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JOURNAL / JAPAN

日本 [長野] 

何故諏訪に人が集まるのか?リビルディングセンタージャパンと作る店づくり

2019.12.27

TOP写真:1Fは作業場とリビセンの空間が体感できるカフェ、2F、3Fは古道具の販売スペースに。迷路のように並ぶ古道具は、どれも丁寧にレスキューされたもの。

新宿から特急で2時間強。こと週末になると、諏訪周辺には若者が多く訪れる。お目当ては、ぽこぽこ点在する“行ってみたかった店”散策。近年、諏訪には若い移住者による店が増えつつある。彼らは口を揃えて言う。「リビセンがいたから心強かった」と。“リビセン”とは、一体何者?

TOP写真:1Fは作業場とリビセンの空間が体感できるカフェ、2F、3Fは古道具の販売スペースに。迷路のように並ぶ古道具は、どれも丁寧にレスキューされたもの。

暮らしを見据えた店づくり

「作るなら、10年、20年以上続く店を」と話すのは、古道具・古材などの建築建材を販売する「リビルディングセンタージャパン(通称リビセン)」代表・東野唯史(あずの・ただふみ)さん。彼らは家屋を解体する際に出た廃材を引き取り(レスキューと呼ぶ)、新たな店舗に生かした店舗デザインを提案する。でも提案するのは空間だけではない、店主の暮らしが豊かになる、人生設計を含めた店づくりだ。 



東野唯史(あずの・ただふみ)さん
「REBUILD NEW CULTURE」を軸とする「リビルディングセンタージャパン」代表取締役。妻の華南子さんと共に訪れたポートランドの「ReBulding Center」に感銘を受け、名称の使用許可を得て2016年に同名にて独立する。


「カフェと暮らしの雑貨店 fumi」の村上信之さんは、時間に追われる都内の暮らしに疑問を感じ、諏訪へ移住して結婚。リビセンが手掛けてきた空間が好きだったこともあり、満を持して依頼した。が、「事業計画書を出して数回ダメ出しをくらいました」と苦笑い。





CASE#01
カフェと暮らしの雑貨店 fumi

渋谷のカフェで店長を務めていた村上信之さん。妻の智美さんは下諏訪「マスヤゲストハウス」の勤務経験もある。信之さんは料理を主に、智美さんは雑貨のセレクトを担当する。

POINT1:旧さと新しさが同居する空間


元薬局の存在を色濃く残す象徴的な薬棚は「絶対残そう」と一番に決め、雑貨陳列棚に。


カウンターは敢えてグレーのモルタルにし、木の茶、壁の白を織り交ぜすっきりした印象に。

POINT:2元薬局は、宝の山でした


薬局時代に外されたガラス戸を家屋から発見し、復活させた。


埋め込み棚を食器棚に活用し、見せる収納に。 





「今だけではなく、今後どういう風に暮らしていきたいかを徹底的に詰めました」。リビセンで出張イベントをしていた「あゆみ食堂」の大塩あゆ美さんも、お客に背中を押され、諏訪への移住と店を構えることを決めた。リビセンが味方なら任せてしまえば怖いものなし。のはずが、「彼らの理念は、店主も店づくりに参加すること。私もみっちり施工に参加させられました」。リビセンの店づくりは、予想以上にスパルタだったのだ。







CASE#02
あゆみ食堂

元々、店舗を持たずに、イベントやケータリングを中心に出張料理人として活動していた大石あゆ美さん。2019年春に店舗を構えることを決意し、あれよという間に移住を決意し、10月開店。

POINT1:古民家だけど古民家じゃない


駐車場になる予定だった地元酒蔵所有の古民家を、東野華南子さんが「あゆ美さんに」と交渉。THE・古民家感は避け、ピンクの壁をアクセントに。壁の塗装も自身で。

POINT:2残さなかったもの、残したもの


入口から内観右に続く渡り土間はそのまま生かしトイレを配置(写真左)。壁はもっと濃い板色だったが雰囲気を明るくするため、一部を残し5日間かけて自分でやすりをかけた(写真右)。





「僕らは “リビセンの街”を作りたいわけじゃない。店は彼らが必死で溜めたお金を使って作る大切な暮らしの基盤。だから、空間が意思を持つまで、必然的にそうなるのだと思えるまで想像してほしい。僕たちはそれを空間にアウトプットするお手伝いをします」と東野さん。それに応えるかのように、村上さんは「夫婦で話し合いを重ねるきっかけにもなり、自分達も頼もしくなった」、あゆ美さんは「場所に愛着が湧き、地元の人々との縁にも繋がった」と晴ればれとした顔だ。もちろんこれは、始まりにしか過ぎない。が、移住先で出会った味方と作り上げた、日々の暮らしを念頭に置いた空間は、この先の長い未来を一緒に歩む、最強の相棒となるだろう。

NEWS!<かなこさんによるWeb連載がスタートします!>
2020年1月より、リビルディングセンタージャパンの東野華南子さんによるWEB新連載が始まります。「レスキュー」活動と店づくりを通して、「いい空間て、なんだろう」を一緒に考えていけたらと思っています。お楽しみに!





◎ ReBuilding Center JAPAN
長野県諏訪市小和田3-8
0266-78-8967
11:00 ~ 18:00 水、木曜休み
JR上諏訪駅より徒歩15分
http://rebuildingcenter.jp

◎ カフェと暮らしの雑貨店 fumi
長野県諏訪市末広5-7
0266-75-2702
11:00~19:00(ランチ11:00~14:00LO)
月曜、不定休
JR上諏訪駅より徒歩7分
Instagram:@ __fumi2019

◎ あゆみ食堂
長野県諏訪市元町5-12
0266-75-2720
12:00~14:00LO、18:00~21:00LO
日曜12:00~15:00LO
※今後変更の可能性あり。詳しくはSNSでご確認ください。
水、木曜休(臨時休業あり)
JR上諏訪駅より徒歩15分
Instagram:@ayumisyokudo



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