鈴木裕子さん(すずき・ゆうこ) 食エージェント
第4話「意思あるところに道は開ける」(全5話)
2016.01.01
契約を取れることが、
何よりのご褒美
寝ても覚めても仕事のことを考える毎日です。
遊んでいて企画のアイデアを得たり、出張先で仕事後に観光気分で歩いていて商品企画に繋がったり。
独立当初は、オンとオフを意識的に切り替えようとしていました。それができなくて苦しんだ時期も。
しかし、海外にいる仕事仲間との何気ない会話や、彼等のライフスタイルから気付かされました。
「起業した瞬間から“仕事=生き方そのもの”になると言われてハッとしたんです。
仕事は“自己実現の場”と考えている私ですが、時間軸だけは分けて考えてしまっていた。頭も気持ちも、この時以来スッキリと整理されました」。
「常に仕事のことを考える状態を楽しめないようなら、自営業は向いてないね」、「なんで無理にオンオフを切り替えようとするの?」、まわりの良き先輩達のアドバイスもあり、次第にこの状況を楽しめるようになりました。
「年々、仕事とプライベート(遊び)の境目が曖昧なことも増えてきて、これは非常に幸せなことですよね。
今は、契約が取れることが何よりのご褒美(笑)。
練って練って仕上げた企画書が通った喜びは、何物にも代えがたいものがあります。
達成感で疲れも吹っ飛び、それまでの大変なことはすべてリセットされます。
中途半端に休みを取るより、リフレッシュになりますね」。
「年々、仕事とプライベート(遊び)の境目が曖昧なことも増えてきて、これは非常に幸せなことですよね。
今は、契約が取れることが何よりのご褒美(笑)。
練って練って仕上げた企画書が通った喜びは、何物にも代えがたいものがあります。
達成感で疲れも吹っ飛び、それまでの大変なことはすべてリセットされます。
中途半端に休みを取るより、リフレッシュになりますね」。
自分自身の成績表
休みもなければ、全ての責任は自分が負うという緊張感。
鈴木さんの手帳には、そんな「自営業たるプレッシャー」に立ち向かう雄姿が刻まれています。
実はその手帳、エクセルを駆使して作ったオリジナル。
年間、月別、日別のスケジュール表があるのは、普通の手帳と同じです。案件ごとの流れを書いた表があるのも、なるほどという感じ。
真骨頂は、毎日つけるチェック項目にあります。
月別カレンダーの日付の下に書かれた「既・新・計」の文字。ここには、その日会った人の数を書き込んでいきます。既知の人、初めて会った人、その合計。
「全然関係のない職種の人と話をしていて、思わぬ形で仕事へのヒントをもらうことがあるんです。人と会うって、とても大事なこと」。
そして日別のスケジュール欄にもこんな文字が、「6・学・整・食・運・精」。
6時に起きられたか、自分への投資の時間を取れたか、資料や情報の整理ができたか、きちんと食事をしたか、適度な運動ができたか、精神的に安定していたか。
毎日ここに○×をつけていきます。さながら自分自身への成績表。
「×が増えてくると、体調を崩したり、仕事がスムーズに進まなかったり、どこかでバランスが崩れてくるんです」。
鈴木さんの手帳には、そんな「自営業たるプレッシャー」に立ち向かう雄姿が刻まれています。
実はその手帳、エクセルを駆使して作ったオリジナル。
年間、月別、日別のスケジュール表があるのは、普通の手帳と同じです。案件ごとの流れを書いた表があるのも、なるほどという感じ。
真骨頂は、毎日つけるチェック項目にあります。
月別カレンダーの日付の下に書かれた「既・新・計」の文字。ここには、その日会った人の数を書き込んでいきます。既知の人、初めて会った人、その合計。
「全然関係のない職種の人と話をしていて、思わぬ形で仕事へのヒントをもらうことがあるんです。人と会うって、とても大事なこと」。
そして日別のスケジュール欄にもこんな文字が、「6・学・整・食・運・精」。
6時に起きられたか、自分への投資の時間を取れたか、資料や情報の整理ができたか、きちんと食事をしたか、適度な運動ができたか、精神的に安定していたか。
毎日ここに○×をつけていきます。さながら自分自身への成績表。
「×が増えてくると、体調を崩したり、仕事がスムーズに進まなかったり、どこかでバランスが崩れてくるんです」。
自分自身が商品
手帳は、「行動のクセや、考え方のクセを直すためのもの」と鈴木さんは考えます。
自分のダメな部分を可視化するのは、つらい作業です。
それをあえてするのは、「自分自身が商品」だから。
「クライアントの満足度を上げるためには、自分という商品力を高めなくてはいけません。その努力を日々に落とし込んでいくことが大切」。
食業界30年のキャリアを持つ食の専門家を“顧問”の立場に据えているのも、同じ理由です。
「彼には、あえて厳しいことを言ってくれとお願いしています。
トップでやっていると、誰にも注意をされなくなるし、勘違いしてしまいがち。
かなり厳しい言い方をされたり、涙が出ることも、怒りさえ覚えることもあります。
でもすべて、的確なんです。
自分の行動や考え方を客観的に見て意見してくれる存在は、とても重要です」。
自分のダメな部分を可視化するのは、つらい作業です。
それをあえてするのは、「自分自身が商品」だから。
「クライアントの満足度を上げるためには、自分という商品力を高めなくてはいけません。その努力を日々に落とし込んでいくことが大切」。
食業界30年のキャリアを持つ食の専門家を“顧問”の立場に据えているのも、同じ理由です。
「彼には、あえて厳しいことを言ってくれとお願いしています。
トップでやっていると、誰にも注意をされなくなるし、勘違いしてしまいがち。
かなり厳しい言い方をされたり、涙が出ることも、怒りさえ覚えることもあります。
でもすべて、的確なんです。
自分の行動や考え方を客観的に見て意見してくれる存在は、とても重要です」。
思いつくことは簡単、やり切るかどうか
鈴木さんの仕事は、新しく市場を開拓し、新しい食の可能性を探っていくことにあります。
最も重要なスキルとは、何でしょう? やはり発想力?
「私もはじめはそう感じていました。
でも仕事をする中で気付いたんです、人が思いつくことのレベルにはそれほど差がないと。
大切なのは、思いついたアイデアを、とことん考え抜いて、形にできるかどうか。そしてやり切れるかどうかだと。
何も成し遂げずに、後から『私も同じことを考えていた』と言う人と、実際に成功する人との違いはそこにあると思います」。
アスリートは、試合で最高のパフォーマンスを出すために、日々、身体と心のメンテナンスを心掛けながら地道なトレーニングを積みます。
「これで十分、これだけやれば大丈夫」と思えるギリギリまで自分を追い込んで練習する。
そして、本番で結果を残してこそ一流。
鈴木さんがストイックに自分自身と向き合う様は、どこかそんなアスリートの姿と重なります。
「意思あるところに道は開ける」、鈴木さんの座右の銘です。
意思を、日々の行動に、一つひとつの仕事に落し込めるかどうか。
開けた先の気持ちよい景色は、その努力を着実に重ねた人だけが味わえるのです。
最も重要なスキルとは、何でしょう? やはり発想力?
「私もはじめはそう感じていました。
でも仕事をする中で気付いたんです、人が思いつくことのレベルにはそれほど差がないと。
大切なのは、思いついたアイデアを、とことん考え抜いて、形にできるかどうか。そしてやり切れるかどうかだと。
何も成し遂げずに、後から『私も同じことを考えていた』と言う人と、実際に成功する人との違いはそこにあると思います」。
アスリートは、試合で最高のパフォーマンスを出すために、日々、身体と心のメンテナンスを心掛けながら地道なトレーニングを積みます。
「これで十分、これだけやれば大丈夫」と思えるギリギリまで自分を追い込んで練習する。
そして、本番で結果を残してこそ一流。
鈴木さんがストイックに自分自身と向き合う様は、どこかそんなアスリートの姿と重なります。
「意思あるところに道は開ける」、鈴木さんの座右の銘です。
意思を、日々の行動に、一つひとつの仕事に落し込めるかどうか。
開けた先の気持ちよい景色は、その努力を着実に重ねた人だけが味わえるのです。