イタリア式はパンを炭火で焼くのが正解!
トレビスのブルスケッタ
アウトドアレシピ09
2022.07.07

photographs by Hiroaki Ishi
連載:アウトドアレシピ
アウトドアの新メニューに加えたい、外でも作りやすく、家でもリピートしたくなる味を人気店に習います。今回は、前菜やおつまみでおなじみのイタリア料理「ブルスケッタ」を。「炭火であぶる」を意味する“bruscare(ブルスカーレ)”が語源なのだとか。のせる具もさることながら、パンの焼き方にもコツがあります。
教えてくれた人:料理研究家 パンツェッタ貴久子さん

料理研究家、翻訳家。美大卒業後、イタリア・ナポリの国立磁器学校に留学。イタリア人、パンツェッタ・ジローラモ氏と結婚し、イタリア各地で伝統的な家庭料理や食文化を学ぶ。2000年、日本でイタリア文化を紹介する活動が評価され、ヴェローナ市より「ジュリエッタ賞」が贈られた。『ちょっとオタクなイタリア料理』(光文社)など著書多数。
トマトじゃなくていい 何をのせてもいい
トースターでガリガリに硬く焼いたブルスケッタがありますね。本来はパンを炭火で炙り、外側はカリッと、中はふんわりが正解の焼き方。家庭だったら、熱々のグリルパンで。焼いたパンにニンニクをこすり付け、新物オリーブ油「ノヴェッロ」をたらした「フェットゥンタ」は私のお気に入り。
チーズ作りを学ぶために1カ月滞在したモリーゼの田舎町で、たった1軒ある食堂のシェフ、ヴィンチェンツォに教わったのは、トレビスをのせたブルスケッタ。日本でブルスケッタといえば、生のトマトがのった「アラ・ケッカ」が定番ですが、上にのせるものは、おにぎりやお茶漬けの具と同じ感覚でOK。トマトじゃなきゃダメ、ということはありません。
ヴィンチェンツォがトレビスをのせたのはトマトがない時期だからというより、何をのせても自由だからなんです。カラスミをのせたり、茹でて炒めた菜の花をのせたりしたのもおいしいですよ。
ヴィンチェンツォのブルスケッタ
[材料](すべて適量)
パン(パン・ド・カンパーニュなど)
ニンニク
E.V.オリーブ油
塩
<具材>
トレビス、パルミジャーノ・レッジャーノ、E.V.オリーブ油、塩、黒コショウ
[作り方]
[1] トレビスをちぎる

トレビスは手で小さくちぎり、ボウルに入れる。
POINT:葉物は手で小さくちぎるのがイタリア式。「細かすぎて最初は驚いたけど、オイルで和えた時に馴染みがいい。なるほどねと思いました」
[2]具材を混ぜる

小さく削ったパルミジャーノを加え、オリーブ油、塩、コショウで調味する。
[3] パンを切る
パンは好みの厚さにスライスする。
[4]パンを焼く

グリルパンを熱してパンを焼く。端が焦げるくらい、濃いめの焼色を付ける。
POINT: 炭火で炙ると、より本場の味に!
[5] ニンニクをこすりつける

皮をむいたニンニクを焼いたパンの表面にこすりつける。
[6]オリーブ油を塗る

オリーブ油をパンの表面に塗る。
[7]具を盛り付ける

2の具材をパンの上にこんもりと盛り付ける。
◎パンツェッタ貴久子さんの著書

『ちょっとオタクなイタリア料理 全20州。あなたの知らない美味しいレシピがきっと見つかる! 』(光文社)。「ボロニェーゼ」など王道のイタリアンから、日本では知られていない“オタク”な郷土料理まで、全86品のレシピを紹介。
(雑誌『料理通信』2016年10月号掲載)
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