年春、コロナ禍でミシュラン二ツ星の現代北欧料理店「アスカ」の発酵食品研究開発職を失った氏は、医療関係者や、当時急速に高まった人種差別反対デモ活動を支援すべく、パンを焼いて無料で配布。その中で、飲食業界をはじめコロナにより大打撃を受ける人々と、変わらず豊かな生活を楽しむ人々が共存する社会の歪みを強く感じたという。

    そこで氏が同年7月に開いたのが「ACQブレッド」だ。
    「誰もがおいしいパンを食べる権利がある。安いパンではなく、独立農家が育てた有機食材で作る優れたパンを食せることが、本当の平等だと思うのです。そもそも大量機械生産の廉価のパンが、穀物価格や品種の多様性のバランスを打ち砕き、我々の健康を損ねているんですから」

    古代小麦やバターなど材料は全て地元農家から購入。自家培養酵母を用い、自家製粉の粉を手で捏ね上げ、毎日約120個を1人で焼き上げる。1つ11ドル前後と決して安くはないが、納得のいく価格だ。販売で得た収益は、他の慈善団体に無料で寄付するパンの製造に充てている。「このビジネスは、資源の再配分のツールだと考えています」。

    公正で平等な社会への願いを込めた店名「ACQ」は”anti-conquest(反征服)”を意味する。「パン作りのお陰で、大切なものを見失うことなく、日々地に足がついた感じです」。

    (写真)スタインブレナー氏は大学で美術を学んだ後に料理界へ。サンフランシスコの「アテリエ・クレン」、バンコクの「ナーム」など、世界屈指のレストランでの修業経験も持つ。




    ◎ACQ Bread
    販売は事前予約制、店頭受け取りのみ
    日本の食パンをイメージし、生地に米を混ぜ込み、深い風味とふわふわの食感を持たせた「ACQミルクブレッド」他、毎日4~5種のパンを用意している。
    https://www.acqbread.com/
    Instagram:@antiwuest_baker





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