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PEOPLE / 料理人・パン職人・菓子職人

1980年以降生まれ 注目の若手シェフ

東京・西麻布「エルバ ダ ナカヒガシ」 中東俊文 Toshifumi Nakahigashi

2018.07.09

『料理通信』2018年7月号取材時点


近年、急速にボーダレス化する食の世界。国を超えて働く先を選ぶことはもちろん、ジャンル、食材、また店間の垣根を越えて、互いの哲学や素材へのアプローチに刺激を受ける1980年代以降生まれのシェフたちが増えています。資源の枯渇や高齢化社会、深刻な人材不足など、食を取り巻く課題が溢れる中、アイデアとテクニックを武器に生き抜く、新世代の料理人たちの発想はどのように生まれるのでしょうか。これからの食の世界のキーパーソンに、未来を切り拓く仕事術を一問一答で伺いました。





車で1 時間の東京の山が必需品

Q1 : 食べ手の心を動かすアイデアとテクニックを、どう身につけてきたか?
A1 : 子供の頃から農家さんや土を見て食材を見分ける力は養ってきた自信があります。素材が良ければ少しのテクニックと知識があればいい。アイデアは山と、車に積んだ野菜(草)の香りが充満する車で生まれます。

Q2 : 世界で働く際に、必要な資質。日本人(自分)の強みはどこにある?
A2 : コミュニケーション力。そのためには語学力も必須。お陰で世界中に散らばる修業時代の仲間と今も繋がっている。自分の強みは、物怖じせずどんどん突っ込んでいけるところ。

Q3 : 今、世界とどう繋がっている? 気になる世界の料理トレンドや料理人
A3 : エネコ・アスルメンディシェフ。食材だけでなくエネルギーまで自家発電するレストラン経営。

Q4 : 尊敬する人とその理由(食の世界に限らず)
A4 : ピカソ。絵画から写真に移行する時代に彼しかできない表現で存命中に評価された。

Q5 : 個性を打ち出すために店づくりで工夫したポイント
A5 : 生きた鮎を使いたいと、東京あきる野市の漁師さんを訪ねたのをきっかけに、あきる野市から港区が借りている山(港区民の森)に週2 ~ 3 回通うように。子供の頃から兄弟で競って山菜採りをしていたので、一年中、食べられる山菜を見つけては摘み、農家さんを回って帰ってきます。車で1 時間で山菜採りができる東京のご馳走って何だろう? と考えるうちに使う野菜の95% は東京産に。

Q6 : スペシャリテについて。料理でもっとも大切にしていることは?
A6 : 自宅でサイフォンでコーヒーを淹れていて、液体に香りを移すのに適しているなと。そこでまず生ハムの骨とパルミジャーノの皮でだしをとり、家庭用の食品乾燥機で乾燥させた野菜くずの香りをサイフォンで抽出。下拵えした野菜48 種に注ぎます。うちの店、ゴミはほとんど出ません(笑)

Q7 : 料理人として、これからどう生きていきたいか?
A7 : 山と共に。

photographs by Sai Santo





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