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日本[福島]

【ふくしまプライド。ツーリズム】

福島の「こでらんにない」を支える人びと

Journal / JapanJan. 28, 2021

text by Mieko Sueyoshi / photographs by Hiyori Ikai

「こでらんにない」とは若い人はもう使わなくなった福島方言。「ラ・ブランシュ」田代和久シェフが故郷福島でほんとうにおいしいものに出会ったとき、思わず口に出る言葉です。「翻訳すると言いようのない旨さかな。旨いなぁ、としみじみ感じたときに使います」

福島県は、気候風土や食・文化も異なる個性豊かな3つの地域があり、たくさんの「おいしい」が育っています。「ふくしまプライド。」とは、ふくしまの生産者たちが、手間を惜しまず、たっぷりと愛情を注いだ自慢の逸品の総称です。
田代シェフが育った川俣町は、浜通り、中通り、会津と三地域に分かれる福島県の中通りに位置します。子供のころは裏手に流れる川でウナギを獲ったり、熟した渋柿を木からもいで口いっぱいにほお張ったりと、自然豊かな田舎暮らしがシェフの味覚を育てたそう。木々の葉がすっかり落ちた晩秋の福島。「こでらぎない」を支える人びとを田代シェフが訪ねました。


福島県出身の「ラ・ブランシュ」田代和久シェフ

同行したのは会津東山温泉「原瀧」「今昔亭」「レイクビュー猪苗代荘」統括総料理長の根本成史さん。新鮮な地野菜と旬の食材を取り入れて、地元でしか味わえない料理を日々提供しています。




会津地鶏(会津地鶏みしまや)

会津盆地から只見川に沿った山間を三島町へ。「会津地鶏」の生産者を訪ねました。会津地鶏は平家の落人が愛玩用に持ち込んだ鶏が始まりと言われ、450年以上も前から会津地方でのみ飼育されていた固有種で一時は絶滅寸前となりました。今、会津地鶏として生産されているのは固有種(純系会津地鶏)を三代交雑した在来種由来血液百分率75%のもの。訪ねた「(有)会津地鶏みしまや」では、飼育から食鳥処理、食肉処理までを一貫して行い、食鳥処理の段階で出る羽、血液、不可食内臓などは乾燥させて堆肥化し、農家で使用する循環型の生産方法を取っています。


「会津地鶏の特徴は上品な歯ごたえと脂の甘みです。モモ肉だけでなくムネ肉もおいしいとよく言われます」と代表の小平和広さん。おいしさの秘訣はエサと飼育環境。地鶏用飼料に会津産の大豆やリンゴを加え、開放鶏舎は1平方メートル当たり3.5羽から5羽という飼育密度は地鶏の飼育基準の半数以下。電気も暖房もつけない鶏舎で鶏たちは日の出とともに起き、夕方暗くなると寝てしまうという自然に近い環境で、一般的な鶏の3倍近い飼育期間を経て食鳥処理されます。


「モモ肉は長く煮込んでも硬くならないしおいしい出汁が取れますね」と田代シェフ。「旨味のあるムネ肉は焼きしゃぶにしてもおいしい」と根本シェフ。


◎会津地鶏みしまや
http://www.aizujidori-mishimaya.com/



オタネニンジン(清水薬草店)

オタネニンジンとは會津人参(朝鮮人参)のこと。300年前の江戸時代に栽培が始まり、会津藩の財政を支える高価な商品作物として一時期は香港や台湾などへ輸出されていましたが、平成に入って栽培をやめる農家が相次ぎました。生産者の清水琢さんは喜多方市に店を構える清水薬草店の三代目。オタネニンジンはじめ漢方薬の原料となる薬用植物の生産・加工・販売を手掛けています。オタネニンジンの畑は遠くに山々を望む広大な会津盆地の中。柔らかな土の下には4、5年もの歳月をかけて太く育ったオタネニンジンが眠っています。


清水薬草店の三代目の清水琢さん。

「オタネニンジンは種まきから収穫まで4~5年かけて育てますが、その前に1年かけて土づくりをします。というのも連作障害を起こしやすいため収穫後は15年間土を休ませ、栽培前にあらためて土づくりをしなければならないのです。休ませている間は、うちの場合は漢方薬に使われる薬用植物を栽培していますが、地元では田んぼにしている農家が多い5~6年かけてオタネニンジンを育てて収穫したらまた田んぼに戻すというサイクルです」


オタネニンジンは夏、花火のような白い花が咲いた後に赤い実をつけ、種ができます。その種を晩秋から初冬にかけて育てて芽が出たものだけを春、土に植える。土が固くならないよう藁を敷き、直射日光を避けるための遮光シートで覆うなど神経を使いながら、根が土の中でじっくり育つのを待ちます。


2階に上がるとアルコールに漬けた立派なオタネニンジンがずらり。会津の人参は他の産地と比べると、細い根が旺盛に伸びているのが特徴で、細い根が髭のように伸びているのは透水性・通気性のある柔らかくて栄養のよい土で育った証拠なのだそう。


◎清水薬草店
http://www.aizuninjin.jp/



とろねぎ(忠藤農業株式会社)

会津盆地の「とろねぎ」生産者、忠藤農業(株)の佐藤忠保さん。7頭のコリーたちに出迎えられながら納屋に入ると、佐藤さんが太く育った“とろねぎ”を見せてくれました。持つとずっしり重く、測ると450グラムも。スーパーで売られている長ねぎの2、3倍の重さはあります。


「うちのとろねぎは、雪の重さに耐えられる固い品種です」と話す佐藤さんは13代続く米農家の生まれ。通常のねぎは秋に収穫されるが、佐藤さんは冬を越し雪解けの頃までねぎを栽培し続け、11~12月ごろ収穫する「霜降りとろねぎ」、降り積もった雪下から掘り起こす「雪下とろねぎ」、雪解けのころの「越冬ねぎ」の3種類を「とろねぎ」としてブランド化しました。「霜降り」は青みが強くて臭いも強い、「雪下」は甘くて瑞々しい、「越冬」は軟らかくとろける食感とそれぞれ違った個性があり、どれも土地が肥沃で冬でも湿気が多い会津でしか作れない特別においしいねぎだと胸を張ります。


「味の良い雪下ねぎは以前にも作る人はいましたが、スコップで除雪しながら手掘りするという大変な収穫作業の割に、雪の重みで曲がったねぎは見た目が悪いということで市場価値が低かった。それで仲間を募って勉強会を開いたり、料理人さんに実際に食べてもらって味の良さを認めてもらったりして、3年前に“とろねぎ”を商標登録しました」。たっぷり水を蓄えたとろねぎは、切ると切断部分からじんわり水が滴ってくる。焼けば甘く香ばしいねぎの香りも楽しめる。極寒の湿った大地だから作り出される「こでらぎない」味だ。



◎忠藤農業株式会社
福島県会津若松市神指町西城戸37



醤油(イゲタしょうゆ・みそ醸造元 林合名会社)

夏は蒸し暑く、冬は寒さが厳しい会津盆地は、軟水も湧き出る醸造に適した土地です。イゲタしょうゆ・みそ醸造元 林合名会社は、酒蔵やみそ・しょうゆ蔵が今も点在する会津若松市内にあります。寛政4年創業以来の伝統の味を守るイゲタしょうゆ。林寛さんは伝統の味を持続させる秘訣をこう語ります。「うちでは、昔ながらに手間と時間をかけて醸造。大豆、小麦、塩などの原材料も、その時々で変えながら伝統の味を造り出しています」


懐かしいと思う味の正体はじつは使われたしょうゆの味だったりする。イゲタしょうゆは今も昔も懐かしいふるさとの味を支えています。



◎イゲタしょうゆ・みそ醸造元 林合名会社
https://igeta-hayashi.co.jp/




「こでらんにない」の源を訪ねた田代シェフ。出会った食材で料理を2品作っていただきました。



「オタネニンジンと会津地鶏のシンプルスープ 紫からし菜添え」


塩水にオタネニンジンを入れて火にかけ沸騰したら会津地鶏のもも肉を加えて煮ます。オタネニンジンの香りと苦みをほのかに感じつつコクのある、味わい深い会津地鶏のスープ。


「霜降りとろねぎと会津地鶏のパイ包み」


塩麹、地元の百花蜜、イゲタしょうゆ、オリーブオイルでマリネした会津地鶏の胸肉の中に砂糖、塩、オリーブオイルで蒸し煮にしたとろねぎを入れ、さらにとろねぎで巻いてからパイ包みに。会津地鶏のレバーに赤ワイン、イゲタしょうゆ、地鶏スープを合わせたレバーソースを添えて。



◎青山「ラ・ブランシュ」
東京都渋谷区渋谷2-3-1 青山ポニーハイム2F
☎03-3499-0824
12:00~13:30 LO、18:00~20:00 LO
火・水休

◎会津東山温泉 原瀧
福島県会津若松市東山湯本235
☎0242-26-4126
https://www.yumeguri.co.jp/

◎会津東山温泉 今昔亭
福島県会津若松市東山町湯本247
☎0242-26-4126
https://konjakutei.yumeguri.co.jp/

◎レイクビュー猪苗代荘
福島県耶麻郡猪苗代町葉山7105
☎0242-62-4511
https://lakeview.yumeguri.co.jp/


◎ふくしまプライド。
https://fukushima-pride.com/










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