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FEATURE / MOVEMENT

シェフたちの畑仕事~小さくて強い畑は、どう作る? vol.3 実家の畑 ~「バーベンフィディック」鹿山博康さんの場合 

1970.01.01


実家の畑 ~「バーベンフィディック」鹿山博康さん

photographs by Tsunenori Yamashita

田植え会や稲刈り体験などに参加すれば参加するほど、「自然相手の農作業、生半可な気持ちじゃ取り組めない」。プロの農家さんへのリスペクトが湧いてきます。そのリスペクトを大前提にしながらも、「やれる範囲で、畑仕事をやってみたい!」と思うもの。
そこで、「半農・半シェフ」の皆さんの畑作りの実例をリポートします。シェフたちの肌にもご注目ください。(皆、日焼けした精悍な顔立ち!日々の畑仕事の賜物です)





週1~2ペースでの手入れでもOK!

池袋から東武線急行で約1時間、武蔵嵐山駅で降りて自転車を飛ばすこと15分。鹿山博康さんは、実家裏の畑を耕しに、バーの仕事を終えたその足で始発に乗り、週1ペースで通っています。

◎半農歴
2011年 自店の開業準備中に、実家の父の農業引退を機に畑を継ぎ、ハーブ類の栽培を始める。
2014年 実家が所有する山林敷地内にて、ネズの実(ジュニパーベリー)の栽培をスタート。

◎畑の師匠
農家兼酪農家の父。鹿山さんも幼少より農作業を手伝い、基本は習得済み。



奥の方にニガヨモギ、中央にフェンネル、手前がミント(数種)。

奥の方にニガヨモギ、中央にフェンネル、手前がミント(数種)。




様々なハーブ類を育てています。ミントやフェンネルといったポピュラーなものから、ヒメハッカ、イエルバブエナ、サンタマリアノヴェッラ草、ニガヨモギといったマイナーなものまで、実に30種強!ここで採れたフレッシュなハーブを、お店のカクテルや漬け込み酒などに使っています。
「ハーブは野草に近いので、野菜類ほど肥料や農薬、土や水播きに気を使う必要がありません」と鹿山さん。最初に耕起はするが、基本的には生やしっぱなし。


これは肉桂の葉。ニッキ、いわゆるシナモンですね。通常はこの樹皮を乾燥させて用いますが、フレッシュな葉も同じ匂いがします。

これは肉桂の葉。ニッキ、いわゆるシナモンですね。通常はこの樹皮を乾燥させて用いますが、フレッシュな葉も同じ匂いがします。




黒文字。この枝を加工して、和菓子などに添える「くろもじ」が作られます。殺菌効果もある、爽やかな森の香り。

黒文字。この枝を加工して、和菓子などに添える「くろもじ」が作られます。殺菌効果もある、爽やかな森の香り。




ニガヨモギ。鹿山さんの大好きなお酒、アブサンの主原料。乾燥させたり、生のままで用います。

ニガヨモギ。鹿山さんの大好きなお酒、アブサンの主原料。乾燥させたり、生のままで用います。




イエルバブエナ。爽快な辛味、メントールの刺激。モヒートの主材料として使われる、ミント系のハーブです。

イエルバブエナ。爽快な辛味、メントールの刺激。モヒートの主材料として使われる、ミント系のハーブです。





畑でジュニパーベリーの苗を育て、鹿山家が所有する杉林の一角に植樹。日当たりのよいところを好むため、ゆくゆくは周囲の杉を伐採予定。

畑でジュニパーベリーの苗を育て、鹿山家が所有する杉林の一角に植樹。日当たりのよいところを好むため、ゆくゆくは周囲の杉を伐採予定。




今、鹿山さんが取り組んでいるのが、ネズ。その実(み)は別名、ジュニパーベリー。ジンの主材料のひとつです。「日本発のクラフトジンを造りたい」という思いから、ジンで必ず使う素材、ネズの実を必要なだけ供給できるよう、栽培に挑戦中。


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