料理はカルチャーを映すもの。アメリカ大使館ATO新所長、エリク・ハンセン氏インタビュー
2025.01.29
photographs by Masahiro Goda
アメリカ料理と聞いてまっさきに思い浮かぶのは、今も昔もハンバーガー。昨年7月にアメリカ大使館農産物貿易事務所(ATO)の新所長に就任したエリク・ハンセンさんも「ハンバーガーは大好き」と微笑むが、ソウルフードかと聞かれると、ちょっと違うという。様々なルーツをもつ人が暮らすアメリカで、子どもの頃から異なるカルチャーに興味津々な「冒険好きな食いしん坊だった」というハンセンさんに、何を食べて育ったかを聞いてみた。
――「ハンセン」という苗字は北欧にルーツをお持ちですか?
はい、私の父方の祖父がデンマークからの移民で、祖母はドイツ系アメリカ人、父は祖母の出身地のウィスコンシン州で生まれました。私の母はメキシコで生まれ育ち、20歳で父と結婚してアメリカへ。私が生まれ育ったオハイオ州は、ドイツとイギリスからの移民が多い土地柄で、ソーセージ、マッシュポテト、肉料理などドイツ料理が広く親しまれています。家では母が作るメキシコの家庭料理、エンチラーダやタコス、メキシコ南部でポピュラーな魚介料理やお米も子どもの頃からよく食べて育ちました。
私たち家族が暮らしていた州都、コロンバスには全米最大規模の大学があり、いろいろな国から学生が集まっていたので、エチオピア料理、ベトナム料理、日本料理など、外食も様々な国のレストランへ家族で足を運びました。食べることが大好きで、苦手な食べ物がない子どもだったので(笑)、食べ物からいろいろな文化を学びました。料理はカルチャーを映すものだと思います。
――特別な日に家族と楽しむのはどんな料理でしたか?
アメリカではサンクスギビング(感謝祭)に家族や親戚、友人が集まり、七面鳥の丸焼きを食べるのが伝統ですが、我が家の七面鳥はメキシカンスタイルで、チリソースが添えられていました。その日はアメリカ中で七面鳥を食べるけれど、それぞれの家庭でスタイルは違う。自分たちのルーツを食を通して子どもたちに伝えていく機会でもあると思います。
――昨年夏に所長に就任されてから半年、日本でどんな食を体験しましたか?
日本は、たとえばラーメン一杯にもシェフのパッションがとても込められている。代々続く店もあり、冒険好きな食いしん坊としては興味がつきません。ビーフやポーク、シーフードにワイン、クラフトビールと、食事に行った先でアメリカ産食材が使われていることも多く、嬉しく思っています。
先日は鹿児島で和牛の生産者や野菜農家、お酢のメーカーを訪ねる機会がありました。農業の規模はアメリカと大きく違うけれど、次世代のために土地を大切に管理し、安心安全な食べ物を育て、動物の面倒をみる農家の姿勢は共通だと感じます。これから日本の食を探検しつつ、アメリカ産の食材の魅力をみなさんに伝えていきたいと思います。
(撮影協力:グランド ハイアット 東京)
◎ごちそうUSA(@gochisousa)
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