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“食×SDGs”カンファレンス 開催レポート #6

SDGsがなぜ必要なのか?

クロージングセッション ―フードハブ・プロジェクト真鍋太一さんと共に―

SdgsFeb. 10, 2020

photographs by Shinya Morimoto

徳島県神山町で「地産地食」を合言葉に、地域の農と食を次世代につなぐフードハブ・プロジェクト。その推進役を務める真鍋太一さんを迎えて、サステナビリティのあり方やSDGsの意義について考えます。



農と食の地域内循環システム

「フードハブ・プロジェクトは、神山町役場、神山つなぐ公社、私が所属する制作会社の株式会社モノサス、3者共同出資によって設立された農業の会社です」

クロージングセッションは、真鍋太一さんが携わるフードハブ・プロジェクトの話からスタートしました。神山町は、中山間地域にある人口約5300人の町。農業者の高齢化、担い手不足、人口流出、コミュニティの衰退といった問題を抱えています。それらの解決策を探る地方創生戦略の一環として、フードハブ・プロジェクトは立ち上がりました。

「農業を営む。育てた農産物を使って食堂を運営する。パンを焼く。加工品を作って販売する。保育園や小中学校、農業高校と一緒に地域ぐるみの食育にも取り組んでいます。六次産業化は往々にして都市で売ることを考えがちですが、私たちの場合、“地域で作って、地域で食べる”。地域内循環がテーマです」

会社の設立は2016年。食堂のオープンが17年。真鍋さんはじめ23人のメンバーには県外からの移住者や新規就農者を多く含みます。約4ヘクタールの農地の3割は耕作放棄地や高齢者が維持できなくなった田畑を引き継いだもの。

「役員の一人で農業指導長を務める白桃茂の『今しかない。5年後では遅すぎる』という言葉がみんなの背中を押しました。なぜ、今しかないか? 当時、農業従事者の平均年齢が全国で66・4歳、神山町では70・5歳。神山の美しい棚田を管理しているのが70歳のおじいちゃんという現実があった。これ、会社の平均年齢としたら、かなり危ないですよ。神山の農業も付随する食文化も『待ったなし』の状況だった」




食には大きく分けて2軸あると、真鍋さんは考えています。

「ひとつが生存のための食。こと災害時に浮き彫りになる命に関わる食ですね。そしてもうひとつが快楽のための食。お金に糸目をつけずに追求する趣味性の高い食です。我々は、その2つの間にある“日常の食”に関わることで、地域が抱える課題を少しずつ解決していこうと考えたわけです」

フードハブ・プロジェクトのもうひとつのモットーが「小さいものと、小さいものをつなぐ」。

「これは、白桃茂の息子でフードハブ農業長の白桃薫の言葉です。たとえば白桃家には70年前から伝えられてきた小麦の種があります。それを復活させて、ボロボロの石臼を修復して挽いて、パンを焼く。それを地域で食べる」

そんな小さなつながりの循環の中に愛着が生まれ、その愛着を育てることが地域の持続可能性につながると、真鍋さんは考えます。

「いつでもどこでも同じものが食べられる均一化された大量生産型の食に愛着は生まれにくいでしょう。一方、地域内でつくられた少量だけれど多種類の作物が季節季節に食卓を彩れば、自ずと愛着が湧く。そこにあるものを生かし、世代を超えて、縦につないでいけば、コミュニティの成長につながる。これを私たちは、大量生産システムに対するもうひとつの選択肢としてのエコシステムと呼んでいます」

農業の担い手不足、食文化の継承、雇用創出、コミュニティの活性、次世代教育など幅広い範囲での地域課題の解決を担うフードハブ・プロジェクトは、18年のグッドデザイン賞の金賞を受賞しました。



SDだけでは間に合わない!


ところで、真鍋さんはSDGsにどんな意識を持っているのでしょうか?

「正直に言うと、あまり知らなかったですね」

SDGsを意識せずとも、フードハブ・プロジェクトの「育てる、つくる、食べる、つなぐ」という食の循環システムがサステナビリティに満ちていることは言うまでもありません。料理通信社プレゼンテーションの中でお伝えした「活動の考え方としてまず大切なのはSD、Sustainable持続可能な、Development開発」の典型と言えるでしょう。

ただ、人間の影響力が地球の能力を遥かに超え、人間が安全に暮らせる境界を超えるレベルに達していると指摘される今、SDだけでは間に合わない現実に直面しているのも事実です。
19年秋、153カ国1万1千人の科学者たちによって、気候変動の非常事態を警告する論文が発表されました。19年夏の台風の猛威は、想像を超えるスピードで気候変動が起きていることを物語る何よりの例証でしょう。
神山だけでなく地球全体がいまや「待ったなし」。世界総力戦で取り組まなければ解決しない非常事態にある以上、世界中の人々が共有できるG、Goalゴールを掲げなければならない。それがSDGsの意義のひとつです。

誰もが食べる、毎日食べる。しかも、食はあらゆる領域とつながります。食を通して多様な視点で持続可能性について考え、協力し合っていける。国連は、Act Now(個人による気候変動対策をグローバルに呼びかけるキャンペーン)の一環として、「気候変動にひと口ずつ取り組もう」というスローガンを掲げ、一人ひとりの食選択、行動が、気候変動の抑制に大きく関わることを説いています。
フードハブ・プロジェクトが日常の食に関わることで、地域が抱える課題を少しずつ解決していくように、世界中が日常の食を通して、地球が抱える課題を少しずつ解決していく。その道標がSDGsなのかもしれません。


真鍋 太一(まなべ・たいち)
1977年生まれ。愛媛県出身。アメリカの大学でデザインを学び、日本の広告業界で8年働く。その後、空間デザイン&イベント会社JTQを経て、WEB制作の株式会社モノサスに籍を置きつつ、グーグルやウェルカムのマーケティングに関わる。2014年、徳島県神山町に移住。モノサスのデザイン係とフードハブ・プロジェクトの支配人と神田のレストラン「the Blind Donkey」の支配人を兼務。Web料理通信にてコラム「“小さな食料政策” 進行中。」を連載中。











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