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RECIPE

簡単に見えて実は難易度高し!

ふわトロ感は、だし巻き卵をイメージ 「トマト卵炒め」

レスキューレシピ【卵編】

Apr 14, 2022

photographs by Hideo Sawai

日本の食品ロス量は年間570万トン*と言われています。生鮮食品においても、豊作で余ったり、規格外、傷、スレがあって売り物にならず、行き場のない食品が日々廃棄されているのです。生産者が丹精込めて作った食材を無駄にしないための食材活用レシピをシェフに教わります。今回のテーマは、卵。定番の卵料理にひねりを加えた秀逸レシピをお届けします。賞味期限が迫っても焦らず、卵料理を楽しみましょう。
*農林水産省「日本の食品ロスの状況(令和元年度)」

教えてくれたシェフ
東京・神楽坂「梅香(メイシャン)」伊藤光恵さん

東京・神楽坂の四川料理「梅香」オーナーシェフ。埼玉県出身。短大卒業後、「キハチ」に入社。「キハチチャイナ」を経て「趙楊」で伝統的な四川料理を学ぶ。ワインバーでワインの造詣を深め、ソムリエ資格も取得。2008年12月に妹の山村昌代さんと現店をオープン。


ふわふわの食感はスープが決め手

「トマト卵炒め」は、本格的な四川料理の店、「梅香」の隠れた逸品である。「辛い料理の合間にこの料理が入ると、単体も全体も引き立つんです」とオーナーシェフの伊藤光恵さん。材料はごく一般的な常備材料で、シンプル。簡単に見えるが、一歩間違うと無残な姿になってしまう。実は難易度の高い料理の一つなのだ。

「ふわふわの食感、だし巻き卵がイメージ」と伊藤さん。卵をふんわりと仕上げるためにスープは必須で、店では丸鶏とショウガ、ネギに水を加えて1時間ほど煮込んだスープを使っている。家庭で作るなら、顆粒の中華だしを湯に溶かしたものより、茹で鶏を作る際にできるスープを使うとより本格的な味にできる。

トマトは鮮度を生かすために、必ず調理を始める直前に切る。店ではオーダーが入ってから切るため、湯むきではなく、中華包丁で皮をむき、16等分に切る。中華鍋は先に強火で熱しておくが、卵を入れた後は弱火と中火でやさしく火を入れ、混ぜるというより、内側に返す作業が中心。卵に半分ほど火が通ったらトマトを卵の外側に輪になるように入れる。トマトはあまり動かさない。

全体にふんわり軽く炒めるのがコツで、時間にすると、トマトを加えてから10秒ほど。余熱を考慮に入れて、卵全体が固まりきる前に火を止め、皿に盛れば完成である。スピードと軽やかさが大事で、お玉があると便利だ。


「梅香」のトマト卵炒めの極意


・だし巻き卵をイメージしてスープも手作り
・トマトは直前に切って鮮度を生かす
・卵は混ぜず、内側に返すようにして火を入れる

「トマト卵炒め」材料と作り方

卵・・・3個
トマト・・・1個
塩・・・ひとつまみ
コショウ・・・ひとつまみ
醤油・・・少量
スープ*・・・40g
サラダ油・・・適量

*鶏を水、ショウガ、ネギ、酒で5分沸かし、短時間で茹で鶏スープを作ることができる。

[1]トマトをくし形に切る
トマトを8等分のくし形に切って皮をむき、さらに2等分のくし形に切る。

[2]卵をよく溶く
卵をボウルに割り入れ、塩、コショウを加える。菜箸でよく溶く。


[3] 鍋を油でならす
中華鍋を強火で熱し、サラダ油をお玉1杯弱分入れて、表面を油でならしたら、捨てる。新しいサラダ油を大さじ2加え、弱火に落とす。

[4]卵にスープを加える
卵にスープを加えて軽く混ぜ合わせる。


[5]卵を内側に返す
中華鍋の真ん中にゆっくり落としていく。火を中火に上げ、卵の周りが固まってきたら、外側から内側に向かって卵を返す。

[6]トマトを加える
卵のまわりにトマトを置く。すぐに醤油をほんの少量たらす。

 [7]固まる寸前に火を止める
再び、外から内側に向かって卵をやさしく返す。卵が固まる寸前に火を止め、器にとる。

卵のふわトロ感とトマトのフレッシュ感のコントラストは、なんともいえない妙味である。


<トマトの皮むき&16等分カット>

「トマトの皮むき=湯むき」と思い込みがちだが、下記のステップを踏めば、皮が簡単にむけると同時に、やわらかいトマトを美しく16等分にカットすることができる。

トマトを8等分のくし形に切る。

ヘタとは逆の方から、皮と実の間に包丁を入れる。

そのまま包丁を滑らせて皮をむく。

トマトを並べ、背中から半分に切って美しい16等分に。



◎梅香
東京都新宿区横寺町37-39
中嶋第一ビル1F
☎03-3260-2658
12:00~14:00 
17:30~21:30
(土、日、祝は~21:00)
月、火曜休
都営線牛込神楽坂駅より徒歩1分

※新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

(雑誌『料理通信』2014年6月号掲載)

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