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PEOPLE / シェフ名鑑(アーカイブ)

「人材を育成する」

ラ・ブランシュ 田代 和久 Kazuhisa Tashiro

Oct 01, 2014

text by Naoko Ikawa / photographs by Hiroaki Ishii

1950年4月1日生 / 福島県出身 / A型
高校卒業後、上京して調理師専門学校へ。卒業後、都内のフランス料理店を経て79年、29歳で渡仏。「ル・ランデ」「ギィ・サヴォワ」「バリエル ニュイイ」など各地で3年間修業を積む。帰国後、83年に銀座のフランス料理店でシェフを3年務め、86年、現店オープン。

FAVORITE
音楽 : クラシック、ジャズ
本 : 歴史小説
映画 : ドキュメンタリー映画


千代幻豚のロティ ワイルドライス添え

プリフィクスコースのメイン

皮付きの分厚い脂が旨い千代幻豚は半頭買い。1人前150〜180gを脂の中で転がしながら、40分かけてフライパンでじわじわ焼いていく。口の中ですっと溶ける脂とプチプチと弾けるワイルドライス、焼いたカブがソース代わり。

こだわり野菜のサラダ

プリフィクスコースの前菜

20年来のつき合いになる農家をはじめ、複数の生産者から届く野菜。12〜13種類それぞれの味を引き出すべく、エチュベ、ゆで、焼き、生で合わせ、コルニッションを利かせたラヴィコットソースでいただく。メイン級にボリューミー。


必要とされるためのキーワード
全力を出し切る。

全力で旨いものを作る。それが田代和久シェフのぶれない軸である。自分にも、他人に対しても全力以外は許さない。しかし許さないのは緩んだ仕事であり、できないから怒るのとは、訳が違う。

「たとえ覚えの遅い子でも一回覚えたら忘れなかったり、一人ひとりは皆違う。失敗は、それが失敗とわかったなら成功」

その思いは伝わっているはずだ。その証拠に、一度フランスへ渡った料理人が、再びこの店に戻ることも少なくない。そして帰国組はもはや弟子でなく、1人の料理人として認め、勝負する。

「旨かったら、そっちの方がいい。”これで行け”と言います。でも僕はそれ以上に旨いものを作らなければならない」

それは戦いでもあるが、料理人同士、皿を通しての交感でもある。若い料理人は大きな山に挑み、大きな山は新しい技術や感性に、今なお刺激を受けたい。両者の立場は、フィフティ・フィフティだ。そんな風通しの良さが、いつの時代も色褪せない料理を生み出す。

61歳。シェフの関心事は、「あと何年若い人達と料理を共有できるか」。

「一度自分の中に入れてから、湧き上がってくるものがラ・ブランシュの料理。好奇心を失い、それができなくなった時は、たとえ満席続きでも潮時だと思う」
今年で丸26年。その月日は、田代シェフにとって「1皿に出し惜しみせず全力を注ぎ、1日を生き切る」×毎日の連なりだった。この店から巣立っていった料理人は皆、その背中を見てきたはず。それぞれの厨房で、全力を出し切らない料理人はおそらくいない。



◎ラ・ブランシュ
住所 東京都渋谷区渋谷2-3-1 青山ポニーハイム 2F
電話番号 03-3499-0824
営業時間 12:00~13:30 LO 18:00~21:00 LO
定休日 水曜、第2・第4火曜休
カード 可
座席 全18席
タバコ 禁煙
アクセス 東京メトロ表参道駅より徒歩8分

昼3600円、6000円、7800円 
夜7000円、10000円、12000円(税・サ別)

【WINE】 
グラス白赤各1種1300円~、ボトル5000円~

「2009年12月クリエイション魂」 掲載
「2010年01月異ジャンルの料理人が通う技ありフレンチ・関東編」 掲載
「2011年03月アール・エフ・ワンが考える「サラダ×食育」」 掲載
「2012年05月100人のシェフが考える「必要とされる店」になるために」 掲載
バックナンバーはこちら

(『料理通信』2012年5月号取材時点)

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