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PEOPLE / シェフ名鑑(アーカイブ)

「新しいスタイルを提示する」

佐々木 浩/Hiroshi Sasaki

祗園 さゝ木/ぎをん ささき

2014.10.01

text by Takuo Kawamiya / photographs by Harry Nakanishi

1961年12月16日生 / 滋賀県出身 / O型
親戚に料理人が多い環境で、料理の腕を自然に身につけながら育つ。79年に修業開始。滋賀「臨湖庵」(2年半)、同「船岩」(1年)、同「三日月楼」(1年)、京都「新祇をん」(3年)(いずれも現在は閉店)などを経て96年に独立。06年10月に2度目の移転をし、現店オープン。

FAVORITE
音楽 : 矢沢永吉
本 : 料理雑誌(単行本はじっくり読む時間が作れないのでパス)
映画 : 最後に観た映画は『E.T.』


ゆっくり火を入れた甘鯛

夜のコースから

塩を打って3日寝かせた甘鯛に42 ℃で40秒、真空調理を施す。皮目は炙って香ばしさを出すとともに、皮ぎしの脂の旨味を引き出す。炒った自家製カラスミをトッピングし、一寸豆や富山・氷見産のホタルイカをあしらって。

若竹煮 鍋仕立て

夜のコースの一品

4月中旬に旬を迎える京都・西山産の見事な筍を、なんと土鍋でグツグツ若竹煮にし、木の芽をどっさり豪快に。「パリッとした独特の食感を残したい」と、下処理に米ぬかは使わない。調味料は羅臼産の昆布、日本酒、塩のみ。


<必要とされるためのキーワード>
京料理を大胆解釈、今日料理に。

16席のカウンターで一斉にスタートする名物コース。造りを大皿盛りで出す、炊合せを鍋仕立てにする、主・佐々木 浩さん自らすしを握り、炙る。京料理を大胆に解釈した、人呼んで「佐々木劇場」は、和食の旧習を打ち破り続けてきた。現店の目玉はご存じ、石窯だ。「店づくりに迷っていた頃、岡山「吉田牧場」に料理人が集まり、持ち寄った食材をピザ窯で焼いた。僕が焼いたアワビの旨さに感激する周りを見て閃きました」。

多様なアイデアは「躍動感のない京料理は嫌」という佐々木さんが、和の制約を広げたいという情熱の表れ。「新鮮な魚が手に入りにくいといった、京料理の制約はもうありません。料理の環境が変わった今、『今日作ったから今日料理』でええと思います」。

22年続けた造り大皿盛りをあっさりやめる一方で、店の柱は「終始一貫、だしです」。チーズとニンニクは使わない。何でもありにはしたくないと設けるルールはこれだけ。佐々木劇場は誰にも予想できない進化を遂げていく。



◎祇園 さゝ木  京都府/四条
京都府京都市東山区大阪通大和大路東入小松町566-27
075-551-5000
12:00一斉スタート 18:30一斉スタート
定休日 日曜、祝日休、不定休
http://gionsasaki.com

カード 不可
座席 全28席(うち個室6席×1室)
タバコ 禁煙
アクセス 京阪四条駅より徒歩10分

昼6000円(税・サ込) 夜7品前後のおまかせコースのみ(2人で軽く飲んで計5万円程度。食材により変動あり)
日本酒 10種前後、ほかビールや焼酎なども扱いあり

「2007年03月食のプロを刺激する店」 掲載
「2007年10月超限定取り寄せ」 掲載
「2009年04月この人の100回レシピが知りたい!」 掲載
「2009年10月クリエイション魂」 掲載
「2010年06月麹一族・調味料アンケート 関西編」 掲載
「2010年11月アール・エフ・ワンが考える「サラダ×食育」」 掲載
「2012年05月100人のシェフが考える「必要とされる店」になるために」 掲載
バックナンバーはこちら

1996.9.4 open 店ガイド 祇園 さゝ木のページを見る

『料理通信』2012年5月号取材時点)

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