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PEOPLE / 料理人・パン職人・菓子職人

1980年以降生まれ 注目の若手シェフ

イタリア・コモ(ロンバルディア州)「マテリア Materia 」ダヴィデ・カランキーニ Davide Caranchini

2018.07.23

『料理通信』2018年7月号取材時点


近年、急速にボーダレス化する食の世界。国を超えて働く先を選ぶことはもちろん、ジャンル、食材、また店間の垣根を越えて、互いの哲学や素材へのアプローチに刺激を受ける1980年代以降生まれのシェフたちが増えています。資源の枯渇や高齢化社会、深刻な人材不足など、食を取り巻く課題が溢れる中、アイデアとテクニックを武器に生き抜く、新世代の料理人たちの発想はどのように生まれるのでしょうか。これからの食の世界のキーパーソンに、未来を切り拓く仕事術を一問一答で伺いました。



コモ湖畔をガストロノミーの中心地にしたい

Q1 : 食べ手の心を動かすアイデアとテクニックを、どう身につけてきたか?
A1 : 一番影響を受けたのが「ノーマ」。素材を他にはない方法で見るということを学んだ。森でいくらでも手に入る野草やハーブを使い、リサーチと実験を繰り返すことでアイデアが生まれる。

Q2 : 世界で働く際に、必要な資質。日本人(自分)の強みはどこにある?
A2 : 幸運だったのは、英語が話せたこと。小さい時からアメリカやイギリスの音楽を聞き、わからないから独学で会得した。それから、頑張れる力。

Q3 : 今、世界とどう繋がっている? 気になる世界の料理トレンドや料理人
A3 : 流行には興味がない。僕が惹かれるのは強いアイデンティティを持つ料理、時を超えて存在できるもの。店のスタッフと一緒に他所へ食べに行き、マエストロたちが何をしているのかを見て話し合うことはすごく大切なインスピレーション。

Q4 : 尊敬する人とその理由(食の世界に限らず)
A4 : 「ノーマ」のレネ・レゼピは天才。それから自分の家族。

Q5 : 個性を打ち出すために店づくりで工夫したポイント
A5 : “素材”という店名には、自然の一部である素材を尊重した料理を目指していることを込めた。お客さんが僕たちのやりたいこと、やっていることをストレートに理解してくれるように、空間からは余分なものは極力排除した。

Q6 : スペシャリテについて。料理でもっとも大切にしていることは?
A6 : 素材の持ち味を覆い隠さないこと。素材を作った人への尊敬の念を忘れてはいけない。と同時に、食べる人への尊敬の念も大切。だから、皿の上に公開できないような秘密を作らない。

Q7 : 料理人として、これからどう生きていきたいか?
A7 : 料理人とは一生を捧げる仕事であり、生きることと切り離せない仕事。将来は、コモを世界中からガストロノミーを求めて訪れる価値ある場所にしたい。力を合わせることができる店が他にも増えれば、コペンハーゲンやサン・セバスティアンのようなところになれると思う。

text by Manami Ikeda / photographs by Masakatsu Ikeda





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