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アジアのガストロノミー「アジアのベストレストラン50」が発表 | 料理通信

Jan 01, 1970


 

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雑誌『料理通信』の人気連載「絶対作れる!挑戦レシピ」でもおなじみのコラムニスト、中村孝則氏。「アジアのベストレストラン50」で日本の評議員代表を務める中村氏が、授賞式やフォーラムの現地での様子をレポートする。

日本人の受賞者たち。日本のレストランは合計10店がランクイン。日本人シェフが活躍する海外のレストランも3店が入賞。



アジアのレストランランキングを決める「アジアのベストレストラン50」(以下、アジアズ50)の授賞式が、2月24日、シンガポールにあるホテル、カペラ・シンガポールで開催された。
アジアズ50は、2013年の初開催に続いて今年で第2回目を迎えるが、来場者の数は昨年を上回り、シェフや関係者、メディアを含めると700人以上が詰めかけた模様。授賞式は、アカデミー賞さながらの雰囲気で、ランキングトップ50がカウントダウン方式で次々に発表されていった。
注目の結果は、バンコクの「ナーム(Nahm)」がランキング1位の“サンペレグリノ・アジア・ベストレストラン賞”を受賞。昨年度No.1の「NARISAWA」は惜しくも2位であった。

2014年アジアズ50でNo.1に輝いた、バンコク「ナーム」の面々。


「NARISAWA」の存在感は別格だ。場内からは成澤シェフ(右)に盛大な拍手が。


今回は、バンコクの「ナーム」がランキング1位のほか、3位もバンコクの「ガガン(Gaggan)」がランクインし、タイ勢に風が吹いたかたちだ。今年の順位だけを見ると意外に思われる方も多いかもしれないが、実は以前より追い風もあった。
「ナーム」は、オーストラリア生まれのデイビッド・トンプソン(David Thompson)が、タイの女家長たちが残した数世紀も前のレシピを、独自の解釈で大胆な味わいにしたタイ料理を展開している。その取り組みが評価され、2012年の「世界のベストレストラン50」で第50位に選ばれて注目され、翌年の2013年には、32位まで順位を伸ばし、さらに同年初開催のアジアズ50でも第3位にランクインしている。欧米のトラベラーたちの間では、「ナーム」を“ディスティネーション・レストラン(食べることを目的に行くレストラン)”として人気が出てきたとも言われている。今回3位の「ガガン」も、その風の勢いに後押しされたと見るべきだろう。

風ということで言えば、今回のアジアズ50で、新規にランクインしたレストランが最も多かったのは日本で、「レフェルヴェソンス」(25位)、「すきやばし次郎」(38位)、「さわ田」(41位)の3店が初登場。日本は合計10店がランクインし、中国(16店)に続く数で存在感を示した。

初ランクインで25位につけた「レフェルヴェソンス」の生江史伸シェフ。


シンガポールは、新たにランクインした「ティップリング・クラブ(Tippling Club)」(23位)を含め計8店が選ばれ、アジアの美食シーンのハブとして、また開催地としての地位をアピールした。経済発展著しいインドのレストランも6店がランクインし、今後は要注目と言えるだろう。そのほかにも、韓国の「ジョンシク(Jungsik)」(20位)と、台湾の「ル・ムー(Le Mout)」(24位)が初のランクインを果たした。特に、韓国は多くのジャーナリストが押し掛け、このアワードに大きな関心を示している。今後は、侮れない存在になりそうだ。

アワード開催期間中は、世界中から食のプロが集結することもあり、授賞式のほかにもさまざまなイベントが開催された。特に注目が集まったのは、授賞式前日の2月23日にラッフルズ・ホテル内のホールで開催されたフォーラム“THE FUTURE OF FOOD”で、11人のシェフがそれぞれ壇上に昇り、リレー式でプレゼンテーションを実施。巨大なスクリーンを使いながら、独自の手法で料理についての持論を展開した。

フォーラム「THE FUTURE OF FOOD」には、多くの来場者が。


もっとも注目されていた「NARISAWA」の成澤由浩シェフは、日本の食の豊かさが自然や里山文化だけでなく、日本独自の精神性にも支えられていることなどを、映像や画像を交えて説明。単なるサスティナビリティという観念にとどまらず「美食は身体や精神に有益であるべきだ」というBeneficial Gastronomy論は、観衆から大きな賞賛を得ていたようだ。
また、シンガポールのNo.1に輝いた「André」のアンドレ・チャンや、2013年世界のベストレストランNo.1「El Celler Can Roca」のジョアン・ロカのプレゼンも、やはり目を見張るものがあった。

フォーラムでは11人の人気シェフがプレゼンを行う。こちらは、シンガポールNo.1シェフのアンドレ・チャン。


500人以上詰めかけた会場には、アジア圏の多くのジャーナリストも参加し、ガストロノミーに対する関心の高さを感じた。と同時に、このアジアズ50の評価の範囲がレストランのパフォーマンスだけなく、こうしたプレゼンテーションの内容にまで影響するのではないかと感じるほどであった。

このようなフォーラムは、来年以降のアジアズ50でも開催されるだろう。シェフたちはもちろんのこと、筆者のようなジャーナリストも、ガストロノミーの最先端をキャッチするという狙いも込めて、積極的に参加してほしいと願う。その点においても、このアワードが世界各地からアクセスのよいシンガポールで開催されるということは、とても意義のあることではないだろうか。

Text and Photographs by Takanori Nakamura

◎2014 年度「アジアのベストレストラン50」のランキング結果
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