HOME 〉

SPECIAL

〉

「Perceval」オーナー、イヴ・シャルル氏特別インタビュー テーブルナイフ編 「食べ手がナイフを入れたとき、料理は完成する」 | 料理通信

SPECIAL

レポート

「Perceval」オーナー、イヴ・シャルル氏特別インタビュー ──────────────

 テーブルナイフ編 「食べ手がナイフを入れたとき、料理は完成する」



photo by Hide Urabe

パリ、スペイン、ノルウェー、ドバイ、シンガポールetc… “食”に対して感度の高い世界中の人々からいま、熱い視線を集めているカトラリーといえば、仏・オーベルニュ地方のナイフブランド「Perceval(ペルスヴァル)」。日本でも、フランスなどで修業をした一部の料理人がその切れ味に魅了され、パリで購入して帰国後に自分の店で使うこともありましたが、待ちに待った2013年11月、本格的に日本に上陸。都市部のレストラン、ワインバーに始まり、地方の飲食店へと、じわじわ広がりつつあります。
そして、2014年秋、オーナーのイヴ・シャルル氏が来日。この機会に、イヴ・シャルル氏と、彼の一番弟子であり、「Perceval」のナイフを使用している「ラ・メゾン・クルティーヌ」の善塔一幸シェフにインタビューを試みました。



 

「Perceval」を語る日仏ふたりの料理人────────────────────────────

イヴ・シャルル氏は1962年生まれ。パリ近郊のルヴァロワ=ペレ出身。「Hotel Nikko de Paris」にて料理長のジョエル・ロブションのもと、キャリアをスタートし、23歳でパリ郊外に「La Maison Courtine(ラ・メゾン・クルティーヌ)」をオープン。その後、パリ14区へ移転し、2002年ミシュラン一つ星を獲得。2005年、ナイフ工房「Perceval」のオーナーとなり、テーブルナイフ「9.47」を開発した後、2008年「La Maison Courtine」のパリの店を売却。2012年、フランスの職人技で最も輝かしい成功を収めた工房へ贈られる「スター&メティエ」グランプリを受賞しました。

元料理人のイヴ・シャルル氏には、第一線で活躍する料理人の友人も多く「Perceval」は彼らからも厚い支持を得ている。

善塔一幸シェフは1976年生まれ。小学生の頃から料理人を目指し、高校卒業後、フレンチレストランでの修業を経て渡仏。パリのいくつかの店で部門シェフを任された後、14区「La Maison Courtine」へ。入店3年後にオーナーシェフのイヴ・シャルル氏に代わり、シェフを務め、「9.47」の開発を目の当たりにしました。帰国後、イヴ・シャルル氏より日本で「ラ・メゾン・クルティーヌ」を名乗ることを許され、独立しました。

イヴ・シャルル氏の下、5年間働いた善塔シェフ。パリ時代、休日は肉で知られるビストロ「ル・セヴェロ」を手伝い、熟成肉について学んだ。

「Perceval」は、600年にわたり刃物の街として栄えるフランス・オーヴェルニュ地方のティエールに、アトリエを構えるナイフ工房。世界中の実力派シェフから一般家庭の主婦に至るまで広く愛されるテーブルナイフブランドとなっています。

 

60本のナイフを買うはずが、工房を買うことに・・・──────────────────

編集部:イヴ・シャルル氏はもともとパリで一つ星レストランを営んでいらっしゃいました。レストランのオーナーシェフからナイフ工房のオーナーへ。大胆な転職ですね。

イヴ:僕のレストランの唯一の欠点、それはテーブルナイフの切れ味の悪さだったんだ。それが2005年のある日、店に食事に来てくれた友人の1人が折り畳みナイフでメインのマグレ鴨を切り始めた。美しい断面を見せながらスっと切られていく肉を見たとき「これだ!」と。それで、テーブルナイフを60本作ってほしいと工房へ頼みに行ったんだ。

善塔:完璧主義、そして実行力のあるイヴらしい(笑)。

photo by Hide Urabe

「Perceval」のフラッグシップモデル、「9.47」。一番スタンダードなプラスティックハンドルは黒、赤、白のほか、緑や青などカラーバリエーションが豊富。

イヴ:カズ(善塔シェフ)は僕のもとで長く働いてくれたから、よく知っていると思うけど(笑)。でも、何度足を運んでも断られてしまった。そもそも、当時の「Perceval」のオーナーには、なぜ僕がそこまでの品質をテーブルナイフに求めるのか、まったく理解できなかったんだと思う。フランスでは昔から男性は常にポケットナイフを携帯しているものなんだけど、そのナイフは持ち主だけのものであって、他の人は絶対使わない。でも、テーブルナイフ、特にレストランで使われるものは、不特定多数の人たちに使われるもの。折り畳みナイフに求める品質と、テーブルナイフに求める品質には大きな差があるんだ。
もともとペルスヴァルは折り畳みナイフの工房だし、職人も1人しかいなかったからね。それならいっそと、工房を買い取りたいと交渉したんだ。

 

テーブルナイフに新しい価値観を─────────────────────────────────

編集部:それほどまでにテーブルナイフをお店の大切な要素と考えているのですね?

イヴ:そう考える料理人は当時、僕のほかにはいなかったと思うよ。だから僕が、最初にテーブルナイフ「9.47」を開発したとき、真っ先に使ってもらいたかったのは友人の料理人たちだったんだ。彼らは使ってみるや、皆一様に「そうだ、これが欲しかったんだ」と気付いたというわけ。

編集部:お客様の反応はどうでした?

イヴ:それはもう、「ワオッ!」という感じ。

善塔:僕はイヴが子供のように喜んでいたことしか覚えていないけど(笑)。

イヴ:スタートした2005年はスタッフ1人だったけれど、いまはナイフ職人を15人も抱えるようになった。僕らが工房を構えるティエールは600年の歴史のあるナイフの名産地。材料も、チャンスも、人材も、どれも揃っている。だからその中から自分がベストだと思うものを選ぶことができる。優秀なナイフ職人も多くいるけど、「Perceval」では、3年間アプランティー(研修)として務めた後に、今度は1人の職人として勤めてもらうようにしている。いまのナイフ職人のトップは、僕が工房を買い取ってからアプランティーに入って成長した、生え抜きの職人だね。

工房のスタッフたち。

編集部:素材に関して詳しくお聞かせください。

イヴ:テーブルナイフの刃に使われている鋼は、スウェーデン製のもの。これはそもそも、折り畳みナイフに使われる高品質なもので、テーブルナイフには使われていなかったんだ。けっこうな値段がするんだけど、僕は、あの衝撃的な切れ味を生み出すためにどうしても使いたくてね。最近では、その良さ、価値に気付いたティエールの7軒のナイフ工房も使うようになったんだよ。
だって、ずっと追い求めていた「切れる」テーブルナイフを、自分で作れるようになったんだから、そこに最高のものを求めるのは当然のことだね。

 

美しく切ることは、料理人の技術を味わうこと───────────────────────

編集部:切れ味以外に求めた要素はなんでしょうか?

イヴ:切れ味! ただそれだけだよ、こだわったのは。料理でいうと、大切なのは最高の火入れと、最高のアセゾネ(塩コショウ、味付け)。それ以外の、どうやってきれいに盛るか、どうやって温かいまま提供しようか、といったことは二の次でしょう。それと同様、ナイフは切るために存在しているのだから、まず切れるということが大切。もちろん他の要素をどうでもいいとは思っていないし、使いやすさ、握りやすさ、色々配慮しているよ。ねえ、この外箱にしたって、テーブルナイフのパッケージにこんなにきれいな箱を使っているのは、うちだけじゃないかな。

善塔:イヴは、「これだけは譲れない!」と言いながら、「これだけ」じゃないから(笑)。すべてにおいて求めるクオリティーのレベルが半端じゃないんですよ(笑)。そういえば、以前、イヴが自分の料理に醤油を使いたいと言ったとき、ぼくは日本で友人知人からもアドバイスをもらって10種類くらいパリへ持って帰ったんです。イヴが色々試すなかで、最終的には2種しか納得のいくものがなかった。厳しい目で納得するものしか使わない。イヴのこだわりをずっとそばで見てきたから、自分の理想とするテーブルナイフのために工房を買い取ったと聞いても、僕にしてみれば「まあ、やりかねないな」という感じでしたね(笑)。

photo by Hide Urabe

善塔シェフによる野菜のテリーヌ。繊細なテリーヌも、「Perceval」なら崩さずに切ることができる。

イヴ:これはお客様にも、料理人にもいえることだけど、スっとストレスなく切る喜びを、そして断面の美しさを目でも堪能してほしい。例えば、ホタテのソテー。まわりは白く、中はフレッシュな色であることが理想的だけど、美しい断面からはそれをきちんと見ることができる。料理人の技術を舌だけでなく目でも知ることなんだね。こうやって料理人の仕事をそのまま実感できることは、料理人へのリスペクトにもつながるし、食材の組織に対してなるべくアタックをしないで食べるということは、食材に対してのリスペクトでもあると考えているんだ。

関連コンテンツ ───────────────────────────────────────────

───────────────────────────────────────────────────

Percevalアイテムは、料理通信オンラインショップで好評発売中。




ログイン

まだ会員になっていない方

現在登録しているメールアドレス

パスワード

パスワードを忘れた

パスワードを忘れた方へ

パスワードを忘れた方は以下のフォームに登録時のメールアドレスを入力し、送信して下さい。
ご登録されているメールアドレスに仮パスワードをお送りします。

まだ会員になっていない方はこちらから新規会員登録

パスワードを忘れた方へ

パスワードを忘れた方は以下のフォームに登録時のメールアドレスを入力し、送信して下さい。
ご登録されているメールアドレスに仮パスワードをお送りします。

ご注意:送信ボタンは一度だけ押してください。

まだ会員になっていない方はこちらから新規会員登録

パスワードを忘れた方へ

ご登録されているメールアドレスに
仮パスワードをお送りいたしました。

まだ会員になっていない方はこちらから新規会員登録