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JOURNAL / JAPAN

日本 [長野]

心と体にワンランク上のパーソナルケアを。

軽井沢プリンスホテル イーストのヘルスケアステイ

2018.12.12

医学博士 柳澤厚生氏。一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会代表理事 国際オーソモレキュラー医学会会長を務める。

栄養情報があふれている昨今。何を摂り、何を制限すべきか、判断に迷います。ビタミン、ミネラル、カルシウム、不飽和脂肪酸……普段の食事の中で上手に摂って健康維持に生かしたい。でも、どんな摂り方が効果的なのか? そんな栄養的観点から体のケアを行う「オーソモレキュラー」を取り入れたホテルのステイプランがスタートします。人生100年時代の新しい旅のかたちとして関心を集めそうです。

人生100年時代の旅のキーワードは「ウェルネスリゾート」。

旅の効用を指摘するレポートは国内外で数多く発表されている。
いわく――日常から解放されて、体が休まり、リラックスできる。食事や睡眠が自ずと規則正しいリズムを刻んで、体調が整えられる。普段と異なる環境に身を置くことによって、脳が鋭敏に働き、思考は柔軟になり、共感力が高まる。それが自然の中であればいっそう気分はリセットされ、ストレスが低減し、免疫力が向上する。結果的に様々な症状や疾患の改善や回避に結び付いたり、長寿に通じる、等々。ちなみに、初めての料理に舌鼓を打つといった行為も脳の活性化にプラスに作用するという。

そんなメリットをより効果的に高める旅のプランづくりに取り組むのが、「軽井沢プリンスホテル イースト」だ。

軽井沢駅南側の広大な土地に自然環境を生かしたリゾートエリアを展開する「プリンスグランドリゾート軽井沢」の中でも「ホテル イースト」は、「ウェルネスリゾート」をコンセプトに掲げています。
「軽井沢には元々、“保養地(保険休養地)”としての歴史があります。1880年代後半、避暑に訪れたカナダ生まれの宣教師アレキサンダー・クロフト・ショーが、その清澄な自然と気候に感銘を受けて“屋根のない病院”と評したのがきっかけでした。彼は宣教師仲間や知識人、著名人らに推奨し、軽井沢は日本を代表する保養地としての地位を確立しました。そんな軽井沢の緑、水、空気といった自然環境は、現代においていっそう多くの人々の人生を豊かにできるのではないかと考え、『ウェルネスリゾート』というコンセプトを打ち出しています」と解説するのは、軽井沢プリンスホテル 事業戦略・マーケティング戦略担当の中嶋里紗さん。

各種揃う施設群の中でも美と健康を養う温泉とスパを特色とする「軽井沢プリンスホテル イースト」は、来年2月から、オーソモレキュラー医学会との連携によって、心と身体にワンランク上のパーソナルメンテナンスを施すステイプランをスタートさせる。栄養療法の観点から健康づくりをサポートし、ゲスト自身が日頃の生活習慣を見直して自分に合ったライフスタイルを築くきっかけとなるプログラムを提供していく。



注目の栄養療法、オーソモレキュラー。

オーソモレキュラー(Orthomolecular)とは「分子栄養医学」「分子矯正医学」を意味する。と聞くと、ちょっとむずかしそうに感じられるが、具体的には、ビタミンやミネラルなどの栄養素を正しく取り入れることで、病気の予防や治療を行う医療を指す。個人の体質や体調によって必要な栄養素の種類や量は異なるため、専門的な知識を持った医療従事者の指導のもとで行うことが基本だ。アメリカのライナス・ポーリング博士(幅広い分野で研究を行い、ノーベル賞を2回受賞した科学者)によって1960年代に提唱されて以来、世界中の大学や医療機関で研究・実践されてきた。

「薬は時に副作用を生じます。でも、栄養にはその危険がありません。栄養の的確な摂取は、予防にも治療にも活かせるんですよ」と語るのは、オーソモレキュラー医学会の柳澤厚生会長だ。「1日1gのビタミンCと10mgの亜鉛を摂ることで風邪にかかる率が下がったという研究結果も報告されています」。
栄養を正しく摂れば、細胞は自らの力で回復しようとする。薬は対処療法、栄養は根本治療と言われる所以である。



医学博士 柳澤厚生氏。一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会代表理事 国際オーソモレキュラー医学会会長を務める。



ゲストは、ホテルに到着してチェックインすると、柳澤会長による45分ほどのセミナー、その後、一人ひとり個別の診察を受け、健康・栄養・食事のアドバイスを受ける。そして、夜は、オーソモレキュラー医学会の指導に従って組み立てられたディナーが待っている。地元長野の食材をふんだんに使い、「美-体の中から美しく」「活-疲れない元気な体」「脳-クリア&シャープ」をテーマに作られる料理は、栄養を効果的に活かす配慮がなされている。

ビタミンCや消化酵素に優れた野菜は生で。ダイコンやカブは消化酵素を生かすように意識して。ニンジンやホウレンソウは加熱してカロテンを摂取しやすく。ビタミンDや食物繊維、βグルカンが豊富なキノコ、ビタミンEとCoQ10を含むナッツ類、マグネシウム、ビタミンE、鉄が特徴的なゴマなどを組み込んで。また、腸内環境を整えて免疫力を高め、美容効果も高い発酵食品、特にイソフラボンを多く含む大豆食品の味噌を活用するなど、とりわけ女性にうれしい気遣いが随所に潜む。
翌日の朝食は発酵をテーマに組み立てられ、地元のあま酒、味噌、塩麹を多用、ごはんは玄米ともち麦といったように、細部に至るまで体への効果を考えた献立に仕上げられている。



ディナーのメイン料理のひとつ(選択制)「信州富士見高原ファーム骨付き鹿肉のグリル ジャガイモのロースト クミン香る人参のピュレ」。鹿は他の肉に比べて鉄分やたんぱく質が多い一方で、脂質とカロリーが低く、また、エネルギー代謝を助けるカルニチンも多いので、体重が気になる人にもお勧めの食材。βカロテン豊富なニンジンのピュレと共に。



同じくディナーのメイン料理のひとつ(選択制)「信州米豚肩ロース肉のグリル 金時人参のメイプルグラッセ マスタード添え」。豚肉は疲労回復に効果があると言われているビタミンB1の量が、牛や鶏肉に比べて約10倍。B1が不足すると、集中力が低下するので、仕事や日常生活で疲れを感じている人や、活力が欲しいと思っている人にお勧めの食材。信州米豚はオレイン酸を多く含む。ニンジンのβカロテンは肌や髪の健康に良い。



発酵をテーマとする朝食メニューから。「こうじと井戸水だけの手づくりあま酒とイチゴのスムージー」と「信州サーモン 塩麹焼き」。スムージーにはヨーグルトも使われている。



オーソモレキュラー医学会の監修を受けながら料理を考案する洋食調理リーダーの板倉正佳さん。「食材の栄養と効果、上手な組み合わせ方を勉強中です」。



そして、朝食の後はスパ。信州ハーブ&白樺のアロマテラピーマッサージ(50分)が受けられる。疲れを取り、コリを和らげ、血流を良くして、体調を整えると同時に、ハーブのアロマが嗅覚を刺激して、心や脳の働きにも様々な効果がもたらされる。

オーソモレキュラー医学会がホテルと連携するのは初の試みだという。柳澤会長は、ホテルを舞台としたパーソナルヘルスケアの意義を次のように語る。
「心身ともに健やかに過ごす上で栄養が鍵を握ることは、これまでも講演やセミナーを通して啓蒙してきました。そのような場でも知識としては十分伝えられているのだと思いますが、日常と切り離されたホテルに滞在しながら、一人ひとりが自分の体と向き合う形で複合的に体験することによって、栄養を意識的に摂る大切さを実感してもらえる。軽井沢という自然環境に恵まれた心地良い土地であることはよりプラスに働くと考えています」



地元長野の優良食材がおいしさを底支え。

自然環境に恵まれた軽井沢周辺は、優れた食材の産地でもある。オーソモレキュラーをおいしさの上でも底支えしていると言えるだろう。
医学会の指導によって、テーマの「美-体の中から美しく」にあてはまる食材として赤肉の鹿、「活-疲れない元気な体」には豚肉、「脳-クリア&シャープ」としてはサーモンがメニューに組み込まれたが、シェフによって選ばれた信州富士見高原ファーム」によるジビエの鹿、「信州米豚」「信州サーモン」はいずれもが地元のテロワールを映し出す特産品だ。猟友会員の有志によって2013年に設立された「信州富士見高原ファーム」は、鹿にストレスを与えないように捕獲し、素早く解体処理することで柔らかい肉を提供。
また、「信州米豚」は地元佐久地域で育てられた信州のブランド豚。名前の通り信州のお米、それも粉砕した玄米が与えられるため、オレイン酸を多く含み、さっぱりした脂質の甘味ある味わいが特徴だ。
そして、「信州サーモン」は、長野県水産試験場が約10年かけて開発したトラウト(マス)の一種で、海面養殖のサケマス類と比べて高タンパクで低脂肪、低カロリー。身質はきめ細かく、舌触りがよい。



長野県産の食材をメインに揃える。シイタケや原生種のエノキはもちろん長野産。ステイプランが開催される2月には雪下ニンジンが登場する。



水に恵まれ、発酵が育まれてきた土地。

朝食の重要な一品、あま酒のスムージーに使われるあま酒の蔵元を訪ねた。
佐久市の橘倉酒造。江戸元禄初期の創業で、現在18代目を数える。「はっきりした創業年がわからないのですが、少なくとも320年は続いていると聞いています」と、専務の井出平さん。
軽井沢が位置する長野県の東信地区は13蔵が並び立つ、古くからの酒どころだ。橘倉酒蔵のある佐久は北に浅間山、南に八ヶ岳、西に蓼科連峰を臨み、南北に千曲川が流れる標高700mの高原。晴天率が高く、冬の厳寒期にはマイナス10℃以下も記録する寒冷な気候、山々から流れる清冽な水、穀倉地帯としての良い米に恵まれてきた。

橘倉酒造は2016年の伊勢志摩サミットのおみやげに純米吟醸「無尽蔵」が使われるなど、その評価は揺るぎないが、最近は20年前から造り始めたあま酒が人気だ。
「あま酒であっても、蔵元ならではの造りにこだわり、高精白米で仕込んだ麹100%と蔵の井戸水でつくる、全国的にもめずらしいあま酒なんです」
その名も「こうじと井戸水だけの手づくりあま酒」。すっきりとした口当たり、品の良い甘さが後を引く。



朝食のスムージーに使われる「こうじと井戸水だけの手づくりあま酒」。高精白米でつくる麹を使うだけあって、磨き上げられた味わい。



橘倉酒造の井出平専務。後ろに見えるのが井戸で、水神様を祀って注連縄が張られている。蔵の風情が伝統を感じさせて余りある。



発酵途中の麹。長野県産米を使う。あま酒は「飲む点滴」と言われるほど栄養価が高い。発酵食品のメリットも兼ね備えた優良食材。



気付きが心身の健康をもたらす。

「以前、心臓病の患者さんに、魚菜食、瞑想、ヨガを組み合わせた総合プログラムに1年間取り組んでいただいたことがあります。すると、心臓や血管の機能に改善が見られた」と柳澤会長。日常生活の大切さを物語るエピソードだ。「予防と治療は同じなんですよ」。

糖質制限食、腸内フローラ、デトックス、ファスティングなど、栄養の摂り方をコントロールすることで健康を管理しようという意識の高まりが最近顕著である。薬を必要としないで済むためには、栄養を正しく摂ることが大事と人々は気付き始めた。
柳澤会長は言う、「梅干を見ると唾液が出るのは、頭で考えたことが体で反応するからです。意識することが体を変えていく。このホテルステイで受ける診断やセミナーによって得た自分の体への気付きが、より健やかな生き方を実現してくれると思います」。



栄養医学を取リ入れる1泊2日のパーソナルヘルスケアプログラム
~心も体も美しく こだわりの「美・食・健康」ステイ~

詳細はコチラから

開催日:2月15日(金)~16日(土)の1泊2日
定 員:10名
価 格:55,800円(2名1室利用時、1名さま)
※2018年12月15日より販売開始。 定員に達し次第受付終了。

<スケジュール(予定)>
1日目:
14:00 チェックイン
15:00~15:45 オーソモレキュラー医学会柳澤厚生会長によるセミナー
16:00~18:00 個別面談(1人当たり10分弱)
19:00~20:30 夕食

2日目:
8:30~9:30 朝食
12:00 チェックアウト
*SPA 16:00~、17:00~、21:00~、翌日10:00~

問い合わせ:
軽井沢プリンスホテル

https://www.princehotels.co.jp/karuizawa-east/




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