やさしい食べ心地にほっこり。朝食にも「面片(メンピェン)」
レスキューレシピ【小麦粉編】
2025.04.21

photographs by Masahiro Goda
連載:レスキューレシピ
日本の食品ロス量は年間472万トン*と言われています。生産者が丹精込めて作った食材を無駄にしないための活用レシピを紹介する連載「レスキューレシピ」。今月のテーマは【小麦粉】です。今回は、やさしい食べ心地で朝食にぴったりな「面片(メンピェン)」をウー・ウェンさんに教わります。
*農林水産省「食品ロス量(令和4年度)」(前年度比-51万トン)
目次
教えてくれた人: 料理研究家 ウー・ウェンさん

中国・北京生まれ。1990年に来日し、97年よりクッキングサロンを主宰。テレビや雑誌等で北京の家庭料理を紹介。著書に『ウー・ウェンの 100gで作る北京小麦粉料理』『ウー・ウェンの 炒めもの』『ウー・ウェンの 麺 ごはん』(いずれも高橋書店)、『ウー・ウェンの 毎日黒酢』(講談社)、『料理の意味とその手立て』(タブレ)など多数。2022年刊行の『10品を繰り返し作りましょう』(大和書房)は、2023年レシピ本大賞を受賞。
粉の粒の中に水を入れていくイメージ
2001年の初版発行以来、今なお高い人気を誇る『ウー・ウェンの北京小麦粉料理』(高橋書店)。麺をはじめ、ワンタン、春巻きなど64品の小麦粉料理を収録する中から今回教わったのは、こねた生地を引きちぎってスープに落として作る「面片(メンピェン)」。手早く作れて、食べ心地もやさしい。「朝食にぴったりよ」とウー・ウェンさん。
ポイントは、粉と水を無理やり混ぜようとしないこと。菜箸でほわっほわっと混ぜて炒り卵状にしながら粉に水を吸わせていく。「生地作りは、水分を吸収させることが大事。小麦粉が水分を吸収するには時間が必要なの。焦らず、粉の粒の中に水を入れていくイメージね」。
その後、手の腹で捏ねて10分ほど休ませたら薄くのばし、引っ張って切れたところからスープに入れていく。「切ろうと思わないの。切れないようにと思いながら引っ張って、あ、切れた、という感じ」。自然に生まれた断面の何ともいえない食感に、ほっこり心が癒される。
「面片」材料と作り方
[材料](3~4人分)
<生地>
強力粉・・・100g
薄力粉・・・100g
水・・・100ml
<スープ>
長ネギ(斜め薄切り)・・・1本
卵・・・2個
醤油・・・大さじ4
スープの素・・・小さじ1
太白胡麻油・・・大さじ2
水・・・1.5L
[作り方]
[1]粉と水を出会わせる

ボウルに粉を入れる。水の2/3量を全体に回しかけ、箸先をゆっくり大きく回して、粉と水を触れさせる。
[2]菜箸で混ぜる

ほわっ、ほわっと箸先で混ぜていると、次第に炒り卵状になってくる。「無理に混ぜちゃダメ。水が粉たちを連れていくようにするの」
[3]水を足して混ぜる

「乾いた粉がなくなるように」、残りの水を注ぎ足す。大切なのは「粉の粒の中に水を入れるイメージ」。ご覧のように表面がベタベタしていない。「慌てずに吸わせるの」
[4]このままスープに入れてもよし

遊んでいる粉がなくなったら、混ぜ終わり。「このままスープに投入してもいいの。忙しい朝はこれで立派な朝食」。まるですいとん、麺は世界共通!
[5]ひと塊にまとめる

炒り卵状の生地をひと塊にする。表面が濡れていなくても、粉粒が水を抱え込んでいるので、寄せ集めるとくっつき合う。
[6]手の腹で捏ねる

手の腹で押して、広がった生地を外側から内側へ折り込んで、また押してを繰り返す。「生地が手にくっつかなくなったら、こね終わり」
[7]休ませる

濡れ布巾をかぶせて室温で5~10分ほど休ませる。粉と水のつながりがよくなって生地が落ち着く。「これ以上こねても意味ないの。力じゃなくて時間も大切」
[8]スープを作る

休ませている間にスープを作る。鍋に油を引き、長ネギを炒めて、醤油を回しかける。醤油の香ばしい香りをよく立たせてから、水を加え、スープの素で味を調える。
[9]丸く薄く伸ばす

打ち粉をした台に生地を出し、手で軽く押し広げてから、麺棒で伸ばす。直径20cmくらいまで広げる。
[10]引きちぎる

生地の端を引っ張って、スープにちぎり入れる。「切ろうと思わないの。切れないようにと思いながら引っ張って、あ、切れた、という感じ。限界まで伸ばしてあげるの」
[11]1~2分火を通す

ふつふつ沸いたスープの中で、生地が浮いてからさらに約1~2分火を通す。卵を溶き入れて、でき上がり。

◎ウー・ウェン クッキングサロンHP
https://cookingsalon.jp/
(雑誌『料理通信』2017年10月号掲載/本文はウェブサイト用に一部調整しています)
掲載号はこちら
関連リンク