野菜のおいしさを際立たせる「漬け物」
プラントベースの始め方49
2025.04.28

photographs by Jun Kozai
連載:プラントベースの始め方
健康や環境への配慮から、植物性の食材を主体とする“プラントベース(Plant Based)”な食事法が注目されています。肉や魚や乳製品に頼らずとも「おいしい」料理を作る知恵は、世界各地に存在します。身近なレシピからおいしくプラントベースを始めるヒントを紹介します。
教えてくれた人
神奈川・鎌倉「鎌倉 北じま」北嶋靖憲さん

神奈川県鎌倉市出身。地元鎌倉の和食店から料理人人生をスタート。日本料理を一から学ぶべく京都へ居を移し、京料理の名店「和久傳」の門を叩く。「室町和久傳」「高台寺和久傳」「京都和久傳」の三店舗で研鑽を積み、系列店「丹」の立ち上げにかかわると同時に料理長に就任。2020年、16年間勤めた「和久傳」から独立し、翌21年に出身地の鎌倉で「北じま」を開業。フランスのレストランガイド「ゴ・エ・ミヨ2022」のテロワール賞を受賞するなど、海外のフーディーズからも熱い注目を集める。
旨味、酸味、甘味と食感を取り混ぜる
野菜は必ず「見て、触って、生で、もしくはさっと蒸して食べてみてから献立を決めます」と北嶋靖憲さん。「採れたての野菜はそのままでおいしいけれど、その甘味や香りをもう一段引き上げるのが自分の仕事だと思っています」。
まずは生で食べるべきか、加熱すべきか。同じ野菜でも、新物のタマネギなら低温で火入れし、ひねてきたら温度を上げるなど素材の見極めが調理の根本だ。そして素材の切り方、余分な水気をきっちり除くなどの丁寧な下拵えで仕上がりに差が出る。
春キャベツは水分量が多くやわらかいので、加熱するのはもったいない。そこで春の香りを活かす浅漬けに。ミョウガは丸のまま漬けるとより食感が楽しめる。「漬け物は、塩味だけでなく異なる風味と食感を取り合わせると、食べ飽きません」。
「春キャベツの浅漬け」の材料と作り方
[材料](作りやすい分量)
春キャベツ・・・1個
塩・・・キャベツの2%量
ユズの皮・・・1/2個分(刻む)
日高昆布・・・5g(適当な大きさに割る)
[作り方]
[1]漬ける

キャベツの葉を1枚ずつはがし、漬物器にすべての材料を入れて、常温で1日置く。漬物器がない場合は、ボウルなどに入れ、重石をしてもOK。【POINT】キャベツは切らずに漬ける。
[2]切る

芯を外し、繊維に対して直角に包丁を入れ、食べやすい大きさに切る。
「酢取ミョウガ」の材料と作り方
[材料](5人前)
ミョウガ・・・3個
塩・・・少量
甘酢・・・200g
<甘酢>
酢・・・90g
水・・・90g
砂糖・・・30g
[作り方]
[1]甘酢を作る
鍋に水と砂糖を入れて火にかけ、砂糖が溶けたら火を止め、酢を加える。
[2]蒸す
ミョウガは穴あきバットに丸のまま並べ、100℃、湿度100%のスチームオーブンに(蒸し器でも可)3分入れる。
[3]塩をする

2に薄く塩をあてる。【POINT】塩をあてるのは、下味をつけると共に、水分を抜いて甘酢を含みやすくするため。
[4]漬ける

3を甘酢に漬け込む。常温で3時間置く。

昆布の旨味と柚子が香る春キャベツの浅漬け。程よい酸味と食感が魅力のミョウガ。
(雑誌『料理通信』2019年4月号掲載)
神奈川・鎌倉「鎌倉 北じま」の店舗情報
◎鎌倉 北じま
神奈川県鎌倉市大町4-3-18
☎0467-73-7320
18:00~
不定休
JR、江ノ島電鉄鎌倉駅より徒歩15分、タクシー5分
https://www.kamakura-kitajima.jp/
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
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