時間がおいしくしてくれる!ナポリ流ダイナミックな「真イワシのマリネ」
パワーオフ・レシピ
2023.08.17
photographs by Hide Urabe
連載:パワーオフ・レシピ
エアコンの使用などで家庭での電気使用量が急増する夏。一人ひとりがエネルギー消費の節約に取り組むことが気候変動抑制につながることから、電気やガスを使わなくてもおいしく作ることができる「パワーオフ・レシピ」をシェフに教わります。暑い日に台所で火を使いたくないときはもちろん、知っておくとガスや電気が止まった災害時やアウトドアでも役立ちます。電気・ガス代が過去最高水準になっている今、家計防衛術としてもレパートリーに取り入れたいレシピです。
教えてくれた人
東京・門前仲町「トラットリア ブカ・マッシモ」大沼清敬さん
1977年、埼玉県生まれ。地元の洋食屋、イタリア料理店を経て「キハチ・イタリアン」に6年勤め、27歳でイタリアへ。ナポリのピッツェリア・リストランテ「エウロペオ・ディ・マトッツィ」の厨房で現地の味づくりに触れる。2016年、「路地裏のイタリア食堂」をコンセプトに郷土料理を気軽に楽しめる現店をオープン。
塩と酢を混ぜたマリネ液に浸けるだけ
大沼清敬さんのナポリでの修業は2カ月弱。はじめは荒っぽく見えたナポリ流の仕込み術は、長い時間と経験によって無駄がそぎ落とされた、効率的な味づくりだったことがわかったという。
「真イワシのマリネ」も、日本では塩をして数時間置いてからビネガーベースのマリネ液に浸けるのが一般的だが、ナポリではイワシと粗粒の塩を重ねて酢をドボドボ注ぐだけ。あとは「時間がおいしくしてくれる」と一晩放置する。大沼さんは細粒の海塩を使用し、魚の身の厚さによって多少前後するものの、2時間半ほど浸ける。白ワインビネガーは酸度低めの4.5%前後がおすすめだ。
プレーンなオイルで保存しておけば、用途が限られず様々な料理に展開可能。ニンニクや唐辛子、好みのハーブと共にオイルに浸し、オリジナルの風味を楽しむのもおすすめだ。
「真イワシのマリネ」材料と作り方
[材料](作りやすい分量)
真イワシ・・・10尾
塩・・・下処理後のイワシの重量の4~5%
白ワインビネガー・・・適量
油・・・適量
[作り方]
[1]イワシをおろす
イワシは大名おろしにして、腹骨を削ぎ落とす。バットに並べ重量を量る。
[2]マリネ液をつくる
イワシの重量の4~5%の塩と白ワインビネガーをボウルに合わせて溶かす。
[3]マリネ液を流し入れる
イワシの上に均等にかかるようマリネ液を流し入れ、手でやさしく押さえて馴染ませる。
[4]マリネする
ラップを密着させマリネする。1尾60gほどのイワシで、2時間半ほど。
[5]オイルに浸して保存する
薄皮を外し、容器に並べ油に浸して保存する。
POINT:保存は冷蔵庫に入れても凝固しないようオリーブとヒマワリのブレンド油に浸すとよい。プレーンなオイルで保存しておけば、用途が限られず使いやすい。
[6]ニンニクやハーブと一緒に保存する
前菜として食べる場合は、ニンニクや唐辛子、好みのハーブと共にオイルに浸しておくとよい。好みのハーブやスパイスでオリジナルの風味を楽しんでも。
◎トラットリア ブカ・マッシモ
東京都江東区富岡1-24-11
☎03-5809-9022
平日17:30~23:00(21:00LO)
土、日曜12:00~15:00(13:30LO)、17:30~22:00(20:30LO)
月曜休
各線門前仲町駅より徒歩3~5分
https://bucamassimo.jp/
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2019年1月号掲載)
いつもの生活で、エネルギー消費量を減らしてみる
今日からできる気候変動へのアクション
国連広報センターが「SDGメディア・コンパクト」に加盟する日本のメディア有志とともに、気候変動対策のアクションを呼び掛けるキャンペーン「1.5℃の約束 – いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。」を実施しています。料理通信はこのキャンペーンに参加し、食にかかわる気候変動への取り組みを国内外から紹介しています。
●ActNow! 今すぐできる『10の行動』
「ActNow」は、個人レベルでの気候アクションをグローバルに呼びかける国連のキャンペーン。どんなことが気候変動の抑制に役立つのか、身近な行動を10項目挙げています。「家庭で節電する」では、家庭で毎日の生活のなかのエネルギー消費量を減らすことが気候変動の防止に役立つとされています。
家庭で節電する
私たちが使用する電力や熱の大部分は、石炭や石油、ガスを燃料としています。冷暖房の使用を控え、LED電球や省エネタイプの電化製品に取り替え、冷水で洗濯し、乾燥機を使わずに干して乾燥させてエネルギー消費量を減らしましょう。
(国連・ActNowキャンペーン:気候変動の抑制に対して個人でできる『10の行動』より)
イラスト:Niccolo Canova
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