HOME 〉

FEATURE / MOVEMENT

おいしいパルマハムの極意

1970.01.01

連載:おいしいパルマハムの極意

レポート

 日本唯一のパルマハム職人 多田昌豊さん直伝────────────────────────────────

 おいしいパルマハムの極意




日本唯一のパルマハム職人 多田昌豊さん直伝

text by Kei Sasaki / photographs by Hide Urabe

イタリア・パルマで修業し、日本人で唯一「パルマハム職人」と認められた多田昌豊さんから、パルマハムの扱い方を学ぶ少人数制のセミナーを開催。参加したイタリアンのシェフたちも目から鱗の「おいしいパルマハムの極意」を実況中継します!





パルマハムの扱いの極意を学びましたので、次に、パルマハムの原木の種類と、骨付きハムがレガート(骨付きパルマハムの骨を抜き、紐で縛って骨を抜いた部分を結着させたもの)になるまでの工程をご紹介します。



 

原木の種類──────────────────────────────────────────────────



骨付きパルマハム
骨付きパルマハムは熟成時と同じ状態なので、適切に保存されていれば、個体差はあるが品質が保持されやすい。風味が現地にもっとも近く、一番おいしい状態。




骨なしレガート
骨付きパルマハムの骨を抜き、紐で縛って骨を抜いた部分を結着させたもの(写真は多田さん作)。骨を抜いた瞬間から熟成は止まり、劣化が始まるので、真空パックして冷蔵庫で保存する。




骨なしプレッサート
骨を抜き、洋ナシ型にプレスして骨を抜いた部分を結着させたもの。プレスされる分、水分が抜け、やや塩分濃度が高くなる。一般的に出回っているのがこのタイプ。



 

骨付きハムがレガートになるまで────────────────────────────────

①真空パックから取り出した骨付きパルマハム。この時、馬の骨製の針を刺して匂いをチェック。




②足のつけ根を覆うスーニャ(ラード、塩、コショウ、米粉のパテ)を肉ごと薄く削り取る。




③パルマハムの中に残っている骨盤の一部をナイフでぐるりと取り出す。




④足首にぐるりと切れ目を入れる。次に足首から大腿骨まで骨に沿ってナイフを入れる。




⑤切れ目と骨の隙間に骨外し用のヘラを差し込み、骨から肉をはがすようにする。




⑥骨の周りにナイフを入れ、骨を掴んで引き上げる。




⑦骨の周りの太い血管の通っている3 箇所とハムの中心部に馬の骨製の針を刺して匂いをチェック。




⑧膝の裏の皿の部分(膝蓋骨)を切り取る。




⑨黄色く変色した脂や、血管の周りなど劣化しやすい箇所を丁寧にチェックして取り除く。




⑩黄色く硬くなった筋を取り除く。




⑪外した骨の隙間に肉を押し込むようにして成形し、紐できつく縛る。レガートの完成。




⑫足のつけ根の硬い部分は大胆に切り落とし(料理に活用)、中心のしっとりした部分をスライスで提供。



 

まとめ:おいしいパルマハムの3カ条─────────────────────────────



最後に、パルマハムの扱い方における3つのポイントをおさらいしましょう。

① 「丁寧にトリミングしてからスライスする」
パルマハムも下拵えが必要。酸化した脂や筋を取り除くことで驚くほど風味がアップ。

② 「スライサーで出来る限り薄く切る」
口どけと甘さが醍醐味のパルマハムは、スライサーで薄く切るのがおすすめ。

③ 「使用後は真空包装して冷蔵保存」
分割しない状態(原木)で1カ月で使い切るのが理想。分割すると空気に触れる面が増え、酸化しやすくなる。冷凍保存はご法度。



パルマハムに関するお問い合せ先
◎パルマハム・インフォメーションセンター(株式会社旭エージェンシー内)
☎ 03-5574-7834
info@parmaham.org










料理通信メールマガジン(無料)に登録しませんか?

食のプロや愛好家が求める国内外の食の世界の動き、プロの名作レシピ、スペシャルなイベント情報などをお届けします。