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PEOPLE / 料理人・パン職人・菓子職人

1980年以降生まれ 注目の若手シェフ

東京・乃木坂「リストランテ山﨑」矢島直樹 Naoki Yajima

2018.05.31

『料理通信』2018年7月号取材時点


近年、急速にボーダレス化する食の世界。国を超えて働く先を選ぶことはもちろん、ジャンル、食材、また店間の垣根を越えて、互いの哲学や素材へのアプローチに刺激を受ける1980年代以降生まれのシェフたちが増えています。資源の枯渇や高齢化社会、深刻な人材不足など、食を取り巻く課題が溢れる中、アイデアとテクニックを武器に生き抜く、新世代の料理人たちの発想はどのように生まれるのでしょうか。これからの食の世界のキーパーソンに、未来を切り拓く仕事術を一問一答で伺いました。



リストランテ文化はまだまだ深められる

Q1 : 食べ手の心を動かすアイデアとテクニックを、どう身につけてきたか?
A1 : シェフの動きを様々な角度から観察すること。日々違うその瞬間から、その先につながるものまでを吸収してきました。

Q2 : 世界で働く際に、必要な資質。日本人(自分)の強みはどこにある?
A2 : 日本の厨房では、皿洗いや下働きから経験できるので厨房全体を把握しやすく、段取りや効率の良さが必然的に身に付く。仕事の先を読み、空気を読むことは海外でも役立つ。また、語学だけでないコミュニケーション能力と度胸。

Q3 : 今、世界とどう繋がっている? 気になる世界の料理トレンドや料理人
A3 : イタリア修業時代につながった同世代のコミュニティ。また、東京では同世代の異ジャンルの料理人と積極的に交流しています。

Q4 : 尊敬する人とその理由(食の世界に限らず)
A4 : 草間彌生さん。生命力ある作品と訴えかけてくる感性。その生き方も含め、表現者として尊敬しています。

Q5 : 個性を打ち出すために店づくりで工夫したポイント
A5 : 伝統と革新。東京のリストランテの第一線を32 年間走り抜けてきた店ではありますが、代々そのシェフの個性を全面的に支持してくれます。サービスのプレゼンテーションから調度品に至るまで、模索しながら進化させています。

Q6 : スペシャリテについて。料理でもっとも大切にしていることは?
A6 : カルパッチョとは本来、赤の色彩を得意とする画家・カルパッチョにちなんだ生の牛肉の一皿。日本人に馴染み深いマグロを中心に、その色使いのように様々な赤い食材で構成しました。旨味と鉄分を含むマグロにバルサミコ酢、イチゴ、赤タマネギやアーモンドなどを重ねて奥行きをもたせ、フランボワーズビネガーの酸でまとめます。

Q7 : 料理人として、これからどう生きていきたいか?
A7 : イタリアで経験してきたリストランテ文化と魅力をもっと伝えたい。その為に歴史あるこの店で自分の料理を発信したい。

photographs by Tsunenori Yamashita





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