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和歌山県産食材、海を渡る。 試食会 in シンガポール レポート

2014.03.06

国境を越え、海外市場にも販路拡大を図る和歌山県。目指したのは、アジア有数の経済都市、シンガポールでした。和歌山県産食材のおいしさを伝えるために現地で開催した試食会をレポートします。

photographs by James Ong

アジア経済のリーディングマーケットにして、Asia’s Best Restaurants 50 に10店が選ばれる、美食の街としても知られるシンガポール。舌の肥えたシンガポーリアンに和歌山県産食材のおいしさを知ってもらおうと、和歌山県は2014年1月25日、シンガポールのイタリア料理店「エノテカ オペレッタ」で、現地の伊・仏・和食料理人、食品関係者ら約20人を集めて県産品試食会を開催した。

和歌山の食材をイタリアンで。

料理を担当するのは、同店のエグゼクティブ・シェフの中原勢太氏(以下、セイタさん)。中・高校時代をシンガポールで過ごし、東京でイタリアンの料理人に。イタリアで4年間修業したのち、2009年から同店で働く。2013年には、若手料理人のコンペティション「RED U-35」の「ゴールドエッグ」のひとりに選ばれた期待の料理人だ。試食会に先立ち、セイタさんは和歌山県を視察のために訪れ、生産者と交流した。

「エノテカ オペレッタ」中原勢太(セイタ)シェフ

「生産者の方が心を込めて作った食材の味わいを生かすため、手を加え過ぎず、いかにおいしくできるかを考えました」。
マグロなど魚介類、野菜、果物など和歌山県産食材を使って、セイタさんがイタリア料理に仕立てる。

試食会で使用した和歌山県産食材(一部)



新鮮なマグロも和歌山から



最新技術で、マグロのおいしさ、そのままに。

「メバチマグロとマカジキのタルタル トラパニ風サフランライスのソース」には、勝浦港で水揚げ、冷凍されたマグロとマカジキを使っている。仲卸業者「ヤマサ脇口水産」が開発した最新の冷凍技術で、誰でも簡単に解凍でき、しかもドリップが出ない。最もおいしい旬のマグロを冷凍保存することで、質、量ともに安定した供給が可能になる。セイタさんは同社で生と冷凍を食べくらべ、味を確かめた。「旨い。この冷凍技術があれば海外でも需要が見込めそう」。試食会でも冷凍のマグロを手に、冷凍技術を説明した。

冷凍マグロを見せながら、参加者に説明するセイタシェフ


「メバチマグロとマカジキのタルタル トラパニ風サフランライスのソース」


使用した食材は、優糖星(トマト)、ちぢみホウレンソウ、そして、メバチマグロとマカジキ。マグロとマカジキはタルタルに。アーモンドとトマトをベースにしたトラパネーゼソースが魚の味を引き立てる。米の風味をプラスする発想は和歌山で得た。

フランス料理店「Au Petit Salut」のエグゼクティブ・シェフ、ポール・ロングワース氏は、「魚が新鮮ですばらしい。ソースとの相性も良い。これまでマグロを使ってこなかったが、今後は取り入れてみたい」と話す。
イタリア料理店「inITALY」のシェフで、新店舗の開店準備中のフェリックス・チョン氏は、「繊細な味。冷凍魚を使うことに抵抗があったが、安定した品質で簡単に解凍できるなら新しい店で使ってみたい」と興味を示した。

「ビーゴリ うすいえんどう香る釜あげシラスのアーリオ・オーリオ」


プレス器(トルキオ)で押し出して作ったパスタ、ビーゴリに、シラス、コンフィにしたトマトを合わせて。水分を飛ばし、粉状にしたエンドウの緑で爽やかに。使用されたシラス、うすいえんどう(エンドウ豆)、優糖星(トマト)、柚子は、どれも和歌山県産の食材。

フラトン・ホテルのエグゼクティブ・シェフ、サンドロ・ファルボ氏は、「シラスが柔らかで香りが良く、デリケートな味わい。良質のシラスは入手困難なので興味をもった。トマト(優糖星)は甘さと酸味のバランスが良く、故郷イタリアのトマトを思い出させる」と食材を高く評価した。

ご当地スイーツ「わかやまポンチ」を実演。

デザートには、イチゴ、カキ、キウィ、ミカンなど和歌山県産のフルーツを使ったご当地スイーツ「わかやまポンチ」を、和歌山市の「サウスウエストカフェ」の小山よしお氏が実演。バラエティ豊かな和歌山のフルーツをPRした。

和歌山県産フルーツいっぱいの「わかやまポンチ」



「わかやまポンチ」の実演風景



「わかやまの果物の魅力を世界に広めたい」と、日本から自費で試食会に参加した小山氏。

「わかやまポンチ」は、“わかやま愛”をもった仲間(飲食店経営者、小学生、小学校教師、学校栄養士など)が地域ブランド化を目指し、生まれたレシピ。和歌山県産ウメの甘露煮、1つ以上の和歌山県産フルーツ使用し、メニューに明示することが条件となっている。


海外の舞台で歩みはじめた、和歌山ブランド。

参加者したシェフからは、食材の調理法、入手方法などの質問が寄せられ、会場では商談のアポイントを交わす参加者も。

2014年2月24日(月)~3月1日(土)まで、「エノテカ オペレッタ」では和歌山食材を使ったコースメニューを食べられる“WAKAYAMA WEEK”を実施。セイタさんは、「和歌山を訪れたおかげで、自信を持って食材の魅力を伝えられる。初めて和歌山県の食材を食べるお客様に、そのストーリーを一緒に伝えていきたい」と語り、食材の魅力を一般消費者に向けてアピールした。展開されたコースメニューは次の通り。

メバチマグロとマカジキ(共に和歌山産)のタルタル
トラパニ風 サフランライスのソース

釜あげシラスとうすいえんどう(共に和歌山産)のパウダー
アーリオオーリオ 手打ちパスタのビーゴリ

活け締めヒラメ(和歌山産)のグリル 根セロリとブロッコリーのクレーマ

まりひめイチゴ(和歌山産)の冷たいズッパ

和歌山県農林水産部食品流通課の大石崇さんが和歌山県産食材を紹介。



地域ブランドとして、シンガポールで新たな試みを成功させた和歌山県。 海外への挑戦はこれからも続く。

国境を越え、海外市場にも販路拡大を図る和歌山県。目指したのは、アジア有数の経済都市、シンガポールでした。和歌山県産食材のおいしさを伝えるために現地で開催した試食会をレポートします。

photographs by James Ong

アジア経済のリーディングマーケットにして、Asia’s Best Restaurants 50 に10店が選ばれる、美食の街としても知られるシンガポール。舌の肥えたシンガポーリアンに和歌山県産食材のおいしさを知ってもらおうと、和歌山県は2014年1月25日、シンガポールのイタリア料理店「エノテカ オペレッタ」で、現地の伊・仏・和食料理人、食品関係者ら約20人を集めて県産品試食会を開催した。

和歌山の食材をイタリアンで。

料理を担当するのは、同店のエグゼクティブ・シェフの中原勢太氏(以下、セイタさん)。中・高校時代をシンガポールで過ごし、東京でイタリアンの料理人に。イタリアで4年間修業したのち、2009年から同店で働く。2013年には、若手料理人のコンペティション「RED U-35」の「ゴールドエッグ」のひとりに選ばれた期待の料理人だ。試食会に先立ち、セイタさんは和歌山県を視察のために訪れ、生産者と交流した。

「エノテカ オペレッタ」中原勢太(セイタ)シェフ

「生産者の方が心を込めて作った食材の味わいを生かすため、手を加え過ぎず、いかにおいしくできるかを考えました」。
マグロなど魚介類、野菜、果物など和歌山県産食材を使って、セイタさんがイタリア料理に仕立てる。

試食会で使用した和歌山県産食材(一部)



新鮮なマグロも和歌山から



最新技術で、マグロのおいしさ、そのままに。

「メバチマグロとマカジキのタルタル トラパニ風サフランライスのソース」には、勝浦港で水揚げ、冷凍されたマグロとマカジキを使っている。仲卸業者「ヤマサ脇口水産」が開発した最新の冷凍技術で、誰でも簡単に解凍でき、しかもドリップが出ない。最もおいしい旬のマグロを冷凍保存することで、質、量ともに安定した供給が可能になる。セイタさんは同社で生と冷凍を食べくらべ、味を確かめた。「旨い。この冷凍技術があれば海外でも需要が見込めそう」。試食会でも冷凍のマグロを手に、冷凍技術を説明した。

冷凍マグロを見せながら、参加者に説明するセイタシェフ


「メバチマグロとマカジキのタルタル トラパニ風サフランライスのソース」


使用した食材は、優糖星(トマト)、ちぢみホウレンソウ、そして、メバチマグロとマカジキ。マグロとマカジキはタルタルに。アーモンドとトマトをベースにしたトラパネーゼソースが魚の味を引き立てる。米の風味をプラスする発想は和歌山で得た。

フランス料理店「Au Petit Salut」のエグゼクティブ・シェフ、ポール・ロングワース氏は、「魚が新鮮ですばらしい。ソースとの相性も良い。これまでマグロを使ってこなかったが、今後は取り入れてみたい」と話す。
イタリア料理店「inITALY」のシェフで、新店舗の開店準備中のフェリックス・チョン氏は、「繊細な味。冷凍魚を使うことに抵抗があったが、安定した品質で簡単に解凍できるなら新しい店で使ってみたい」と興味を示した。

「ビーゴリ うすいえんどう香る釜あげシラスのアーリオ・オーリオ」


プレス器(トルキオ)で押し出して作ったパスタ、ビーゴリに、シラス、コンフィにしたトマトを合わせて。水分を飛ばし、粉状にしたエンドウの緑で爽やかに。使用されたシラス、うすいえんどう(エンドウ豆)、優糖星(トマト)、柚子は、どれも和歌山県産の食材。

フラトン・ホテルのエグゼクティブ・シェフ、サンドロ・ファルボ氏は、「シラスが柔らかで香りが良く、デリケートな味わい。良質のシラスは入手困難なので興味をもった。トマト(優糖星)は甘さと酸味のバランスが良く、故郷イタリアのトマトを思い出させる」と食材を高く評価した。

ご当地スイーツ「わかやまポンチ」を実演。

デザートには、イチゴ、カキ、キウィ、ミカンなど和歌山県産のフルーツを使ったご当地スイーツ「わかやまポンチ」を、和歌山市の「サウスウエストカフェ」の小山よしお氏が実演。バラエティ豊かな和歌山のフルーツをPRした。

和歌山県産フルーツいっぱいの「わかやまポンチ」



「わかやまポンチ」の実演風景



「わかやまの果物の魅力を世界に広めたい」と、日本から自費で試食会に参加した小山氏。

「わかやまポンチ」は、“わかやま愛”をもった仲間(飲食店経営者、小学生、小学校教師、学校栄養士など)が地域ブランド化を目指し、生まれたレシピ。和歌山県産ウメの甘露煮、1つ以上の和歌山県産フルーツ使用し、メニューに明示することが条件となっている。


海外の舞台で歩みはじめた、和歌山ブランド。

参加者したシェフからは、食材の調理法、入手方法などの質問が寄せられ、会場では商談のアポイントを交わす参加者も。

2014年2月24日(月)~3月1日(土)まで、「エノテカ オペレッタ」では和歌山食材を使ったコースメニューを食べられる“WAKAYAMA WEEK”を実施。セイタさんは、「和歌山を訪れたおかげで、自信を持って食材の魅力を伝えられる。初めて和歌山県の食材を食べるお客様に、そのストーリーを一緒に伝えていきたい」と語り、食材の魅力を一般消費者に向けてアピールした。展開されたコースメニューは次の通り。

メバチマグロとマカジキ(共に和歌山産)のタルタル
トラパニ風 サフランライスのソース

釜あげシラスとうすいえんどう(共に和歌山産)のパウダー
アーリオオーリオ 手打ちパスタのビーゴリ

活け締めヒラメ(和歌山産)のグリル 根セロリとブロッコリーのクレーマ

まりひめイチゴ(和歌山産)の冷たいズッパ

和歌山県農林水産部食品流通課の大石崇さんが和歌山県産食材を紹介。



地域ブランドとして、シンガポールで新たな試みを成功させた和歌山県。 海外への挑戦はこれからも続く。







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