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JOURNAL / JAPAN

日本[秋田]

ブランド米の“真打ち”登場!!「サキホコレ」に込めた熱き想い。

2021.04.05

秋田県美郷町仙南の試験栽培田で「サキホコレ」を手掛ける生産者の伊藤福章さん。

「あきたこまち」の登場から36年。日本有数の米どころとしての威信を賭けて、激化するブランド米競争に、秋田県が満を持して参戦します。その名も「サキホコレ」。2022年の市場デビューに照準を合わせ、県内では品質に磨きをかける日々が続いています。



「ここまで完成度の高い米はなかった」


「久しぶりにこんな玄米を見たと思いました。きれいな飴色で、張りと艶がある」。そう語るのは、秋田市で米穀店を営む平沢敦さんだ。平沢さんは米穀店の団体が認定する「五ツ星お米マイスター」。秋田米の品質を判定して等級を決定する農産物検査員も長年務めてきた。「玄米の状態で品種がわかる」目利きである。「炊き上げると白さと艶が際立ち、粒感・弾力・粘りを兼ね備え、鼻に抜ける香りもいい」。平沢さんが家業の米屋を継いだのはちょうどあきたこまちが登場した36年前。「様々な米を扱ってきたが、ここまで完成度の高い米はなかった。自信を持って売れます」



絶対に品質を落とさない


新品種のキーワードは「地力」と「頂点」。「白神山地、奥羽山脈、鳥海山に囲まれ、米代川、雄物川、子吉川が流れる肥沃な大地が県内に広がる。太平洋側には厳しいヤマセも奥羽山脈に遮られて、秋田に入ればフェーン現象で温かい風になる。“宝風”と呼ばれるんですよ」と、平沢さんが「地力」の所以を語る。「加えて、稲優先で細かい手間を厭わない熱心な農家が多い」。そんな土地の力と人の力によって、「サキホコレ」は「頂点」を目指す。


秋田県美郷町仙南の試験栽培田で「サキホコレ」を手掛ける生産者の伊藤福章さん。

頂点への道筋のひとつが「適地適作」である。気温などを基に「作付推奨地域」を設定。さらに「生産者要件」(*1)を満たす生産者に栽培を限定。しかも「品質・出荷基準」(*2)を満たさない米は煎餅など加工品へ回される。栽培農家には土壌診断を義務付け、食味の土台となる土づくりも徹底する。「ここまでコントロールされるのは秋田県では初めてですね」と平沢さん。


*1 減農薬栽培、前年のあきたこまちの玄米たんぱく質含有率が6.5%以下、1等米比率が90%以上。
*2 玄米たんぱく質含有率が6.4%以下、農産物検査等級が1等または2等、玄米水分含有率が14~15%。

全国的に見て、鳴り物入りでデビューしながら次第に評判を落としていったブランド米は少なくない。その背景には、気候と土壌の適正や生産者の技術に関係なく栽培して、品質のバラツキを生じ、評価が崩れるといった原因がある。秋田の新ブランド米は「適地適作」を厳守することで頂点を守る。頂点に位置して、主力米のあきたこまちなど県産米全体の市場価値を引っ張り上げるフラッグシップとしての役割も担う。



名称募集に25万件の応募


2020年春、実施されたネーミング案の公募には全国から25万893件の応募があった。最優秀賞100万円という賞金額もさることながら、米どころ秋田からの新ブランド米という真打ち登場への期待が垣間見える。平沢さんの店には、「まだ売られていないの?」という問い合わせがくるそうだ。平沢さんは、この米が全国から引っ張りだこになってほしいと同時に、誰よりも秋田県民に食べてほしいと願う。「昨今のブランド米は、地元より首都圏に照準が合わせられている。地元の米屋としては、まず県民がおいしさを認めて、地元から発信される米であってほしい」。県民の誇りとなる米と信じればこその熱き想いだ。




◎平沢商店
秋田県秋田市大町5-7-18 
☎018-862-4032 
8:30~19:00 
日曜・祝日、年末年始休


◎問い合わせ先
秋田県農林水産部秋田米ブランド推進室
☎018-860-1784



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