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FEATURE / MOVEMENT

日本発ガストロノミー×サントリー日本ワインvol.17 | 料理通信

1970.01.01

レポート

 日本発ガストロノミー×サントリー日本ワインvol.17───────────────────────────

シェフ&ソムリエが訪ねる登美の丘ワイナリー




photographs by Tsunenori Yamashita

2014年に開業した「アンダーズ 東京」の総料理長ゲハード・パスルガーさんとソムリエの浅田資継さんが、登美の丘ワイナリーを訪れました。その土地固有の文化に寄り添うことをモットーとするホテルだけに、シェフたちの日本ワインへの関心の高さもひと際です。

(写真・中央)
アンダーズ 東京
総料理長/ 料飲部長 ゲハード・パスルガー氏
欧州、豪州、アジアの各国で腕をふるってきた、経験豊富な国際派シェフ。

(写真・右)
アンダーズ 東京
料飲部副部長/ ホテルソムリエ 浅田 資継氏
東京のトップホテルやレストランで経験を積み、昨年の開業時より現職。

(写真・左)
登美の丘ワイナリー
渡辺直樹ワイナリー長
「適地適種」を求め、土にぶどうに寄り添う日々。


 

個性が明快に表現される理由に納得!────────────────────────────



「内装もサービスも料理も、地元らしさを色濃く映し出すのがアンダーズなんですよ」と総料理長のゲハード・パスルガーさんは言います。ワインが土地の個性を表現するように、グローバルに展開するホテルも土地の個性を映し出す時代になりました。ゲハードさんが今年(2015年)8月下旬、ソムリエの浅田資継さんと共に登美の丘ワイナリーを訪れたのも、日本の食文化により深く精通するためです。

この日、登美の丘ワイナリーでは、シャルドネとリースリング・フォルテの試験的な収穫が始まっていました。渡辺直樹ワイナリー長が畑を案内しながら、今年の作柄を解説します。「今年は全般に実の付きが良く、房は大きめ、豊作ですね」。メルローの畑でゲハードさんがぶどうの実をひと粒、口へ入れて「おいしい!」。するとワイナリー長から「メルローはあとひと月か1カ月半ほど、枝で完熟させるんですよ」。大切なのは種まで熟させること。収穫の時期が近づくと、糖度を計ると同時に、実を食べては、種が熟してナッツのように香ばしくなったかどうかを確かめます。そうして、収穫日を決めるのです。

浅田さんが枝ぶりを見ながら、「葉が多く、房が少ないですよね」。ワイナリー長が我が意を得たりと、「日本では空気中の水分量が多いせいで、欧米に比べて、葉1枚あたりの光合成量が少ないんですね。その分、葉をたくさん繁らせる必要がある。一方、実のほうは、芽かきや摘房によって1枝1房に絞り込む。養分を1房に集中させ、味わいを凝縮させるんです」。「垣根栽培と棚栽培が混在している点も特徴的だ」との指摘には、「100年を超える歴史を持つ登美の丘ですが、開園当初は垣根、その後、棚へ移行し、この10年はまた垣根栽培を増やしつつあります。どちらにするかは品種の個性次第。たとえば甲州は樹勢が強いので、伸びようとする力を生かして、棚で栽培しますね」。甲州の房がシャンデリアのようにぶら下がる姿に、ゲハードさんもうっとり。

全ラインナップをテイスティングして、シャルドネなどは畑の性質によって収穫の時期を変えること、タンク発酵と樽発酵に分け、別々に仕込んで後で合わせるといったつくりの説明を受けたゲハードさん、「様々な品種が各々にふさわしい栽培法と醸造法でつくられている。土地や品種の個性が明快に出ている理由がわかりました。なかでも『登美 白』には確かな骨格と生き生きしたニュアンスを感じます」と納得の表情です。



 

2人が選んだ1本・登美 白 2012────────────────────────────────




「ストラクチャーがしっかりしている。ボリュームがありながら、フレッシュ感、若々しさも感じられますね。」(ゲハード・パスルガー氏)


「果実の凝縮感があり、トロピカルなニュアンスも湛えて濃密ですね。最後にきれいな酸が広がっていく……。」(浅田資継氏)


「厳選区画のぶどうを小樽で発酵させています。凝縮感があって、伸びやか。ほどよい酸味が心地良い余韻に。」(渡辺直樹ワイナリー長)



「登美 白 2012」×
「ロブスターとブッラータのサラダ、フレッシュのイチジク、フィンガーライム、メープルヴィネグレットを添えて」

「登美 白 2012は、ブルゴーニュの典型的なシャルドネのような王道感と同時に、生き生きとした躍動感や軽やかさも備えていてすばらしい」とゲハードシェフ。王道的な厚みのある味わいに合わせて上質な旨味を持つロブスターとリッチでクリーミーなテイストのブッラータをぶつけ、軽やかさにはマーシュやフィンガーライムを共鳴させて。そこへイチジクやメープルの甘味をプラスし、トータルでのハーモニーを奏でている。


サントリー登美の丘ワイナリー
登美 白 2012

10,000円(税別・参考価格)
輝きのあるグリーンイエロー。パイナップルのような黄色い果実を想わせる香りと、樽由来のバニラを連想させる上品な樽香がバランス良く調和。味わいはやわらかく、複雑さとボリュームがあり、ほどよい酸味が心地よく余韻となって続く。フレンチオークの小樽で発酵・熟成。
シャルドネ100%



サントリー登美の丘ワイナリー
1909年に開園。南に富士山を仰ぎ、眼下に甲府盆地を見下ろす、標高約600mの丘。「1.日照時間が長い。2.降雨量が少ない。3.昼夜の寒暖差が大きい」と良いぶどうを育てる3条件を生かして、“世界を感動させる日本ワイン”を目指す。国内外のコンクールでの受賞多数。その他、サントリー日本ワインに関する詳しい情報はこちら。

山梨県甲斐市大垡2786
☎ 0551-28-7311
9:30~16:30 火曜、水曜休(8~11月は水曜のみ)







渡辺直樹ワイナリー長と浅田資継さんのトークを聞きながら、ゲハード・パスルガーシェフの料理とサントリー日本ワインのマリアージュを楽しむ会を開催します。
アンダーズ 東京×サントリー日本ワイン コラボディナー
日時: 2015年11月25日(水)19:00~
■詳細・申込はこちらから





◎アンダーズ 東京
東京都港区虎ノ門1-23-4 虎ノ門ヒルズ森タワー
東京メトロ 銀座線 「虎ノ門駅」1番出口 徒歩 約5分
東京メトロ 日比谷線 「神谷町駅」3番出口 徒歩 約6分





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「日本発ガストロノミー×サントリー日本ワイン」イベントレポート ───────────────────

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