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JOURNAL / 世界の食トレンド

COVID-19対策―― 世界の飲食店はどう復活へ向かう? スウェーデン編

2020.08.06


COVID-19対策――

世界の飲食店はどう復活へ向かう? スウェーデン編

Aug. 6, 2020

text by Sakiko Jini

世界の飲食店&飲食業に携わる人々はこの危機にどう対応し、何を学び、何を模索しているのか?“ウィズ・コロナ時代”を歩み始めた、各国在住のジャーナリストがリポートします。

(2020年7月15日時点の各国の状況に基づきます。)





規制を逆手に取ったアイデアでバーのテイクアウトを可能に

ロックダウンをしていない国として当初は非難轟々、中途では称賛を浴び、現在では遠巻きに様子見、といろいろな意味で注目を浴びているスウェーデン。今回のコロナ禍で多大な被害を被ったのは、旅客輸送・遊園地などのレジャー関係とホテル・レストラン業界だ。ロックダウンをしてないとはいえ、自宅自粛勧告と感染への恐怖心から、路面店は閑古鳥が鳴き、売り上げが半分以下はもちろん閉店・倒産に追い込まれた店も多い。

また政府の対策も、申請が煩雑だったり単なる猶予だけなど、中小企業にはあまり有意になってはいないのが現状だ。他国同様、飲食店はテイクアウト営業に移行し、ギフトカードの購入を推奨したり、「地元を助けよう」とSNSで呼びかけるなど、ありとあらゆる生き延び作戦を実施している。 

特に大変なのがバー関係だ。スウェーデンはアルコールの販売規制が厳しいため、バーやレストランから直接ワイン等を買って持ち帰ることは違法となり、宅配もできない。レストランは食事のテイクアウトができるが、バーではそれができないのだ。そんな中、ストックホルムにあるバー「ショーゲット」が、カクテルキットのテイクアウトを打ち出した。

内容は随時変わるが、「ブラッディ・メアリー」や「エスプレッソ・マティーニ」など酒類以外の材料が入っていて、家でアルコールを加えて振るか混ぜるかすれば、店でサービスされるプロの味が楽しめる。同店ではカクテルキットの他、2人用からの食事セットも一緒に販売し始め、カクテルディナー一式のテイクアウトでさらなる売り上げを後押ししている。

TOP写真:カクテルキットには味の決め手となるオリジナルシロップの他、トニックウォーター、ハーブや飾りも含まれ、本格的なカクテルが手軽に楽しめる。




<世界のコロナ対策:スウェーデンの場合>


▼行動制限要請、地域・全国封鎖の時期
2月~ 保健衛生省からの情報を元に、都道府県、市町村、個人に対して自己責任で行動するように勧告
3/12~ 500人以上の集会または集客行事などを禁止
3/18~ 高校以上の学校教育はリモート授業を勧告
4/1~ 国内全ての老人ホームへの訪問を禁止
集客数50人以上の行事は全て禁止(ディスコやコンサート等を含む)
不要不急のスウェーデンへの入国は禁止
自宅自粛の勧告

▼飲食業への要請や命令内容
3/24~ 飲食業と学校の食堂に勧告
●バーカウンターでの立ち飲み禁止
●列に並ぶ時は十分な間隔をとる
●飲食サービスは着席のみ。席は隣との間隔を十分とる
罰則 オーナーや責任者が監督し、守られていない場合、自治体の監査役の判断(抜き打ち検査)により営業停止

▼飲食業(企業全般)への主な救済策
◎ 医療費控除補助【3/11発令】
事業主から傷病手当が支払われた場合、控除対象とならない1日目分を政府が負担

◎ 賃金補償【4/7発令】
一時解雇や一時休暇を促した会社には、雇用者の月給を確保するにあたり、政府が約半額(53%)を負担。ただし税金分は政府が一時立替をするだけで、2年以内に雇用主が支払う。実質、政府からの補助額は月給90%の4分の1

◎ 医療費補助 【4/7発令】
雇用者の傷病手当を2カ月間に限り政府が負担

◎ 失業手当 【4/7発令】
支給基準を緩くし上限額を上げる

◎ 賃料援助 【4/17発令】
賃料の最高25%までを政府が負担

◎ 融資 【5/1発令】
Almi (金融公庫)の融資条件を下げ自己負担分を軽減






◎ Tjoget
https://tjoget.com

(『料理通信』2020年9・10月合併号/「ワールドトピックス」より)



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