デザート系から食事系まで。粉の風味と上質な素材を吟味したタルト専門店 France[Paris]

フランス人の大好物、タルト。ブーランジュリーやパティスリーはもちろん、惣菜店やサンドイッチ店など、あらゆるところで見かける。家族で分け合って食べることも多く、子供の頃の懐かしい思い出にも繋がるソウルフードだ。そんな国民食タルトの専門店「タート(Taartt)」が、2024年5月、15区の住宅街にオープンした。石臼挽きの半全粒小麦粉やそば粉、ライ麦粉と上質なバターをベースに生地を作り、食事系・デザート系各4~5種類を用意する。 例えば食事系は、燻製ベーコンと熟成コンテを使う「キッシュロレーヌ」や、セルフィーユ・エストラゴン・アネットなどハーブをたっぷり混ぜたクリームに、抹茶と唐辛子の香りをしのばせたタルトなど。デザート系は、ヨーグルトチーズケーキにルバーブのピュレとコンフィを重ねたり、フイユタージュ生地をカラメルで覆い、クレームシャンティイとフレッシュなイチゴをたっぷり盛り付けるなど、厳選食材を使用し、季節に合わせてラインアップは変わる。 イートインもよし、テイクアウトするのもよし。予約をすればタルト生地も買えるので、手作りタルトに挑戦して、家族や友人に振る舞うのも楽しそうだ。

【ようこそ発酵蔵へ】“枯らす” ほどに旨くなる「干物」 茨城・神栖「越田水産」

写真で巡る発酵の世界。丁寧に時間をかけて微生物と向き合い、日本の伝統食を次代へつなぐ蔵、生産者を訪ねます。今回は漬け汁を使い続けて干物づくりをする「越田水産」へ。漬け汁は魚醤のような旨味を湛え、仕上がりはふっくら。絶妙な塩気と旨味が後を引きます。

マドリードから新星登場。伝統とフュージョンのバランスを探る新店「OSA」 Spain [Madrid]

2024年1月に開かれた料理学会「マドリード・フュージョン」で、最優秀若手料理人賞に選ばれたサラ・ペラルとホルヘ・ムニョス。マドリード市内を巡るマンサナレス川沿いにある彼らのレストララン「オサ(OSA)」が話題だ。23年の開店前からフーディや業界通の間で期待感が高まっていたのは、2人のキャリアはもちろんのこと、SNSでの周到な展開方法にも秘密があったかもしれない。 メニューには「SUKIBIKI(梳き引き=鱗の取り方)」「TSUME(うなぎの詰め=タレ)」「SAKEKASU(酒粕)」などといった日本語がいくつも並ぶ。シェフ両者とも、訪日も、日本料理店での経験もないが、「日本料理のシンプルさ、エレガンス、ハーモニー」に傾倒しつつも、スペインの伝統料理とフュージョンさせることには戸惑いがない。

ココナッツミルクだけじゃない!ココヤシの樹液から作る調味料がインドの食卓を変える India[Sindhudurg]

国際連合食糧農業機関(FAO)の2022年度の統計によると、インドのココナッツ生産量は世界第3位。海岸に立ち並ぶココヤシの木は、旅情を誘うだけでなく、大いなる自然の恵みでもある。 ココナッツの産地であるインド西部マハーラーシュトラ州シンドゥドゥルグ県ではココナッツ革命ともいうべき、新しい取り組みがはじまっている。 シンドゥドゥルグでは、ココヤシの実(ココナッツ)だけでなく、花序(花を付けた茎)から採れる樹液(現地では「ココナッツニーラ」と呼ばれる)も、飲料、酢、調味料、糖蜜、含蜜糖として幅広く利用されてきた。樹液はミネラルやアミノ酸、ビタミンを豊富に含み、栄養価が高い。しかし樹液は発酵しやすいため、産地以外で利用されることは少なかった。 さらに、ココナッツ産業は、世界的に深刻な危機にあるという。ココヤシは20〜30mにもなる高い木で、樹液や実の採取には危険を伴う。流通面でも、特に小規模農家に不利な現実があるようだ。 2022年に設立された「バリオン・アグロフーズ(Balion Agrofoods)」は、ココナッツ農園の管理から樹液の採取・加工・販売まで一貫して手掛け、農園と加工場をシンドゥドゥルグに持つ。 共同創業者のヘンリック・ハーゲン氏によると、現地農家と契約して農園を借り、ココナッツ栽培、農園管理、樹液採取、加工品製造の工程や道具・設備に至るまで全ての見直しを行った。そうして、伝統を大切にしながら、最新の技術や独自の工夫、アイデアを取り入れ、無農薬で、トレーサビリティや透明性が確保され、安定した品質の商品製造・提供を実現させたのだ。

アルコール離れに逆行したコンセプト。ほろ酔い気分を楽しめるクラフトアイスクリームが急成長 America[New York]

3000軒以上のアイスクリーム・ショップが存在するニューヨーク。各店が創意を競う中、ひときわ個性を発揮しているのが「ティプシー・スクープ(Tipsy Scoop)」だ。“ひとすくいのほろ酔いアイスクリーム”という店名が示唆する通り、各品が5%程度のお酒入り。Z世代を中心に飲酒離れが進む、昨今のトレンドを逆手に取ったコンセプトが当たり、20〜30代の女性を中心としたファンを集めている。 常時約10種を揃えるアイスクリームは、全て手の込んだオリジナル。「ウイスキー風味のキャラメル入りダークチョコレート・アイスクリーム」「テキーラとオレンジリキュール風味のマンゴーのソルベ」などの定番に加え、季節やホリデーを反映させた新たなフレーバーも毎月登場する。例えばアイルランドの文化を祝う「セント・パトリックスデー」には「ギネス・ビールとメープルシロップ・パンケーキ風味のアイスクリーム」など、常に飽きさせない内容だ。また使用するウイスキー、テキーラ、リキュールなどのブランドと積極的にコラボも組み、質の高い味わいを追求する。 創業者のメリッサ・タヴス氏は、6代を遡るアイスクリーム職人の家系に生まれ、曽祖父は英国のアイスクリーム協会の会長を務めた人物。マーケティングの仕事をしながらアイスクリーム作りの夢を温め、2014年、意を決してニューヨークで開業した。試行錯誤を重ねて開発した商品は、翌年全米の小売店で販売されるようになり、17年にはアイスクリームサンデー各品も楽しめる「バーラー(Barlours:バー+アイスクリームパーラーという遊び心のある名称)」をマンハッタンに開店。現在国内に5店舗を展開し、さらに3店舗を開店準備中という急成長ぶりを見せている。

地産地消レストランのキッチンを席巻する調味料“ヴェルジュ”ってなんだ? Germany[Berlin]

ドイツで流行中の地産地消レストラン。ジャガイモ以外の野菜や果物の大半を輸入に頼っている寒冷な気候のドイツで、その土地で取れる旬の食材のみを使って料理することはかなりの制限がある。しかし、シェフたちはその困難を新たな食材や調理法を発見する楽しみに変えているようだ。 中でも2015年に“情け容赦なくローカル”を謳って開店し、大きな話題を呼んだレストラン「ノーベルハート&シュムッツィッヒ(Nobelhart & Schmutzig)」のシェフ、ミシャ・シェーファーは先駆者的な存在だ。レモンやオリーブ油、チョコレート、コショウすら使わない徹底的な地産地消主義を貫く。彼が再発見し、レモン代わりに使える酸味として一気に流行らせたのが「VERJUS(ヴェルジュ)」である。 ヴェルジュとは中世フランス語で“緑の汁”の意。熟していないブドウの実の搾り汁のことで、ワイン造りの際に取り除かれる未熟な実を使った副産物として、中世からヨーロッパ中で作られていたという。種がないのでそのまま搾っても苦味は出ないが、甘味はほとんどなく、強い酸味がある。古代ギリシャでは消化を助ける薬として使われていた。しかし地中海を中心に食材としてのレモン栽培が広まるにつれ、ヴェルジュの存在は忘れられていく。 それが今、レモンやビネガーとも違う新たな調味料として、注目の存在となったのだ。

空港の待ち時間に北欧ヴィンテージをゲット!循環型経済を体感できるカフェ併設の古着店 Finland[Helsinki]

空港で古着を売る。そんな新しい発想がフィンランドで実現している。ヘルシンキ空港に2023年8月オープンした「リラブ(Relove)」では、センスのよい古着のセレクションだけではなく、ベジタリアンフードを提供するパリスタイルのカフェが併設されている。キャンディカラーの斬新なインテリアデザインは高く評価され、利用者は空港で持続可能な買い物ができることに喜びを感じるようになった。リラブでゆっくりとした時間を過ごすために、空港に前よりも余裕を持って到着しようとする人も増えたという。

食の日常に入り込むフードテックの今を知ろう! 世界的フードテックイベント「F4F」リポート

世界的なフードテックイベント「Food 4 Future – Expo FoodTech 2024(以下、F4F)」が、4月16〜18日、スペインのバスク州ビルバオ市で開催されました。4回目を数える今年は、国内外から287社、出展者、講演者、プレスなど約1万人が参加。7つの講演会場では連日、食産業におけるAI、オートメーション、DX、ロボティクス、アグリテックなど、様々な講演が行われ、登壇者の数、実に482人!昨年を上回る100人以上が会場入りして発表を繰り広げた日本のフードテックの最前線の様子、さぁ、お届けしましょう。

和食に寄り添うフランスパン。味噌にも、焼き魚にも合う「パンフランス・ソイ」 ヴィーガンパン・レシピ 兵庫・神戸「パンと暮らしの サ・マーシュ」

ヴィーガンパン専門店の登場とともに、植物性の食材のみで作るパンのレシピが注目されています。動物性の旨味や油脂によるマスキングがなく、発現性を高めたい素材の味がダイレクトに伝わるというメリットを生かし、パン好きも満足するヴィーガンパンを焼く、職人たちの知恵と工夫に迫ります。

旨味がみっちり。トウモロコシは皮と芯からだしをとる「トウモロコシごはん」 プラントベースの始め方34

健康や環境への配慮から、植物性の食材を主体とする“プラントベース(Plant Based)”な食事法が注目されています。肉や魚や乳製品に頼らずとも「おいしい」料理を作る知恵は、世界各地に存在します。身近なレシピからおいしくプラントベースを始めるヒントを紹介します。

夏バテ気味の胃袋に「ズズズのサラダ」 パワーオフ・レシピ

エアコンの使用などで家庭での電気使用量が急増する夏。一人ひとりがエネルギー消費の節約に取り組むことが気候変動抑制につながることから、電気やガスを使わなくてもおいしく作ることができる「パワーオフ・レシピ」をシェフに教わります。今回は「ズズズのサラダ」。ズズズとは一体・・・!? 途中まで仕込んで冷凍しておけばさっと作れるので、暑さで料理をする気力や食欲がない日にもおすすめの一品です。