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PEOPLE / シェフ名鑑(アーカイブ)

「食材・生産者の価値を高める」

野崎洋光/Hiromitsu Nozaki  

分とく山/わけとくやま

2014.10.01

text by Reiko Kakimoto / photographs by Kouichi Takizawa

1953年1月28日生 / 福島県出身 / B型
武蔵野栄養専門学校を卒業後、73年に「東京グランドホテル」で修業開始(5年)。白金「八芳園」(2年)を経て80年から「とく山」料理長へ。89年西麻布「分とく山」総料理長に。01年「分とく山飯倉片町」、02年「分とく山伊勢丹新宿店」オープン。04年「分とく山」が南麻布に移転。

FAVORITE
音楽 : なし
本 : 般若心経
映画 : なし

鮑の磯焼き

コース中の一品

コースの一品

柔らかく蒸し上げたアワビと肝のソース、海藻の組み合わせ。アワビにダイコンおろしをのせてアワビに蓋をすると、アワビの水分を保ったまま80℃前後の低温で加熱できる。開店以来のスペシャリテで、系列店含め1日平均200個ものアワビが使われる。


山菜と赤貝の春びたし

コースの一品

コースの一品

タケノコは、ダイコンおろし:水=1:1に、1%濃度の塩分をつけ茹で、冷めるまでそのまま置く。“常識”にとらわれず日本料理の手法を検証する野崎さんらしいアク抜き法だ。端正な味のだしに、赤貝とこごみを添えて。

必要とされるためのキーワード
痒いところに手を届かせる。

89年、野崎洋光さんはカウンターで日本料理のコースを15000円で提供する「分とく山」をオープンした。23年経た今も、常連や新規の客で賑わっているのは驚異的だ。開店以来据え置きの価格や緩急あるプレゼンテーションと要因はいろいろだが、野崎さんは「料理だけでは必要な店になれない」と言う。「お客様の“痒いところに手が届くか”が大切」。だから営業中は常に店で意識を張り詰める。

 品数が多いのは、弟子たちに料理を継承する意味もある。限られた予算で揃えた材料を、いかに知恵をかけて満足させる料理に仕立てるか。「調理法だけでなく、季節や価値観、文化を知って、初めて“お金をいただける日本料理”になるでしょうね」。

 定休日には農業支援活動をしてきた。生産者さんから乞われた講演、料理教室、PR活動などは時間が許す限り真摯に対応する。震災後は復興支援活動にも積極的だ。「僕も福島の農家出身。支援したいと思っています。人によくすれば、きっとつながりますから」。



◎分とく山
住所 東京都港区南麻布5-1-5
電話番号 03-5789-3838
営業時間 17:00~21:00 LO、23:00閉店
定休日 日曜休
カード 可
座席 全40席(1階カウンター9席、2階カウンター9席、離れ6名×1室)
タバコ 禁煙
アクセス 東京メトロ広尾駅より徒歩6分
https://waketoku.com/

備考 コース1本16200円 (税込・サ別)
日本酒 1合800円~ 
【WINE】 グラス白赤各1種900円~、ボトル5100円~

「2008年01月野崎さんに教わる「おばこの匠」の上手な炊き方」 掲載
「2008年02月野崎さん直伝「おばこの匠」で作るおにぎりと炊き込みご飯」 掲載
「2009年11月お宝食材発見レシピ」 掲載
「2010年05月ポット型浄水器ブリタで「だし」をバージョンアップ」 掲載
「2010年09月江戸から学ぶ夏レシピ」 掲載
「2012年05月100人のシェフが考える「必要とされる店」になるために」 掲載

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(『料理通信』2012年5月号取材時点)

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