村瀬美幸さん(むらせ・みゆき)フロマジェ
第4話「挑戦はこれから」(全5話)
2016.11.01
「フロマジェ」という専門職
ソムリエ、パティシエ、バリスタ。
今どきは、小学生でも知っています。
では、「フロマジェ」という言葉を聞いて、一体どれだけの人が「チーズのプロ」を思い浮かべるでしょう。
チーズがそれほどに専門性の高い食品であることも、ほとんどの人は認識していないように思います。
今どきは、小学生でも知っています。
では、「フロマジェ」という言葉を聞いて、一体どれだけの人が「チーズのプロ」を思い浮かべるでしょう。
チーズがそれほどに専門性の高い食品であることも、ほとんどの人は認識していないように思います。
身近になった一方で
ナチュラルチーズの輸入量は、この四半世紀で倍増しました。
平成20年度に、景気の落ち込みや輸入価格の高騰で大きく減少したものの、その後、順調に回復。24年度には23万8千トンで過去最高を記録しています(加工用ではなく直接消費されているのは、そのうち67%)。
国産ナチュラルチーズの生産量も増加傾向にあり、平成24年度は過去最高の4万7千トンに。今後も伸びが見込まれているようです。
【農林水産省生産局畜産部牛乳乳製品課/平成26年4月】
ナチュラルチーズと言っても様々ですが、この10~20年でその存在がずっと身近になり、選択肢が増えたことは事実です。
パルミジャーノ・レッジャーノ、ゴーダ、チェダー、ゴルゴンゾーラ、カマンベール、モッツァレッラといった名前はすっかり市民権を得ていますし、ごく普通のスーパーでも比較的安く買えるようになりました。
しかし別の言い方をすれば、「スーパー止まり」といった印象も拭えません。
ワインは専門店で買うけど、合わせるチーズはスーパーで。
家飲みではチーズをつまむけど、お店では頼まない。
レストランでも、デザートは食べるけど、チーズはパス。
大手メーカーが大規模工場で作り、お馴染みのパッケージや真空パックで販売しているチーズしか口にしたことのない人も多いはずです。
村瀬さんが伝えたいと思い続けているチーズの面白さ――多様性や季節感、優れた作り手と熟成士が生む味わい――を体験したことのある人は、まだまだごく僅かではないでしょうか。
平成20年度に、景気の落ち込みや輸入価格の高騰で大きく減少したものの、その後、順調に回復。24年度には23万8千トンで過去最高を記録しています(加工用ではなく直接消費されているのは、そのうち67%)。
国産ナチュラルチーズの生産量も増加傾向にあり、平成24年度は過去最高の4万7千トンに。今後も伸びが見込まれているようです。
【農林水産省生産局畜産部牛乳乳製品課/平成26年4月】
ナチュラルチーズと言っても様々ですが、この10~20年でその存在がずっと身近になり、選択肢が増えたことは事実です。
パルミジャーノ・レッジャーノ、ゴーダ、チェダー、ゴルゴンゾーラ、カマンベール、モッツァレッラといった名前はすっかり市民権を得ていますし、ごく普通のスーパーでも比較的安く買えるようになりました。
しかし別の言い方をすれば、「スーパー止まり」といった印象も拭えません。
ワインは専門店で買うけど、合わせるチーズはスーパーで。
家飲みではチーズをつまむけど、お店では頼まない。
レストランでも、デザートは食べるけど、チーズはパス。
大手メーカーが大規模工場で作り、お馴染みのパッケージや真空パックで販売しているチーズしか口にしたことのない人も多いはずです。
村瀬さんが伝えたいと思い続けているチーズの面白さ――多様性や季節感、優れた作り手と熟成士が生む味わい――を体験したことのある人は、まだまだごく僅かではないでしょうか。
チーズの高いハードル
「理由の一つは値段にあると思います。関税の壁(29.8%)は高いですね。
そしてもう一つは、チーズを取り扱うお店自体が少ないこと。
チーズを良い状態で提供するには、ワイン以上に技術と知識と経験が必要ですし、管理するのに手間もかかります。
オーダーするお客さんがいなければ、そのままロスになりますしね」。
価格はどうにもなりません。
チーズの本当のおいしさをより多くの人に知ってもらうためには、チーズを取り扱うプロを養成することが不可欠なのです。
そしてもう一つは、チーズを取り扱うお店自体が少ないこと。
チーズを良い状態で提供するには、ワイン以上に技術と知識と経験が必要ですし、管理するのに手間もかかります。
オーダーするお客さんがいなければ、そのままロスになりますしね」。
価格はどうにもなりません。
チーズの本当のおいしさをより多くの人に知ってもらうためには、チーズを取り扱うプロを養成することが不可欠なのです。
日本で唯一の教室
世界チャンピオンになる直前の2013年5月、村瀬さんは、先述のチーズ教室「The Chees Room」を開校しました。
「フェルミエ」で現場経験を積むこと2年、やはり教える立場でいたいという思いから独立を考えていた矢先、食育部門を立ち上げようとしていたデザイン会社社長の金子さんと出会ったのです。
2人の思いは一致し、同社の食育事業として教室を開設することになります。
初心者から食のプロまで、チーズを体系的に学べる機関として、公に開かれ(自宅サロンなどではなく)、かつチーズに特化した教室は日本で唯一。
純粋にチーズを楽しみたい人が気軽に受けられる講座から、資格取得や仕事に生かしたい人向けの専門的な講座、チーズを使った料理や紅茶、フルーツカッティングなど、チーズと共にライフスタイルを豊かにするレッスンまで、様々な授業を設けています。
「フェルミエ」で現場経験を積むこと2年、やはり教える立場でいたいという思いから独立を考えていた矢先、食育部門を立ち上げようとしていたデザイン会社社長の金子さんと出会ったのです。
2人の思いは一致し、同社の食育事業として教室を開設することになります。
初心者から食のプロまで、チーズを体系的に学べる機関として、公に開かれ(自宅サロンなどではなく)、かつチーズに特化した教室は日本で唯一。
純粋にチーズを楽しみたい人が気軽に受けられる講座から、資格取得や仕事に生かしたい人向けの専門的な講座、チーズを使った料理や紅茶、フルーツカッティングなど、チーズと共にライフスタイルを豊かにするレッスンまで、様々な授業を設けています。
チーズへの入口をあちこちに
今、村瀬さんのもとでは、様々な食のプロやセミプロがチーズについて学んでいます。
バルの店長、パン屋、パン愛好家、紅茶のプロ、レストラン経営者、ソムリエ、乳業商社のチーズ輸入担当者、自宅でチーズサロンを開いている女性、アメリカのチーズ工房で働いた経験を持つ若い男子、発酵学の元先生、BBQインストラクター、等々。
彼らが一つの教室で共にチーズについて学ぶ。
それだけで、何か面白い化学反応が起こりそうな気がしませんか?
チーズへの入口は一つではないのです。
バルで、パン屋さんで、紅茶のレッスンで、あるいはBBQで。
本物のチーズに出会える場が今よりもう少し増えるだけで、チーズの裾野を広げることができる。
様々な人が、様々なアプローチでチーズの魅力を発信していけば、チーズはもっと面白くなる。
村瀬さんの本当の意味での挑戦は、まだ始まったばかりです。
いつか誰かに「チーズの伝道師」と呼ばれる、その日まで。
バルの店長、パン屋、パン愛好家、紅茶のプロ、レストラン経営者、ソムリエ、乳業商社のチーズ輸入担当者、自宅でチーズサロンを開いている女性、アメリカのチーズ工房で働いた経験を持つ若い男子、発酵学の元先生、BBQインストラクター、等々。
彼らが一つの教室で共にチーズについて学ぶ。
それだけで、何か面白い化学反応が起こりそうな気がしませんか?
チーズへの入口は一つではないのです。
バルで、パン屋さんで、紅茶のレッスンで、あるいはBBQで。
本物のチーズに出会える場が今よりもう少し増えるだけで、チーズの裾野を広げることができる。
様々な人が、様々なアプローチでチーズの魅力を発信していけば、チーズはもっと面白くなる。
村瀬さんの本当の意味での挑戦は、まだ始まったばかりです。
いつか誰かに「チーズの伝道師」と呼ばれる、その日まで。